アトレティコ・マドリーは、来シーズンに向けたプロジェクトのためのロードマップをすでに描いています。そして現時点での状況では、多くのファンが望んでいるストライカー補強候補のひとりが、その計画には含まれていないようです。話題となっているのは、スポルティングCP(ポルトガル)のスウェーデン人フォワード、ヴィクトル・ギェケレシュです。彼は現在、ポルトガル国内だけでなく、ヨーロッパ全体でも注目されている攻撃陣の一人です。
彼がポルトガルで見せた圧巻のシーズンは、当然ながら無視できるものではありません。というのも、彼は昨季、出場したさまざまな大会で合計54ゴールを挙げ、ゴールデンブーツ争いにも加わっていたからです。それほどの活躍ぶりであり、優れた選手であることは明らかですが、アトレティコ内部では、同クラブが彼の獲得候補に挙がっているという報道に対し、驚きをもって受け止めていると、クラブ関係者は語っています。
アトレティコによれば、現時点で彼は獲得リストに載っておらず、それが変わるとすれば、陣容に大きな動きがある場合だけだとしています。昨シーズンには、フリアン・アルバレスに7,500万ユーロ(+ボーナス1,500万ユーロ)、さらにアレクサンデル・セルロートには、ビジャレアルに対して3,200万ユーロ+800万ユーロの変動額が支払われました。
現時点でクラブは、ノルウェー人のセルロートとアルゼンチン人のアルバレスが、来季の攻撃陣における主力であると考えています。加えて、現在の最大の補強目標であるアレックス・バエナとクティ・ロメロの獲得には多額の資金が必要になると見込まれており、ギェケレシュのような選手に7,000万ユーロも支払う余裕はないというのが実情です。
さらに、アトレティコはある点にも注目しています。ギェケレシュのプレースタイルは、細かい違いはあるものの、セルロートと似ているという点です。シメオネ監督はすでに、フィジカルが強く、高さのあるターゲットマンタイプのFWをチームに抱えています。もちろん、ギェケレシュの方がより俊敏でスピードもあり、技巧的ですが、似たタイプの選手はすでに存在しており、そのような選手に多額の資金を費やすのは合理的ではないと考えています。
コレアの件はまだ未定
また、アントワーヌ・グリーズマンの契約延長により、シメオネ監督は来季、3人の優れたストライカーを起用できる見通しです。この体制が基本路線であり、今後何か変化がなければそのまま維持される予定です。また、アトレティコとしては、アンヘル・コレアがこの夏に退団するとはまだ確信していません。クラブは、彼が契約が1年残っているにもかかわらず、退団できると早合点したと受け止めています。現時点で、彼に対する具体的なオファーは届いていません。
仮に彼が退団することになった場合、クラブが探すのは、ギェケレシュのような高額選手ではなく、「切り札的な」FWとなるでしょう。ファビオ・シルバやプアドのようなタイプです。つまり、主力ではなく、サブ的な役割を担う補強です。
過去にも前例が…スアレス、アルバレスのケース
とはいえ、ギェケレシュの件が完全に「不可能」かと言えば、そうとも言い切れません。アトレティコ・マドリーに関して「不可能」と言い切るのは、あまりにも大胆すぎるからです。過去にも、ルイス・スアレス、アントワーヌ・グリーズマンの復帰、そしてフリアン・アルバレスの獲得など、当初は否定されていた案件が実現したことがあります。
では、ギェケレシュの獲得が現実的になるには、何が起きなければならないのでしょうか?――それは、非常に重要な選手の退団です。しかも、前述の「選手タイプ」の観点からも、セルロートの退団が理想的です。アトレティコは、彼がヨーロッパで良い評価を得ていることを認識しており、ACミランやオリンピック・マルセイユといったクラブが彼に関心を示しているとされています。その場合、アトレティコが彼に支払った4,000万ユーロ以上で売却できれば、ギェケレシュ獲得の可能性が出てきます。これはクラブ内部の見解です。
ただし、実際にどうなるかは分かりません。なぜなら、アトレティコでは「言ったこと」と「やったこと」が食い違う例が、過去にも何度もあったからです。
アトレティコには、ポルトガルリーグの得点王がロヒブランコでプレーしたがっているという報道(一部で報じられた)は確認されていません。彼が元スポーツディレクターであるアンドレア・ベルタのリストに載っていた選手であることは認められていますし、実際、ベルタは彼をアーセナルに獲得しようとしています。いずれにせよ、それも影響するものではありません。なぜなら、現状では、スウェーデン人選手を夢見るのに適切な状況ではないからです。
コメント