サン・ラファエルでのアトレティコの合宿総括

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アトレティコ・マドリーは、7月26日(土)にサン・ラファエルでの“ステージ”を終了しました。チームは今季プレシーズンの最初の1週間の準備を終え、次の1週間へと進みます。シメオネ監督のチームは、7月28日(月)午前9時から再びトレーニングを再開し、8月3日(日)にポルトガルで行われる今夏最初の親善試合、ポルトFC戦に向けて準備を進めます。

現時点で、プレシーズン初週からすでにいくつかの小さな結論を導き出すことができます。シメオネ監督にとって良かった点は、今季はほとんどの新戦力を最初から揃えることができたことです。これにより準備が大きく前倒しされました。なぜなら、チームは多くの選手が退団し、現時点で6名が加入するという大規模な再編を経験しているからです。

  1. システムについて

    シメオネ監督は常々、「手持ちの選手たちによってプレースタイルが決まる」と語っています。もちろん、好みのフォーメーションはありますが、それ以上に柔軟性を持った指導者です。アトレティコの指揮を執って10年以上の間に、様々なシステムを使い分けてきました。

    現時点では、来たるシーズンにおいて4-4-2を主軸に据える方針が明らかです。この1週間のほとんどの戦術練習でこのシステムが用いられました。例外的に4-3-3も1度だけ試されましたが、昨季(2023/24)や今季序盤で頻繁に使われた5-3-2の気配は今のところありません。ただし、今後の状況によっては再登場の可能性もあるでしょう。というのも、新加入の両サイドバック、マッテオ・ルッジェーリとマルク・プビルは、そのフォーメーションにもよく適応できるからです。

  2. 守備陣は調整中

    アトレティコは昨季、ラ・リーガで2番目に失点の少ない守備を誇り、シーズンを通して最小失点だった期間も長く、GKヤン・オブラクはサモラ賞(最小失点率GK)を受賞しました。

    この夏の補強の目的の一つは、高齢化していた守備陣の再構築です。第一希望だったクティ・ロメロこそ実現しませんでしたが、代わりにダヴィド・ハンツコがセンターバックとして加入。また、両サイドにはマッテオ・ルッジェーリとマルク・プビルが加わりました。

    ただし、この1週間の守備の練習は調整が必要なものでした。ハンツコは合宿中盤に合流し、十分な準備期間がない状態での参加でしたし、ヒメネス手はクラブワールドカップで負った怪我からのリハビリ中です。シメオネ監督はとりあえず、ジョレンテ、ル・ノルマン、ラングレ、ルッジェーリというラインを組みました。ハンツコの完全合流やヒメネスの復帰によって、センター争いはより熾烈になる見通しです。右サイドはジョレンテがほぼ不動のようで、モリーナとプビルが控えの選択肢です。

  3. カルドーソは調整段階

    守備的MF(ピボーテ)の補強も行われ、ジョニー・カルドーソがバリオスと並んで重要な役割を担う予定です。しかし、カルドーソは合宿中盤からの合流で、現時点ではまだ本来の実力を発揮していないようです。元ベティスの彼には、シメオネ監督が求めるプレースタイルへの適応が求められています。特に守備面では改善の余地があると見られ、監督は動きやポジショニングに細かく修正を加えていました。この初週ではコケ・レスレクシオンと交互にピボーテの位置を担っていました。

  4. コケとギャラガーは諦めない

    シーズン開幕に向けての構想はまだ完全に固まっておらず、一部のポジションでは流動性があります。そうした中で、コケとコナー・ギャラガーは印象的なプレーを見せました。

    コケは非常に良いコンディションで戻っており、「しっかり休めたので今までで一番調子が良い」と語っています。フィジカルテストでは常にグループのトップを記録し、シメオネ監督も複数回、主力メンバーとして起用していました。

    一方、ギャラガーも高いモチベーションで臨んでおり、前季は先発とベンチを行き来しましたが、今季はより多くの出場を目指しています。得点への意識も高く、トレーニングでは存在感を発揮。戦術テストの先発には含まれていませんでしたが、それが逆に彼を奮い立たせたようです。仮に移籍オファーが届いたとしても、彼自身はまだ戦い続ける意欲を見せています。

  5. アルマダがサプライズ

    今夏の新戦力の中で、最も周囲を驚かせた選手の一人がティアゴ・アルマダです。コケやル・ノルマンがコメントで名前を挙げるほど、好印象を残しました。

    俊敏でトリッキー、そしてゴール前での高い精度を持ち、シメオネ監督は両サイドで彼を起用しています。特にシュート練習では卓越した決定力を見せ、自身の長所をアピールしました。若さ、テクニック、ポリバレント性を兼ね備えた彼は、今夏の補強の中でも大きな期待を背負う存在です。

  6. 溢れる熱狂

    今回のステージで特筆すべきもう一つの点は、サン・ラファエルに集まったファンの熱狂ぶりです。ある日のセッションでは約1,000人近いファンが集まりました。宿泊先ホテル周辺はサインや写真を求める人々で賑わい、練習場にも毎回何百人というファン、特に子どもたちが詰めかけていました。

    この光景は、ファンが今季のプロジェクトにどれだけ期待しているかを物語っていると言えるでしょう。

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