「ハンツコはアトレティコにとって素晴らしい補強です」

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ダヴィド・ハンツコをフランチェスコ・カルツォーナ監督(56歳・イタリア)ほどよく知る人物は、サッカー界でもそう多くはありません。現在スロバキア代表の監督である彼は、ハンツコがアトレティコ・マドリーの守備にどれだけ貢献できるかを熟知しており、「非常に良い補強をした」と語っています。この一言に、ロヒブランコスのファンが彼に期待を寄せる理由が凝縮されています。

カルツォーナ監督はスペイン紙《AS》とのインタビューで、ハンツコのスペインサッカーへの挑戦、スロバキア代表の2026年ワールドカップに向けた展望、そして現在の国際サッカー界で話題となっている諸問題について語っています。

―スロバキアはドイツ、ルクセンブルク、北アイルランドと同組のワールドカップ2026予選にどう臨みますか?
ドイツをしっかり研究しています。最大の優勝候補であることは分かっています(9月4日に対戦予定)。ですが、まったく不安には感じていません。4〜5人の選手はU-21代表でユーロを戦っています。我々はこの3年間で明確なプレースタイルを確立してきました。チームには満足していますし、結果に左右されることはありません。良い予選を戦えると確信しています。

―ドイツ戦では何かサプライズが見られますか?
我々は小国で、選手の層も厚くありません。3バックなどの戦術的オプションも検討しています。ハンツコやシュクリニアルのような優れたDFはいますが、中盤や前線の選手は少ないのが現状です。スロバキアは人口500万人と小さな国で、ハイレベルな選手の育成は難しいのです。

―その中でもハンツコは別格ですね。アトレティコに加入した彼について教えてください。
ダヴィドは代表にとって非常に重要な選手です。複数の戦術に対応でき、3バックでも4バックでも機能します。我々の代表では左サイドバックとしてもプレーしており、とても良い働きをしています。守備が上手いだけでなく、攻撃にも貢献できます。彼はプロ意識も非常に高く、アトレティコは素晴らしい補強をしたと思います。

―アトレティコのファンは彼に何を期待できますか?
彼はまだ成長の余地があります。1対1の場面ではもっと強さを出せると思います。オランダリーグはその面で彼の成長を助けてくれなかったかもしれません。特にフェイエノールトのような試合を支配するチームでは。しかし、欠点はほとんどなく、アトレティコは本当に大きな補強をしたと思います。

―シメオネ監督は彼のどこを気に入ると思いますか?
まず彼のプロフェッショナリズムですね。真面目にトレーニングに取り組み、自分をしっかり管理し、余計なことは一切言いません。礼儀正しく、非常に品のある選手です。シメオネ監督はそういった人間性を評価するでしょうし、彼のような選手は貴重です。

―スペインサッカーの特徴と、ハンツコがどのように合うと思いますか?
彼はDFでありながらボールを扱うのが好きで、テクニックもあり、とても頭が良い選手です。スペインのスタイルには非常にフィットすると思います。

―スペインについてはどうお考えですか?
私はスペインが大好きです。ボールを持つことを重視する文化に自分を重ねています。パスの多いスタイルのファンでもあります。スペイン代表はフランス、アルゼンチン、ブラジル、ドイツと並ぶ優勝候補ですし、今後もしばらくは世界のトップに君臨し続けると考えています。

―ナポリとスロバキアの兼任時、2024年2月のCLバルセロナ戦が監督デビューでしたね。
感慨深かったです。ナポリには特別な思い入れがあります。クラブからのオファーは予想外でした。たった3日間の練習後にCLでバルサ戦でしたが、2試合とも高レベルの相手に対して良い試合ができました。

―バルサ戦ではラミン・ヤマルを間近で見ましたね。彼はメッシやC・ロナウドのような存在になれるでしょうか?
技術的には異次元の才能です。ピッチ上の動きや判断力はまるで30歳の選手のようです。ただし、注目されすぎる環境ではピッチ外の行動にも注意が必要です。今日のフットボールでは、能力があっても100%の集中力が求められます。ですが、彼は若く、楽しむことが好きな性格なので、すぐに精神面でも成熟すると思います。そしてメッシやロナウドのような偉大なキャリアを築くと信じています。

