筆頭株主でなくなったのに、なぜヒル・マリンはアトレティコの経営トップに留まるのか?

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米国の投資ファンド「アポロ(Apollo)」は、その子会社「アポロ・スポーツ・キャピタル(Apollo Sports Capital)」を通じて、アトレティコ・マドリーの新たな筆頭株主となります。これは、最高経営責任者のミゲル・アンヘル・ヒル、クラブ会長のエンリケ・セレソ、ならびに主要株主であるクアンタム・パシフィック・グループ(Quantum Pacific Group)およびアレス・マネジメント(Ares Management)との間で締結された合意によるもので、具体的な金額は明らかにされていません。

では、なぜヒル・マリンとセレソは引き続きクラブの経営を担うのでしょうか?アトレティコ・マドリーの新たな筆頭株主となるアポロ・スポーツ・キャピタルの共同経営者であるロバート・ジヴォン氏が、その理由を説明しました。ジヴォン氏は月曜日、「当社にとって重要だったのは、ミゲル・アンヘル・ヒル・マリン氏によるリーダーシップの継続を支援する形で投資を行うことだった」と述べ、株主構成が変わった後もヒル・マリンが今後数年間は最高経営責任者として職務を続けることを明言しました。

「アトレティコ・マドリーはヨーロッパでも有数のスポーツクラブであり、120年以上にわたる歴史を持つこの伝統的クラブにアポロ・スポーツ・キャピタルとして投資できるのは大変光栄です。ミゲル・アンヘル氏は、アトレティコを変革する上で素晴らしい仕事をしてきました。私たちにとって重要だったのは、彼のリーダーシップの継続を支援する形で投資すること、そしてチームや地域社会にも貢献することでした」と、アトレティコが発表した声明の中で述べました。

またジヴォン氏は、「チームを支援し、その精神と伝統を尊重するとともに、スポーツシティの発展やファン体験の向上など、クラブが卓越している分野で価値を提供できることに大きな意義を感じている」とも語りました。

さらに、「スポーツシティの野心的な開発計画を支援することは、クラブだけでなく地域経済にも大きな価値をもたらすだろう」と述べ、アポロ・スポーツ・キャピタルがアトレティコ・マドリーの筆頭株主となる合意を正式に発表しました。

新たな株主構成
この合意が成立する前のアトレティコの株主構成は、ミゲル・アンヘル・ヒル・マリンとエンリケ・セレソの持株によって形成された「アトレティコ・ホールドコ(Atlético HoldCo)」が中心でした。このホールドコには、2021年に米国の投資ファンド「アレス(Ares)」が資本増強を通じて参加し(持株比率33.96%)、アトレティコ全体の70.47%を保有する筆頭株主グループとなっていました。

一方で、イスラエルの富豪イダン・オファー氏が率いる「クアンタム・パシフィック・グループ」は、アトレティコの株式27.84%を保有しており、残りは少数株主によって構成されています。

今回の投資によって、正確な金額はまだ公表されていないものの、株式の約51〜55%がアポロに渡るとみられています。これにより、ミゲル・アンヘル・ヒル・マリンの持株比率は10%、会長のエンリケ・セレソは3%に減少します。取引後は、クアンタム・パシフィックが25%を保有する第2位の株主となり、アレス・マネジメントは5%を維持、残りは引き続き少数株主の手に分配される見込みです。

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