シーズンレビュー:スペイン

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スペイン・サッカー界の強さがあらためて証明された今季は、クラブ・アトレティコ・マドリーが18年ぶり10回目のスペイン・リーガ優勝を果たしただけでなく、シーズン通算勝ち点数と勝利数、得点数でクラブ記録を塗り替えた。

2013-14シーズンのスペイン・リーガを制したクラブ・アトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督ほど、「一つひとつ試合を戦っていく」という言葉を口にした監督はいないだろう。

しかしシメオネ監督は、スポーツ界で広く聞かれるこの常套句を、チームのモチベーションを上げる魔法の言葉に変えてみせた。その事実は、アトレティコがクラブ通算10回目のリーグ優勝を果たし、スペインの2強を驚かせた今季を象徴するエピソードの一つと言っていい。今季のロヒブランコス(アトレティコの愛称)はUEFAチャンピオンズリーグ決勝まで勝ち上がり、悲願の欧州初制覇、そして2冠達成まであと一歩に迫ったが、宿敵レアル・マドリーCFの前に劇的な敗北を喫して力尽きた。一方、UEFAヨーロッパリーグでもセビージャFCがドラマチックな勝利で3度目の優勝を決めており、欧州サッカー界におけるスペイン勢の強さを印象づけるシーズンとなった。

リーグ王者:クラブ・アトレティコ・マドリー
アトレティコは3位でフィニッシュしたレアル・マドリーを敵地で倒すなど、開幕8連勝と史上最高のスタートを切る。しかし、連覇を狙う王者FCバルセロナも同じく勝利を重ね続けたため、シメオネ監督から威勢のいい言葉が聞こえてくることはなかった。それでもレアル・ソシエダ・フットボルに4-0と圧勝し、今季初めて単独首位に浮上した第22節を終えると、この44歳のアルゼンチン人指揮官も可能性を否定できなくなっていく。最終的に27ゴールを挙げたFWジエゴ・コスタの活躍も、開幕前にASモナコFCへ移籍したラダメル・ファルカオの不在をまったく感じさせないものだった。

一方、リーガ最少失点を記録したアトレティコ最終ラインでは、20試合を無失点に抑えたGKティボ・クルトワが大きな存在感を放つ。チェルシーFCから期限付き移籍中の守護神は、1試合平均失点率が最も低いGKに与えられるサモラ賞を2シーズン連続で獲得した。また、中盤には安定感のある主将ガビが君臨したほか、ラウール・ガルシアがゴールを量産。コケも期待以上の活躍を披露し続けるなど、適材適所で才能が輝きを放った。そして、「一つひとつの試合」を戦った末に迎えた今季最終節、敵地でバルセロナと引き分ければ1996年以来のリーガ優勝を決められることに。この試合ではディエゴ・ゴディンが同点ゴールを決め、久々に栄冠を手に入れた。

カップ戦決勝:レアル・マドリーCF 2-1 FCバルセロナ
マドリーのアタッカー、ガレス・ベイルは、トッテナム・ホットスパーFCから推定1億ユーロ(約130億円)で移籍した当初、ケガに悩まされた。しかし7度目となった宿敵バルセロナとのスペイン国王杯決勝で、残り5分にバルサのDFマルク・バルトラをかわして大会史に残るゴールを決めるころまでには、このウェールズ代表ウィンガーのコンディションに対する問題ははるか過去のものに。バルトラはアンヘル・ディ・マリアの先制点を帳消しにする同点ゴールを挙げていたが、最後はベイルが決勝点を奪い、マドリーに通算19回目の国王杯優勝をもたらした。

欧州カップ戦出場権*
クラブ・アトレティコ・マドリー – UEFAチャンピオンズリーグ、グループステージ
FCバルセロナ – UEFAチャンピオンズリーグ、グループステージ
レアル・マドリーCF – UEFAチャンピオンズリーグ、グループステージ
アスレティック・クラブ – UEFAチャンピオンズリーグ、プレーオフ
セビージャFC – UEFAヨーロッパリーグ、グループステージ
ビジャレアルCF – UEFAヨーロッパリーグ、プレーオフ
レアル・ソシエダ・フットボル – UEFAヨーロッパリーグ、予選3回戦
*UEFAの最終決定を要する

年間最優秀選手:(クラブ・アトレティコ・マドリー)
アトレティコの下部組織で育ち、ヘタフェCFとレアル・サラゴサへの移籍を経て古巣に戻ったガビは、頼れる主将としてチームを牽引。アトレティコは見事にリーガを制し、10年間におよんだレアル・マドリーとバルセロナのタイトル独占にピリオドを打った。2013-14シーズンのリーグ戦で彼より決定的な働きをした選手はいたかもしれないが、36試合3得点を記録した30歳のMFは堅固な意志と闘争心に満ちたパフォーマンスでチームメートを鼓舞。敵地カンプ・ノウでリーグ優勝を決めた最終節では、自らのCKでゴディンの決勝点をアシストしている。

注目選手:アンデル・イトゥラスペ(アスレティック・クラブ)
過去最高のシーズンを過ごした25歳のMFは、アスレティックを4位に躍進させただけでなく、来季のUEFAチャンピオンズリーグ・プレーオフ出場権をもたらす原動力となった。強烈なタックルとハードワーク、そして最終ラインからボールを引き出す卓越した能力は、スペイン代表のビセンテ・デル・ボスケ監督にも高く評価され、シーズン終了後のボリビア戦で代表デビューを果たしている。

予想外の躍進:アスレティック・クラブ
アスレティックがUCLグループステージを最後に戦ったのは1998-99シーズンまでさかのぼるが、エルネスト・バルベルデ監督率いるチームは今季のリーガを4位で終え、プレーオフ経由ながらも再び欧州最高峰の舞台に立つチャンスを手に入れた。シーズン20勝を挙げ、本拠地サン・マメスでわずか2敗と強さを発揮したロス・レオネス(アスレティックの愛称)は、2試合を残して4位でのフィニッシュを確定させている。「うちのようなチームにとって、とりわけこのクラブの特別な哲学を考えれば、アトレティコ・マドリー、バルセロナ、レアル・マドリーに次ぐ順位は成功を意味する」とバルベルデ監督は語った。

得点王:クリスチアーノ・(レアル・マドリーCF)、31ゴール

降格:レアル・ベティス・バロンピエ、レアル・バジャドリーCF、CAオサスナ

昇格:SDエイバル、RCデポルティボ・ラ・コルーニャ、残り1チームは未定

数字:593
バルセロナの主将カルレス・プジョールが、長引くひざの負傷により今季限りで現役を退いた。バルセロナには少年時代から在籍し、通算600試合出場の大記録まであと7つとしていた。一方、プジョール引退のニュースが発表された直後には、2012-13シーズンにバルサをリーガ優勝へ導いたティト・ビラノバ元監督が、長期にわたる闘病生活の末に45歳で亡くなっている。

名言:
「今日という日は、このチームの歴史で最も重要な一日として記憶されるものの一つになるだろう。リーガ王者としてバルセロナの地を離れる気分は、幸福以外の何ものでもない。赤と白で埋め尽くされた地元マドリードに戻るのが楽しみだよ」
リーガ最終節で優勝を決め、喜びを語ったアトレティコのシメオネ監督。同監督は現役時代の1996年にアトレティコでリーグ戦とカップ戦の2冠を獲得している。

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