フリックの覇権、シャビ・アロンソとシメオネに挑む

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衝撃的な登場を果たしたハンジ・フリック監督は、就任1年でスペイン国内の全タイトルを制したバルセロナを率いて、新シーズンを迎えます。彼の前に立ちはだかるのは、レアル・マドリーのシャビ・アロンソ監督とアトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督。そして、バルサの現在地と、常に付きまとうクラブ特有の重圧です。

ラ・リーガEAスポーツは、世界でも屈指の3人の戦略家による争いの舞台となります。それぞれ異なるスタイルと勝ち方を持ちながらも、立場や状況は違えど、プロジェクトを動かすのは揺るぎない「勝利への野心」です。フリックの支配力、シャビ・アロンソの試金石、シメオネの必要な雪辱戦——どれも中途半端は許されません。

フリックにとっても例外ではありません。前シーズンの国内制覇は文句なしでした。まずスペイン・スーパーカップ、続いて国王杯、最後にラ・リーガ。2024年11月から12月にかけての不安要素を克服し、圧倒的なスタートからすべてを勝ち取りました。

その後、バルサは首位を守り切り、最後の18試合で16勝という驚異的な成績を収めました。これこそがフリックの成果です。「バルセロナの最大の強みは、提案するプレースタイルを選手に浸透させる力だ。彼の就任はバルサにとって非常に良い影響を与えた」と、昨季ライバルであったシメオネ監督も称賛しています。

しかし、今季は難易度が上がります。彼の高い位置からのプレス、押し上げたディフェンスライン、オフサイドトラップは既に研究され尽くしており、新シーズンはそれに挑むことになります。2019年以来、同じクラブが2年連続でリーグ優勝した例はありません。それが彼の目標です。

シャビ・アロンソの時代
最大のライバルはレアル・マドリーとアトレティコ・マドリーです。白い巨人を率いるシャビ・アロンソ監督は、スペインサッカー史に残る名MFであり、バイエル・レバークーゼンを2023-24シーズンに史上初のブンデスリーガ優勝へ導いた名将です。

彼の魅力的なスタイルと、マドリー以外での実績、そしてヨーロッパでの確固たる評価は、カルロ・アンチェロッティ監督のプロジェクトが限界を迎えたクラブにとって唯一無二の後任候補となりました。すでにクラブワールドカップでは準決勝まで進出していますが、それだけでは不十分です。

新シーズンのレアルでは、キリアン・エムバペやヴィニシウス・ジュニオールといったスター選手を組織的な戦術に組み込み、現代サッカーで重要な1メートル・1プレーの精度を高めることが求められます。加えて、トニ・クロースやルカ・モドリッチ(現ミラン)を欠いた中盤の再構築も必須です。

今夏は1億6,750万ユーロを投じて4選手を補強。ディフェンスにディーン・ハイセン、トレント・アレクサンダー=アーノルド、アルバロ・カレーラスを加え、攻撃にはリーベル・プレートからアルゼンチンの逸材フランコ・マスタントゥオーノを獲得。近年17シーズンでわずか5回しかリーグを制していないレアルの巻き返しを狙います。

シメオネ14.0
その17シーズンのうち2回、アトレティコ・マドリーを優勝に導いたのがシメオネ監督です。2012年1月にラ・リーガの指揮を執り始め、今季で14シーズン目。過去20年間でマドリーとバルサ以外でリーグを制した唯一の監督であり、それを2度達成しました(2013-14、2020-21)。

シメオネにとって毎シーズンが試練です。クラブは当然のようにチャンピオンズリーグ出場権を求めます(過去13シーズン連続で達成)。しかし、彼やチーム、そしてファンにとってそれはもはや当たり前の目標であり、満足はしません。彼らが望むのは最後までの優勝争いとタイトルです。最後のタイトルは2021年で、すでに時間が経っています。

今夏は1億7,200万ユーロを投じ、アレックス・バエナ、ジョニー・カルドーソ、ティアゴ・アルマダ、マッテオ・ルッジェーリ、マルク・プビル、ダヴィド・ハンツコ、ジャコモ・ラスパドーリを補強。昨年も1億8,300万ユーロをかけ、フリアン・アルバレス、クレマン・ラングレ、コナー・ギャラガー、ロビン・ル・ノルマン、フアン・ムッソを獲得しました。さらにヤン・オブラク、マルコス・ジョレンテ、ホセ・マリア・ヒメネス、パブロ・バリオス、コケ、ジュリアーノ・シメオネ、アントワーヌ・グリーズマン、アレクサンデル・セルロートら主力も健在です。あとはシメオネがチームを形作り、結果を出す番です。

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