アトレティコ・マドリーでは、ここ数か月にわたって世代交代が進んでいます。今年1月にはアンドレア・ベルタのスポーツディレクター退任が正式に発表され、そこからドミノ効果のように人事が動き、この1週間でアトレティコBおよびフベニールA(U-19)を4年間指揮してきたフリオ・デ・マルコの退任に至りました。
デ・マルコは2021年にアーセナルからアトレティコに加わり、当時ベルタのサポートとして着任しました。クラブは低迷していた下部組織の再建と、質の向上を求めており、その任務をデ・マルコが担うこととなりました。
当時、アトレティコBはスペイン5部相当の「テルセーラRFEF」に所属しており、より競争力の高いカテゴリーへ引き上げることが急務でした。デ・マルコがまず下した最初の決断は、ルイス・テベネット監督の招聘でした。彼は4年間のうち3シーズンでBチームを指揮し、テルセーラRFEFからプリメーラRFEF(3部相当)まで2年連続で昇格させました。
その後テベネット監督は、トップチームでディエゴ・シメオネ監督のアシスタントに昇格し、最近ではボタフォゴにてダビデ・アンチェロッティ監督の補佐を務めるためにクラブを離れたばかりです。この経歴が、彼をアトレティコに招聘した判断の正しさを物語っています。
また、フベニールAはこの4年間でリーグ優勝2回と、コパ・デ・カンペオネス(王者杯)を1回制覇し、2022年にはヨーロッパの頂点を争うユースリーグでファイナル4に進出。指揮を執っていたのはフェルナンド・トーレスで、彼は3シーズンにわたり監督を務めたのち、Bチームでテベネットの後任となりました。
パブロ・バリオスを後押ししたキーマン
デ・マルコがアトレティコBおよびフベニールAの責任者として、プロ部門のスポーツディレクターの一員であった間、下部組織の選手たちが著しい成長を見せ、トップチームとの距離を大きく縮めました。
BチームがテルセーラからセグンダRFEF(4部相当)に昇格した初年度には、ジュリアーノ・シメオネがセンターフォワードとして活躍し、25ゴールで得点王となりました。翌年の昇格シーズンにはカルロス・マルティンが引き継ぎ、20得点を挙げる素晴らしい活躍を見せました。
同じ時期、パブロ・バリオスはシーズン前半からBチームで存在感を示しており、デ・マルコは彼のキャリアの重要なタイミングで、ジュニア世代からプロへの移行を後押しした最大の支援者となりました。バリオスは将来、アトレティコのレジェンドになれる可能性を秘めています。
ジュリアーノはその後、2度のレンタルを経験し、現在はトップチームでも定着しつつあります。カルロス・マルティンは、今や複数のプリメーラ(1部)クラブが獲得を争うほどの注目株となっており、彼もレンタル期間を経て評価を高めました。
レアル・マドリーとの下部組織争いと国際的スカウトの増加
この間、アトレティコはレアル・マドリーとのカンテラ争いの激化にも直面してきました。「フォルテア事件」により両クラブ間の協定が破綻し、以降は激しい競り合いが続いています。そのなかでもアトレティコは、将来性ある選手をクラブに留めるため最大限の努力を続けてきました。
しかし、ライバルはレアル・マドリーだけにとどまりません。PSG、ドルトムント、ライプツィヒ、バイエルン、そしてイングランドのクラブなど、若手有望株への投資に積極的なクラブが常にアトレティコの選手を狙ってきました。
この数年で、アカデミーの試合に足を運ぶスカウトの数は飛躍的に増加しており、マハダオンダやアルカラの試合会場では、かつては数名だったスカウトが、今ではイタリア、イングランド、ベルギー、ポルトガル、ドイツ、フランスなど、各国から集まる国際的なスパイ網と化しています。
Bチームは昇格プレーオフ目前まで到達、契約解除前の準備も万全
今シーズン、Bチームはフェルナンド・トーレス監督の下で、セグンダ(2部)への昇格プレーオフ目前まで迫る好成績を収めました。過去2シーズン、カスティージャ(レアル・マドリーB)と同じグループで戦った際には、一度は順位で上回り、もう一度は勝ち点で並びました。
すでに数週間前、ジャーナリストのマルコス・ドゥラン氏が報じたように、アトレティコはデ・マルコとの契約を解除する方針を固めており、今週ついにその決定が正式に下されました。しかしながら、彼はすでに次シーズンに向けた準備の多くを済ませていました。
その一例として、2006年生まれで大きな期待が寄せられているMFハビ・モルシージョをサバデルから獲得したことや、フリオ・ディアスとボニャールの契約更新などが挙げられます。
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