アトレティコ・マドリーは、クラブ・ワールドカップ初戦で苦い敗北を喫しました。たしかに現時点でパリ・サンジェルマンは世界でもっとも好調なチームかもしれませんが、問題はアトレティコが見せたパフォーマンスでした。本来であれば、この大会に向けて数か月前から準備していたはずですが、実際に見られたのはシーズン終盤の不調を引きずったチームの延長線に過ぎませんでした。
特にPSG戦では左サイドの脆さが露呈しました。このサイドにはガラン、リーノ、ヘイニウド、ギャラガー、そしてバリオスまでもが入り代わり立ち代わり起用されました。相手の疲労と、フランス勢がペースを落としたことでアトレティコはある程度落ち着きを取り戻しましたが、それでも不安定さは否めませんでした。
エストレマドゥーラ出身のガランはドゥエ相手に苦しみ、リーノはボールを保持することさえ難しい場面が目立ちました。後半にはフランス側の勢いが落ちたことで、ヘイニウドや下部組織出身のバリオス、さらにはギャラガーがある程度安定して左サイドをカバーできるようになりました。
この左サイドは、今夏アトレティコが完全に刷新を目指している部分です。ただし、その刷新はクラブワールドカップには間に合いませんでした。ミッドフィールダーの左サイドにはアレックス・バエナの加入が有力視されており、契約締結も間近で、すべてが順調に進めば次の移籍市場で加わる可能性があります。
その背後では左サイドバックの補強も進められています。当初クラブは若返りを狙っていましたが、カレーラスの獲得が不可能となり、ミゲル・グティエレスの交渉も難航していることから、代替案としてリバプールのロバートソンやアストン・ヴィラのディニュといった“ローコスト”の選択肢に目を向けているようです。
左サイドでは、センターバックの不安定さも露呈しました。この試合で左センターバックとして起用されたラングレは、もっとも批判を浴びた選手となり、最終的には退場処分を受けました。このポジションにおいて、シメオネ監督は“クティ”・ロメロの獲得を夢見ています。経験豊富で、何よりチームに闘志を注入できる選手です。控えの候補としては、バイヤー・レバークーゼン所属のインカピエの名が挙がっています。
中盤も決して良い働きができたとは言えません。シメオネ監督はセルロートではなくグリーズマンを中盤に下げて厚みを持たせようとしましたが、ヴィティーニャ、ファビアン、ネヴェスのトリオに圧倒されました。デ・パウルとバリオスは完全に凌駕され、唯一、途中出場のコケがやや流れを変えた程度でした。これによって、守備的MF(いわゆる「5番」)の必要性が再確認されました。このポジションにはジョニー・カルドーソの加入が計画されています。選手本人との合意はすでにあり、あとは所属クラブであるレアル・ベティスとの交渉が残されています。
アトレティコはこのように、4人の新戦力によってチームの再建を図っています。現状、ロサンゼルスでの一戦を見る限り、現ヨーロッパ最強の一角であるPSGとは明らかな差があることが浮き彫りになりました。
また、メトロポリターノではドリブル突破に長けたウイングの補強も検討されています。シメオネ監督が特に求めているのは、ブロックを固めて守る格下チーム相手に打開できるアタッカーです。
さらに、今後の移籍によって放出される選手の代わりも補強される見込みです。コレアの退団が確定すれば、その代役となるストライカーが必要になりますし、ナウエル・モリーナが移籍した場合には右サイドバックが補強されることになります。アトレティコ・マドリーの未来は、まさにこの移籍市場が左右することになるでしょう。
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