アンヘル・コレアは、メトロポリターノのピッチに一人残っていました。最初に向かったのはスタンド裏。ユニフォームを手渡し、そして何よりも――これまでもずっとそうだったように――10年間にわたる応援への感謝の気持ちを伝えるためでした。目には涙を浮かべ、身近な人たちに囲まれて。その姿は、人生で幾度も厳しい現実に直面してきた彼だからこそ、常に“自分の人たち”と共にあるのだと感じさせました。
そうして彼は1時間ものあいだ、自分のフィールドを歩き続けました。なぜなら、そこは永遠に彼のフィールドだからです。妻、娘たち、兄弟、友人たちとともに。かつて一日のうちに昼と夜の食事すらままならなかった少年にとって、フットボールの才能が導いたその人生は、夢のまた夢だったはずです。
このエピソード――決して些細なことではありません――こそが、「背番号10番」の選手がファンからこれほどまでに愛される理由です。人生においても、そしてこの即興の別れにおいても、彼はまさに「10点満点」でした。クラブからの正式なセレモニーは行われませんでした。なぜなら、クラブとしては彼の退団がまだ確定していない(そして「適正な金額であれば放出する」とあらためて説明した)ためですが、この数日の唯一の残念な点といえるでしょう。しかしながら、観客席からも、本人からも、そしてロヒブランコの日常を支える全ての人々からも、温かな別れの雰囲気が自然と生まれていました。そして、その間もコレアは涙を流していました。
「アンヘリート」がメトロポリターノで最後の写真を撮っていたそのとき、彼のことを最もよく知る人物が、彼を完璧に言い表していました。ヨーロッパでただ一人の指導者、ディエゴ・シメオネ監督です。彼はこう語りました――
「彼はアトレティコ・マドリーの象徴だ。人々が彼を愛しているのは、その献身、努力、才能、そして若くしてクラブに加わり、最高の形でクラブを代表してきたからだ。」
キャプテンとスタッフたち
日曜夜に起きた出来事の中で、注目すべき点が2つあります。まず1つは、彼の場内一周に特別な同行者がいたことです。キャプテンのコケです。彼は誰よりも知っているのです。アンヘリートが「自分たちのアトレティ」の価値を体現してきたことを。思春期のコレアが深刻な心臓の問題を、エリア内でディフェンダーをかわすかのような自然さで乗り越えたときから、彼はそこにいました。
そしてもう1つは、コケやオブラクだけでなく、日々ロヒブランコのクラブを支える全スタッフが彼に拍手で別れを告げたことです。そう、ピッチには立たなくても、クラブを完璧に動かしている人たちです。彼らもまた、10年間のロヒブランコスの選手としての時間に一区切りをつけた(少なくとも本人はそう感じている)コレアを抱きしめて送り出しました。彼が残した足跡は、88ゴールや巧みなトリックプレーだけにとどまらない、もっと深いものであったことを証明する別れとなりました。
コメント