アトレティコにはこの夏、明確な計画があります。フリアン・アルバレスを新たなスターとして中心に据え、クラブワールドカップ出場したメンバーのうち1995年以前生まれ(つまり2025年に30歳を迎える選手)15人を擁したチームの若返りを図ることです。
そのために必要なのは、シメオネ監督自身が望む選手を揃え、監督に納得のいく戦力を与えることです。たとえ多額の投資が必要でもです。アトレティコとチョロに最もフィットする選手を取りにいく。たとえばクティ・ロメロのように。
報道されているとおり、27歳のアルゼンチン代表CBは守備補強の第一候補です。トッテナムのレヴィ会長との交渉は難航が予想されますが、アトレティコはこの激しいプレースタイルと高いクオリティを持つDFの獲得を目指し、交渉を進めています。クラブとしては代替案も持ちつつ、あくまでこの第一候補に賭けています。
現在提示しているのは5,500万ユーロ+出来高1,500万ユーロで、実現すればクラブ史上最高額のDF獲得になります。ただし、この金額を引き上げる必要がある可能性が高いと見られています。
トッテナム側は譲らず、レヴィ会長はロメロをクラブ最高給の選手にする提案もしているようですが、ロメロ本人の意思は明確で、「アトレティコでプレーしたい」というものです。これは非常に大きな要素です。
かつては、プレミアリーグの主力選手を獲得するのは現実的ではありませんでした。しかし、アトレティコはすでに「夢の補強」だったフリアン・アルバレスを実現しています。そして、その流れが続いています。
「うまくいけばいいですね。本当に素晴らしい選手で、世界最高のセンターバックの一人だと思います。代表のチームメイトでもあり、素晴らしい人物です。彼が加われば、大きな力になります」と、アルバレス本人もASのインタビューでロメロの加入について語っています。
そして話は、2人のアルゼンチン人にとどまりません。
アトレティコは数か月にわたり、アレックス・バエナの獲得に取り組んできました。彼は中盤の起点として期待され、サウジアラビアからの巨額オファーを断り、イングランドからの関心にも応じず、ラ・リーガに残る決断をしました。今夏の目玉補強の一人です。
これは、「リストの5番目や6番目に手を伸ばす」のではなく、最初から狙った選手(=プランA)に絞って迅速に動くという姿勢を表しています。クラブワールドカップには間に合わなかったものの、プレシーズンからチームに加わる準備が整っています。
ジョニー・カルドーソ(23歳)も同様に、ラ・リーガで実力を証明した選手として獲得。さらにルッジェーリ(22歳)のように、重要ポジションへの補強ではスピード感をもって動いています。
昨シーズンのル・ノルマンのように、「理想的な補強」とされたCBの獲得には至らなかった例もあります。ですが、今夏の補強はチームの実力と目標、そして責任を押し上げるものです。
実際、現在のスカッドにいる選手のうち、もっとも市場価値の高い5人のうち4人はこの2年以内に加入しています(バリオスだけが下部組織出身)。
アトレティコは、長年の低調な補強路線を転換し、チーム力を高める投資型の補強に再び取り組んでいます。年々チームが年齢的にパフォーマンスを落としてきた中、2024年から始めた世代交代を本格化させ、グリーズマンやコケといったベテランに頼りすぎない新たな軸の構築を進めています。
今後の補強と課題
今後も調整が続きます。リケルメやコレアの退団があれば、その代役として「突破力のあるアタッカー」の補強が必要です(場合によってはリノやデ・パウル、その他の選手の動きに応じて、ルックマン獲得の道が開かれる可能性もあります)。
現在、アトレティコのチーム総価値はTransfermarktで約6億ユーロ。2019年の9億6,970万ユーロからは下がったものの、2024年には一時4億1,780万ユーロまで落ちていたことを考えれば再び上昇傾向にあります。アトレティコは新フォーマットのクラブワールドカップへの初出場を決めましたが、再び出場するには、今後4年間の成績でバルセロナやレアル・マドリーを上回る必要があります。これは非常に大きな挑戦です。
現在のレアル・マドリーの評価額が13億4,000万ユーロ、バルセロナが10億9,000万ユーロであることを考えると、なおさらです。2倍以上です。シメオネ監督の計画に合致し、フィジカルとスタミナを兼ね備えた選手を獲得すること。昨年3月まで見られたような、3つのタイトルを争いながら最終的に崩壊したような過去ではなく、新たな高みを目指すこと。そして、チョロ監督が目標として隠さない待望のチャンピオンズリーグ。「プランA」とは、選ばれた選手と共に戦うことです。
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