U-19アトレティコMFバリオス、古巣レアル相手にゴラッソ2発…レアルに見限られても母親を亡くしても進み続ける18歳

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2日に行われたUEFAユースリーグ・ベスト16、レアル・マドリー対アトレティコ・マドリー(2-3)で、古巣相手に驚異的なゴラッソを2発決めたアトレティコMFパブロ・バリオス。フットボール界に強烈な印象を残したこの18歳は、母親と別れを告げたばかりだった。スペイン『マルカ』がレポートしている。

バリオスは若くしてドラマのような日々を送ってきた。ベンハミン世代(8〜9歳)にマドリーの下部組織に入団した彼は、2017年に戦力外通告を受け、大きな失意の中で声をかけてきたアトレティコでさらなる成長を、マドリーを見返すことを誓った。アトレティコではU-17、U-18、そして現在プレーしているU-19と順調にステップアップを重ねてきている。

そして今回の古巣との一戦では、まさに圧巻だった。フェルナンド・トーレス監督が見守る中、バリオスは24分に先制点を記録。ペナルティーエリア手前でルーズボールを拾うと、巧みなボール扱いで一人、また一人とマドリー守備陣をかわしてエリア内に侵入し、左足のグラウンダーのシュートを決め切った。また66分にはゴールから約30メートルの距離から右足を一閃。ぐんぐんと軌道を上げるボールが勢いよく枠内右隅に突き刺さり、チームに3点目をもたらした。バリオスは1アシストも記録しており、間違いなく、このダービー勝利の立役者だった。

バリオスはマドリー時代、将来トップチームの主将になる器と話されるなど、その強靭なメンタリティーによって知られていたそう。アトレティコでもそれは変わることなく、選手としての能力はもちろんのことリーダーシップ、意思の強さ、仲間想いなところも際立つ長所であるという。もしかしたらバリオスは、そのために今回のダービーでも活躍したのかもしれない。

というのも、バリオスは昨年11月に母親のエレーナさんを亡くしていたのだった。

エレーナさんはバリオスにとって最愛の人物の一人であり、9月に行われた今季最初のマドリーダービーでは、自分にとって特別な試合だと観戦に来させていた。彼女は数カ月前に難病にかかっていたことが明らかとなり、それから間もなくして、次のダービーを見ることができぬまま天へと旅立っている。

バリオスがどれだけ辛い日々を過ごしたかは、想像に難くない。エレーナさんの病気を受け入れなければならず、その悲しみの中で学校の授業を受け、練習に取り組み、病院に通う……。だが、それでも彼はいつも笑顔を見せながら過ごしていたそうだ。たとえつまずいても、あきらめずに前を向く……その強靭なメンタリティーは、ここでも発揮されたのだった。

『マルカ』は、このレポートを、次のような文章で締めている。

「ゴールを決めたバリオスは空を見ることなく、普段のようにそれを祝っていた。しかし、彼の頭と心は母親の方に向けられていた。彼は天に自分の素晴らしい、最高の“支持者”がいることを理解している。・リバスは、私たちに人生の新たな教えをくれたのだ。ありがとう」

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