「すべては決まっているが、何かが起きれば…それを生かしますよ」と語ったのは、ダヴィド・ハンツコの獲得がアトレティコから発表された数時間後のエンリケ・セレソ会長の言葉でした。実はその14か月前、MARCAが独占で「彼がアトレティコの本命CBだ」と報じており、その際は獲得が実現しませんでした。そこから14か月後…すべてがわずか20時間で決着するとは誰が想像したでしょうか。
その20時間というのは、レナト・ヴェイガの獲得が一気に冷え込み、代わりにスロバキア代表のハンツコの話が急速に進んだ時間でした。怒涛の20時間の末に、1週間で3人目となる「電光石火の補強」が公式発表に至りました。通常、アトレティコは最後の1ユーロまで粘る交渉スタイルで知られており、こうしたスピード補強は異例です。クラブは常に交渉で有利な立場を得ようと奮闘しているのです。
しかし今回のハンツコについては、24時間もかかりませんでした。選手本人の強い希望が決定的でした。1年前も同様にシメオネの下でプレーしたいという思いを公にしていましたが、今回はそれすら必要ありませんでした。アトレティコとフェイエノールトは、変動額を含めて約3,000万ユーロで合意に至りました。
ハンツコは実はサウジアラビア行きが内定していた選手でした。そしてもう一人、同様に突然決まったのがティアゴ・アルマダです。当初はベンフィカ行きが濃厚だった彼を、アトレティコがわずか数時間で説得し、所属先のボタフォゴも同意。選手の決断を後押ししたのは、代表でも親しい仲のフリアンとジュリアーノの存在でした。実は彼も以前からアトレティコに近づいていた過去がありましたが、2024年1月にコレアの移籍が成立しなかったことで実現に至りませんでした。
そしてマルク・プビルの件も、スピーディに完結しました。以前から注目されていた彼ですが、アルメリアが求めた高額な移籍金(変動込みで2,000万ユーロ)により、一時はより安価なアレソ(オサスナ)にターゲットを変更。しかしアレソはビルバオへ移籍したため、アトレティコは当初の第一候補であるU-21スペイン代表のプビルに再度アプローチを開始。その後、数時間で交渉がまとまりました。しかも、モリーナの退団を待たずして契約は成立。ウルヴスやミランといった他クラブも交渉を進めていた中で、アトレティコが素早く動いた格好です。
バエナとカルドーソの穏やかな獲得
一方、落ち着いた交渉の末に獲得に至ったのがアレックス・バエナとジョニー・カルドーソの2選手です。バエナについては長らくビジャレアルと話し合いが続けられ、最終的に4,200万ユーロ+容易に達成可能な変動分800万ユーロで合意。これはクラブが求めていた契約解除金に近い金額でした。
カルドーソも同様に時間をかけた交渉でした。クラブワールドカップ敗退後の数時間のうちに、選手本人とベティスとの間で5年契約が成立。発表まではやや時間を要したものの、最終的にこのアメリカ人選手も赤白のユニフォームに袖を通すことになりました。
そして、今夏の6人目の補強であるルッジェーリは、まさに“電撃的かつ意外”な存在でした。MARCAが「3人目のCBは彼だ」と報じたときには、すでにアトレティコとアタランタの間で水面下の交渉が進んでいた(ちなみにムッソの完全移籍もこの両クラブ間で成立済み)。報道後に急加速した交渉ではあったものの、ハンツコやアルマダ、プビルのような電撃補強と比べると、やや時間を要したケースでした。
コメント