アトレティコ・マドリーは、パリ・サンジェルマンに大敗を喫した後、失敗の許されない状況でワシントン州のシアトルに乗り込みました。フランスの強豪に敗れたあと、ロヒブランコスの選手たちは「カタールワールドカップの精神」にすがりつき、状況をひっくり返せると信じていました。なぜ夢見てはいけないのでしょう? アルゼンチン人選手たちが世界大会で成し遂げたように、今度はクラブでのタイトルを。
現時点での最大の収穫は、シアトル・サウンダーズ相手にやるべきことをきちんとやり切ったことです。サウンダーズはアトレティコよりも競技レベルで数段下ではあるものの、初戦のPSG戦では見られなかった「情熱」「闘志」「エネルギー」を存分に発揮してきました。
それでも、シメオネ監督率いるアトレティコはきっちりと勝ち点3を獲得し、クラブワールドカップの決勝トーナメント(ラウンド16)進出に向け、自力での突破の可能性を残しました。最終節では、現コパ・リベルタドーレス王者ボタフォゴとの対戦を控えています。パブロ・バリオスが前後半に1点ずつ、さらにヴィツェルが1点を決めて、難敵サウンダーズ相手に勝利を収めました。
試合開始早々、アトレティコは決定的なチャンスを迎えます。フリアン・アルバレスがペナルティエリア内で完全にフリーとなり、狙いすましたシュートを放ちますが、ポストを狙いすぎて枠外に外してしまいます。
続いてセルロートがボールを奪い、ジュリアーノ・シメオネへパス。落ち着いてプレーを組み立て、後方から走り込んできたパブロ・バリオスにラストパス。バリオスのダイレクトシュートはクロスバーを叩いてゴールイン。アトレティコが先制します。
アトレティコは、PSG戦でマイナスになった得失点差を埋めるべく追加点を狙って攻め続けます。セルロートにもビッグチャンスが訪れますが、ゴール前4メートルという至近距離で大きく外してしまい、シメオネ監督も呆れ顔。
その直後、シアトルも反撃に出ます。ルスナクのクロスにムソフスキが頭で合わせますが、GKオブラクの正面。アトレティコの守備陣に軽率な対応が見られ、危うい場面も。
その後もセルロートは決定機を逃し続け、アルバレスのスルーパスを受けてGKを交わしたものの、最後のシュートはGKフレイの体に当ててしまいます。
サウンダーズはホームの大声援を背に勢いを増し、ベルがペナルティエリア外から強烈なシュートを放ちますが、オブラクが見事にセーブ。
前半終了間際には、ジュリアーノがエリア内で倒され、PKが宣告されるも、VARの介入により取り消されます。
後半開始と同時に、負傷のヒメネスに代わってヴィツェルが投入されます。そして、そのヴィツェルがいきなり得点。CKのトリックプレーから、ジョレンテのシュートがバーを叩き、こぼれ球をル・ノルマンがつなぎ、ヴィツェルが頭で合わせてゴール。2点目を挙げます。
しかし、ここで終わらないのがシアトルの執念。すぐさまルスナクが1点を返し、1点差に詰め寄ります。ル・ノルマンがクリアしきれなかったボールをゴール前で叩き込まれ、オブラクも防ぎきれませんでした。
一進一退の展開の中、アトレティコが流れを引き戻します。シメオネ監督の指示でスローインの戦術を変え、ジョレンテがエリア中央へボールを入れると、セルロートが粘ってボールをつなぎ、最後はバリオスがGKの逆を突くシュートでこの日2点目。勝負を決定づけました。
終盤には、守備を固めるためフリアン・アルバレスを下げてナウエル・モリーナを投入し、5バックへと移行。勝ち点3は守りきったものの、得失点差をもっと稼げた可能性もあっただけに、やや惜しさも残る終わり方となりました。
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