クラブワールドカップの公式球がフリアンの論争を終わらせる

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フリアン・アルバレスはPKの際にボールを1回蹴ったのか、それとも2回蹴ったのか? これは、レアル・マドリーとアトレティコの“ユーロダービー”が残した大きな疑問です。しかし、その論争はFIFAクラブワールドカップの公式球によって解決されることになりそうです。このボールには500Hzの慣性測定ユニットを搭載した内部センサーが備えられており、「すべての個別のタッチを識別する」ことが可能です。これは、アディダスが開発した「コネクテッド・ボール・テクノロジー」であり、今年の夏にアメリカで開催されるクラブワールドカップで初めて導入されます。

「フリアンが2回ボールを蹴ったのを見た人は手を挙げてください。誰も手を挙げませんよね?」と、チャンピオンズリーグ準々決勝進出を決めた試合後、ディエゴ・パブロ・シメオネ監督は語りました。一方で、カルロ・アンチェロッティ監督は「2回目のタッチで左足に当たったように思う」とコメントしました。まさに“100万ドルの疑問”となったこのプレーについて、アディダスは最新技術を搭載したクラブワールドカップ公式球で対応することを決めました。

このボールは、スポーツテクノロジー企業Kinexonと共同開発され、ボールに対するすべての個別のタッチを識別できるセンサーを搭載しています。これにより、VAR(ビデオアシスタントレフェリー)がこのような問題を迅速に解決できるようになります。

「コネクテッド・ボール・テクノロジー」とは?
アディダスの「コネクテッド・ボール・テクノロジー」は、ボールの中心にサスペンションシステムを組み込み、その中に500Hzの慣性測定ユニットを備えたモーションセンサーを格納することで、ボールのあらゆる動きをかつてないレベルで分析できるといいます。

このセンサーは充電式バッテリーで駆動し、ワイヤレス充電が可能です。また、リアルタイムでVARにボールの動きのデータを送信することで、選手の位置情報やAI技術と組み合わせ、審判の迅速な判定をサポートするとアディダスは説明しています。

アディダスがこのボールを発表した際には、「ハンドの判定に関する問題」についても言及しました。しかし、チャンピオンズリーグのマドリードダービーの後、この技術はアルバレスのようなケースにも大きな影響を与えると見られています。

空力の安定性も向上
クラブワールドカップの公式球には、「プレシジョンシェル(Precisionshell)」と「CTR-Core」と呼ばれる技術も採用されています。これは、20枚の外部パネルと内部の構造によって、ボールの安定性と信頼性を向上させるものです。

このボールは研究所での試験と実際の試合でのテストを経ており、形状の維持と空気保持力を高めることで、よりスピーディかつ正確なプレーを可能にします。

市販モデルと社会貢献
このボールの市販モデルは、2月1日から160ドル(約2万4,000円)で販売開始されています。ただし、当然ながら市販モデルには上記のような高度なテクノロジーは搭載されていません。特別仕様のセンサー付きボールはクラブワールドカップの試合でのみ使用されます。

さらに、アディダスはこのボールの売上の1%を「コモン・ゴール(Common Goal)」という財団に寄付すると発表しました。この財団は、貧困地域での社会変革を促進する活動を支援しており、サッカーを通じたより包括的な未来の実現を目指しています。

アメリカを象徴するデザイン
このボールは、6月14日から7月13日まで開催されるFIFAクラブワールドカップの全63試合で使用されます。決勝戦はニューヨークのメットライフ・スタジアムで行われる予定です。

デザインは開催国アメリカを讃えるものとなっており、アメリカ国旗の色(白・青・赤)を基調としたパールホワイトの背景に、シルバーのアクセントが加えられています。ボールには白と金色のクラブワールドカップのロゴも施されています。

アディダスのジェネラルマネージャーであるサム・ハンディ氏は、「このデザインの完成に18か月を費やし、アメリカ文化の象徴的な要素を細部まで洗練させました」と語りました。

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