「クティ・ロメロが欲しいかって?もちろんです!素晴らしい選手です」。ディエゴ・パブロ・シメオネは、自国の後輩について問われた際、このように断言しました。アルゼンチン人DFは、早期敗退を喫したクラブワールドカップでの課題を受け、アトレティコの守備強化の最優先ターゲットです。しかし、トッテナムはそう簡単には首を縦に振りません。まだ契約も残っており、主将の一人を安売りするつもりはないからです。
マッテオ・ルッジェーリの獲得をほぼ決め、ジョニー・カルドーソやアレックス・バエナも大詰めを迎える中で、アトレティコは市場で歩みを止めていません。この2人と並んでクティ・ロメロこそが、カルロス・ブセロSDが率いるスポーツ部門の今夏最大のターゲットです。すでに2人はリストから消えましたが、最後の1人が予想以上に手ごわいのは「どう獲るか」ではなく「誰を獲るか」だからです。
『The Telegraph』が報じ、『AS』も確認したところによれば、ダニエル・レヴィ会長はロメロの値札を7,000万ユーロに設定しています。アトレティコ側はこの金額には応じるつもりはありません。トッテナム側に追い風が吹いています。2027年6月までの長期契約があり、世界王者のDFを新監督トーマス・フランクの下での新プロジェクトの軸と見ています。スパーズはすでにロメロ本人に、契約を全うするか、できれば延長してほしい意向を伝えたとも報じられています。
とはいえ、人生と同じで「すべての価格は交渉可能」です。アトレティコの上限は6,000万ユーロで、これも高いと見ていますが、シメオネの強い希望ゆえにテーブルに乗せる覚悟です。アトレティコのプランは、今月末までに再び交渉を本格化し、レヴィ会長の要求を引き下げさせることにあります。すでにお伝えしたように、選手本人からの「イエス」は取り付けています。ロメロが「トランスファーリクエスト(正式な退団希望届)」を出してクラブに退団意志を伝えるという、いわゆる“造反”も視野に入れているともいわれます。
アトレティコにとって有利なのは、トッテナムとロメロの関係が決して良好ではない点です。アンジェ・ポステコグルー監督の退任が決定打となり、レヴィ会長やメディカルスタッフとの間でくすぶっていた火種が爆発しました。現時点で来季ユニフォームのプロモーションにもロメロは起用されていません。トッテナムは7月中旬にプレシーズンを開始しますが、アルゼンチン人DFの去就という“大きな課題”を抱えたままです。
インカピエがプランB
ただし、「クティ」がダメだった場合のプランBも用意されています。それがピエロ・インカピエです。エクアドル代表DFはタジェレス時代からアトレティコが注視してきた選手で、その堅実な守備力と、センターバックでもサイドバックでもこなせる汎用性が大きな魅力です。今夏、バイヤー・レバークーゼンを退団することは既定路線で、契約解除条項は6,000万ユーロですが、実際にはそれ以下での移籍が見込まれています。
メトロポリターノのクラブ首脳陣は、インカピエをロメロの代役として理想的と見ており、仮にセンターバックの大物が抜けた場合にはその“補完役”としても期待しています。若くして経験豊富、将来性もあり、ビルドアップ能力も高く、守備も堅い。人によっては「クティよりいい」と評する声さえあります。
当面は待つしかありません。ルッジェーリ、バエナ、カルドーソに続き、ディフェンダーを巡るメロドラマが次に解決されるでしょう。一歩ずつ、着実に。
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