アトレティコ・マドリーのCEOであり、スペインのクラブとして唯一EFC(European Football Clubs、欧州クラブ協会)執行委員会の一員でもあるミゲル・アンヘル・ヒルは、ローマで行われたEFC総会後、EFE通信の取材に対し次のように述べました。「ローマでの総会には800以上のクラブが参加し、欧州サッカーの大きな団結を見事に体現していました。」
1963年マドリード生まれのヒル・マリンは、UEFA執行委員会のメンバーであり、ラ・リーガの第一副会長も務めています。この日の総会には、EFCの新体制発表にあたり、欧州各国から800以上のクラブ代表が出席し、FIFAのジャンニ・インファンティーノ氏、UEFAのアレクサンデル・チェフェリン氏、PSGのナセル・アル=ケライフィ氏、FCバルセロナのジョアン・ラポルタ氏などが姿を見せました。
ヒル・マリンは次のように語りました。「ECA(欧州クラブ協会)は、EFCとして新たに生まれ変わり、加盟クラブ数も増え、意思決定の場での影響力も増しています。ローマの総会では、55のUEFA加盟協会すべてからクラブが集まり、大・中・小規模のクラブが欧州中のリーグから参加していました。UEFAとも、クラブ側がこれまで以上に密接に協力しています。」
また、クラブ連携の発展について問われた際には、こう説明しました。「UEFAとEFCは、欧州サッカーの“家族”全体を代表しています。ナセル氏が会長に就任して以来、クラブの代表権は完全に変わりました。今では私たちに“声”と“投票権”があり、重要な意思決定やガバナンスの一部を担っています。大会フォーマット、財務管理などもその一例です。」
ヒル・マリンは、UEFAとクラブが共同で設立した新組織「UC3」についても説明しました。「UC3は、UEFAとクラブが50%ずつ出資して設立したもので、各大会の商業化、テレビ放映権やスポンサーシップの販売、経済的な分配、非参加クラブへの支援金などを管理しています。」
また、この日の総会では、各国代表戦によるリーグ中断や、クラブと各国協会間のカレンダー不均衡も議題に上がりました。「自国クラブの視点だけで物事を見ると、世界中のクラブやリーグ、代表チーム間の大きな違いを理解することは難しいです。しかし、国内外の組織の一員として活動すると、各方面の利害のバランスを取る難しさが見えてきます。実際、過密日程の影響を受けるのは、国内外の大会に出場し、かつ多くの代表選手を抱えるごく一部のクラブです。」
そのうえでこう提案しました。「個人的には、過密スケジュールの解決策は、選手がクラブおよび代表チームでプレーできる年間試合数に制限を設けることだと思います。」
スーパーリーグについて
数年来、世間で議論されている「欧州スーパーリーグ構想」についても質問が及び、明確にこう答えました。「実際のところ、この話題が盛んに語られているのはスペインだけです。それは、レアル・マドリーとその会長がこの構想の推進役であることに関係しています。ヨーロッパ全体では、すでに“死んだプロジェクト”と見なされています。証拠に、2027〜2031年の新たな大会フォーマット、分配システム、放映権・スポンサー権の取り扱いについては、クラブとUEFAが協議のうえで決定しており、スーパーリーグ構想とは完全に正反対の内容です。」
さらに、2022年のスーパーリーグ発表時にEFCを離脱したバルセロナが復帰する可能性について問われると、こう述べました。「バルサはこれまでも、そして今後も、我々の業界や未来を形づくる重要な存在であるべきです。ラポルタ会長が我々の招待を受け、ローマで共に出席してくれたことをうれしく思います。欧州サッカーは一つの“家族”であるべきだと信じています。意見の違いは理解しつつも、改善提案は常に内部から行うべきです。ラポルタ氏が前向きな姿勢で戻ってきたことを心強く感じています。」
ECAからEFCへの改称について
名称変更の理由についてヒル・マリンは次のように説明しました。「旧称“ECA(European Club Association)”は、サッカーという言葉が含まれておらず、やや抽象的でした。新しい“EFC”は、我々が何を代表しているのかを明確に示し、スポーツおよびファンにより近い存在であることを示すためのものです。」
リーグ戦の国外開催について
また、ローマ総会の会場では、スペイン国内で物議を醸している「ラ・リーガがビジャレアル対バルセロナ戦をマイアミで開催する計画」についても話題になりました。「国内リーグ戦を国外で開催する動きについて議論がありました。私個人の考えとしては、主要リーグが年に1試合だけ自国以外で開催することは、競技の公正性を損なうものではないと思います。むしろ、他地域でリーグやクラブへの関心を高める好機になります。これは放映権、スポンサー契約、クラブ価値の向上に寄与するでしょう。」
さらに、「国外開催は地元ファンへの裏切りではないか」と問われると、ヒル氏は次のように答えました。「サッカーは完全にグローバル化しています。私たちは地元ファンだけでなく、世界中のファンの存在を考慮しなければなりません。世界中のファンがいるからこそ、私たちの大会やクラブは成長しているのです。年間380試合のうち、たった1試合を国外で行うだけで、地元ファンが離れるとは思いません。しかも、同じクラブが何度も繰り返し選ばれるわけでもありません。」
最後にヒル・マリンは、欧州議会が今週採択した決議に触れました。「欧州議会は今週、UEFAの理念——“競技実績に基づく大会構成”と“連帯の原則”——を支持する決議を採択しました。UEFAも欧州クラブも、伝統と文化の中で、競技の公正さと努力による成果こそが大会の本質であると理解しています。若い世代に“努力と実力の価値”を教えることこそ、何より重要です。」
──こうしてヒル・マリンは、ローマで行われた新生EFC(European Football Clubs)総会を締めくくりました。
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