―ナポリ時代に指導したオシムヘンがガラタサライに移籍しました。どんなアドバイスをしましたか?
彼は素晴らしい選手で、特にフィジカルが突出しています。ただし、ビッグクラブでプレーするということは、パフォーマンスが落ちた時に批判されることも受け入れなければなりません。その点で、彼はまだ成長が必要です。批判を建設的に受け止め、自分の弱点を改善するための材料にできれば、さらに成長するでしょう。ナポリでは彼はファンに愛され、クラブも大事にしていました。ですが、困難な時期の乗り越え方を学ぶ必要があります。

―スタニスラフ・ロボトカ(ナポリ、元セルタ)について。スロバキアではイニエスタと比較されていますが?
イニエスタは創造的で攻撃的な選手でした。ロボトカはもっとバランス型で、冷静な知性を持っています。ボール奪取能力においては私のキャリアでも最高レベルです。両者はタイプが違いますが、今のロボトカは間違いなく世界トップ3〜4に入る中盤の選手です。

―2022年にスロバキア代表監督に就任し、EUROではベスト16進出。今後への展望は?
世代交代の途中ですが、現在の選手たちには大きな信頼を寄せています。どんな相手に対しても互角に戦うというメンタリティが根付きました。以前のスロバキア代表は苦戦が多かったですが、今は違います。自分たちのサッカーを貫こうとしています。ドイツ戦では下馬評では不利ですが、勝つつもりで挑みます。今後は新しい才能が台頭してくれることを願っています。

―スタッフにはマレク・ハムシク氏もいます。彼は将来監督になると思いますか?
ハムシクには監督として成功する素質があります。私は彼に多くの裁量を与えています。今後はプレイヤーとは異なるプレッシャーをどう乗り越えるかが鍵になります。それができれば、偉大な監督になれるでしょう。

―サッリ氏とスパレッティ氏の下で働いていましたが、何を学びましたか?
2人とも偉大な指導者で、多くのことを学びました。私は13年間サッリの下で働き、特に戦術的な細かさを学びました。一方スパレッティからはチームマネジメントの重要性を学びました。どちらもその点でトップレベルの監督です。彼らと働けたことは私のキャリアにおいて非常に重要でした。

―イタリア代表監督としてのスパレッティ氏が結果を出せなかったのはなぜだと思いますか?
彼をよく知る者として言えば、解任は性急だったと思います。彼は常に問題に対する解決策を見つけてきた人です。代表チームでは時間が限られていますが、もう少し辛抱して彼に任せていれば状況は好転したはずです。イタリアでは結果を急ぐ傾向がありますが、彼にはその時間が与えられるべきだったと思います。

―ガットゥーゾ氏はイタリアをワールドカップに導けるでしょうか?
まだワールドカップ出場の可能性はあります。イタリアは困難な状況でこそ真価を発揮するチームです。ガットゥーゾ氏はそのような局面で頼れる人物だと思います。たった1敗しただけなので、修正は可能です。ホームでのノルウェー戦が鍵になります。イタリアがこれほど長くW杯から遠ざかるのはあってはなりません。

―サッカーは今後どのように変化し、観客の目にはどう映るとお考えですか?
サッカーはよりフィジカルでスピーディーなものになりましたが、それでも観客は技術的なプレーや美しいプレーを好みます。ラミン、クリスティアーノ、メッシなどが象徴です。技術の重要性は変わりません。私もスピードに適応しつつ、「美しくプレーすること」が最も大切だと考えています。破壊ではなく創造のサッカーを目指すべきです。観客を楽しませるためには、良いサッカーをする必要があり、それが私の指導哲学でもあります。

―ありがとうございました。今後のご活躍を祈っております。
こちらこそ、ありがとうございました。

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