アトレティコは、リーガ開幕までに「すべての駒をそろえた状態」にしたいと考えております。これまでとは大きく異なる運営方針により、クラブはシメオネ監督のチーム構想において、選手の入れ替えを迅速に進めることに注力しています。その狙いは、監督が自らの“新たな武器”を試し、調整し、開幕を待たずにどの選手を起用できるかを把握できるようにするためです。
そのため、今週はアトレティコにとって6人の新戦力のプレゼンテーション週間となっており、ムッソとラングレの完全移籍(昨季はレンタル)も加えられています。すでにアレックス・バエナ、ティアゴ・アルマダ、ルッジェーリ、カルドーソは、シメオネのもとで即戦力として扱われており、プビルと新加入のハンツコも徐々に組み込まれています。
一方で、クラブは放出面でもスピードアップしており、リーノのフラメンゴ移籍、レマルのジローナ移籍の発表が間近とされており、昨季のメンバーからは合計8名の退団が予定されています(コレア、リケルメ、デ・パウル、アスピリクエタ、ヴィツェル、ヘイニウド、そして前述の2人)。さらにサウールの契約解除もあり、これはクラブの財政面においても大きな助けとなっています。
プレシーズン初の親善試合(ポルト戦)はまだ未開催ですが、ここまでで大規模な選手の入れ替えが完了しています。現在アトレティコは、「再建」と「若返り」を今夏のテーマに据え、攻撃陣にさらなるタレントを加えることでその締めくくりを図っています。
特に求められているのは、突破力とドリブルによる個人技で違いを作れる選手です。コレア、リーノ、リケルメの退団により、創造性と即興性が失われたため、その穴を埋める必要があります。そこで最有力候補とされているのが、エンツォ・ミローです。
23歳になったばかりのこのシュツットガルト所属のレフティは、右サイドでも中央でもプレーでき、前線との連携やゴール前への飛び出しにも優れており、昨季は12ゴール8アシストを記録しました。
仏『レキップ』紙によると、契約解除金は2,000万ユーロとされており、市場価値(Transfermarktでは3,500万ユーロ)よりも大きく下回る条件です。アトレティコはその獲得レースで先頭に立っており、すでに選手側との合意に近づいています。
しかし、シュツットガルトのスポーツディレクターであるファビアン・ヴォルゲムート氏は、「複数の選択肢があり、まだ最終決定には至っていない。数日、あるいは数週間かかる可能性がある」と述べており、交渉が長引く可能性もあります。ただし、「即決型の補強」を進めている今のアトレティコにとって、これは特に問題ではありません。ミローは「プランA」として本腰を入れて狙っている選手です。
とはいえ、無期限に待つつもりはなく、クラブは代替案も用意しています。同様のプレースタイルを持つ選手たちです。たとえば、久保建英やイ・ガンインなど、毎年のようにその左足の技巧とアジア市場での存在感から注目される選手たちもいますが、彼らは非EU枠の選手であり、リーノが退団してもアトレティコにはすでにアルマダ、ギャラガー、ナウエル・モリーナの3人が枠を埋めているため、獲得は困難です。
その他にも、左サイドを主戦場とするフェルナンデス・パルド、バレンシアのディエゴ・ロペスとハビ・ゲラといった面白いプロファイルの若手、スポルティングで復調したトリンコン、サウジ移籍が噂されるアントニー、さらにはジェレミー・サルミエント(昨季はエル・カンヌスの代替候補)など、多くの選手がリストアップされています。
このように、候補者は多岐にわたりますが、最も望まれているのはやはりミローです。彼はフランスの年代別代表で活躍し、パリ五輪ではスペイン(バリオス、バエナ、プビルが所属)に決勝で敗れて銀メダルを獲得した経験もあります。その成長ぶりは著しく、シメオネ監督はまだ補強を締め切っていません。彼はさらなるタレントの到着を待ち望んでいます。
開幕までにほぼすべてのピースをそろえる――それが今のアトレティコの狙いです。そして、仕上げの一手を加えるつもりです。
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