アトレティコが獲得した“オフィスの天才”マテウ・アレマニーとは誰か?

この記事は約4分で読めます。

アトレティコ・マドリーは、10月7日(火)にマテウ・アレマニーの加入を発表しました。役職は「男子プロフェッショナル・フットボール部門ディレクター」であり、「トップチームおよびアトレティコ・マドリレーニョのスポーツ面での最高責任者」として務めることになると、クラブは公式声明で発表しました。

このバレアレス諸島出身の幹部は、カルロス・ブセロ(フットボール部門ゼネラルディレクター)のチームの一員として、トップチーム、アトレティコ・マドリレーニョ、そしてアカデミーのプロフェッショナル領域(アトレティコの下部組織)を統括します。

すでにアレマニーは、ここ数十年のスペイン・サッカー界において最も有名な経営者の一人ですが、クラブ経営に詳しくない一般ファンにはあまり知られていない存在でもあります。

では、新たな「男子プロフェッショナル・フットボール部門ディレクター」とは何者なのでしょうか?率直に言えば、アトレティコは「オフィスでのスーパースター」を獲得したと言えます。クラブCEOのミゲル・アンヘル・ヒル・マリンが長年にわたり獲得を望んでいた人物であり、過去にもオファーしたものの実現しなかった経緯があります。

アレマニーは、35年以上にわたってプロサッカーの現場に携わり、あらゆる経営職を経験してきました。RCDマジョルカでは副社長、CEO、そして会長を歴任。バレンシアCFではゼネラルディレクター、FCバルセロナではフットボールディレクターを務め、今回アトレティコで担う役職に近い業務を行っていました。

彼が高い評価を受けているのは、経営危機に直面したクラブを立て直し、限られた資金の中で競争力のあるチームを作り上げる手腕にあります。その結果、複数のクラブでタイトルを獲得し、目に見える成果を残してきました。

マテウ・アレマニーは、RCDマジョルカ時代にクラブ史上最も成功した時期を導きました。2003年にはクラブ唯一のタイトルである国王杯を制し、チャンピオンズリーグ出場権も獲得。サミュエル・エトー、ディエゴ・トリスタン、ルケ、スカローニら当時の名選手を擁しました。2009年に再び会長に復帰しましたが、2010年6月に職を辞し、保有株をロレンソ・セラ・フェレール氏に売却しています。

次の挑戦は2017年から2019年のバレンシアCFで、シンガポールの実業家ピーター・リム氏が買収後に混乱していたクラブを立て直すという難しい任務を担いました。彼はマルセリーノ・ガルシア・トラル監督を招聘し、2シーズン連続でチャンピオンズリーグ出場、さらに2019年には国王杯優勝を果たしました(決勝の相手は後に彼自身が加わることになるFCバルセロナ)。

そして2021年、ジョアン・ラポルタ会長の下でバルセロナに加わり、財政難の中でファイナンシャル・フェアプレー(FFP)の制約に取り組みました。彼は人件費の削減と「フリー移籍戦略」に集中し、支出を6億5,500万ユーロから4億5,000万ユーロに抑制。ラ・リーガの「1/1ルール」下でも健全経営を実現させました。

そのキャリアの中で、アレマニーは常に戦略的思考と監督選定の巧みさを示してきました。もっとも、アトレティコではディエゴ・シメオネ監督がすでに長期政権を築いており、その面での懸念は不要です。

控えめだが確固たる、そして野心的な指揮官
では、アトレティコのファンは何を期待できるのでしょうか?
それは「控えめでありながらもプロフェッショナルな経営」です。アレマニーは表舞台に立つことを好まない一方で、サッカービジネスを熟知し、難しい市場で成果を上げる能力に長けています。限られたリソースの中で強いチームを作り上げる達人です。

アトレティコでは、バルセロナやレアル・マドリー、あるいはプレミアリーグ勢に比べて投資余力が劣る中で、常に競争を求められるという課題があります。そのため、アレマニーの交渉力と人材発掘力は大きな鍵となります。

バルセロナ時代には、イルカイ・ギュンドアン、イニゴ・マルティネス、アンドレアス・クリステンセン、フランク・ケシエといった“お買い得補強”を実現し、大きな成功を収めました。

自身について、彼は「野心的で、自分に非常に厳しい。だからこそ、目標に限界を設けない」と語っています。そして今回の就任にあたっては次のように述べました。「ここにいるのは、このクラブに可能性を感じているからです。シメオネという偉大なリーダーが率いるスポーツプロジェクトの一員として、あらゆるレベルで競争できる環境に魅力を感じています」。

コメント