チャンピオンズリーグ(CL)決勝という舞台での戦術決定は、とても困難なものである。現状では両チームともに試合直前までの状況に依存し、どちらの監督も判断がつかない状況だ。レアル・マドリー、アトレティコ・マドリーのどちらにとっても、シーズン最後の試合でプレーコンセプトの基礎を変更することほど馬鹿らしいことはない。だが、どのようなゲームプランを最終的に決断するかは、やはり選手たち次第なのである。
マドリーは出場停止のシャビ・アロンソのほか、ペペ、カリム・ベンゼマの状態も危惧されている状況だ。2選手がプレーできないのであれば、DF、MF、FWの3ラインすべての変更を余儀なくされ、選手起用と同様にシステムにも複数の選択肢が生まれることになる。そのような観点で言えば、アトレティコはそこまで苦しまずに済む。ジエゴ・コスタが欠場するならば、それは攻撃面だけの影響にとどまるからだ。
マドリー&アトレティコの長所
両チームともコレクティブ(特にアトレティコ)、個人技(特にマドリー)の両面で絶対的なコンセプトと長所を有している。アトレティコは攻撃から守備、守備から攻撃のどちらのトランジションにも優れる。ボールの近くに最低4選手を集める動きが収める成果は、最上級のものだ。対してマドリーの比類のない武器は、ほかのどんな選手よりも優れたスピード&明確性を併せ持つ4~5選手のギャロップ走法で攻撃を繰り出すことにある。
今回の決勝のような舞台で最も重要なのは、対戦相手に関係なく、信念を持って何よりも自分たちであろうとすることだ。そのような特有の争いにおいては、アトレティコの方がマドリーよりも多くの課題を有する。しかしアトレティコについては、ライバルに合わせたとしても、その長所を完全に打ち消せるキャパシティーを有していることも事実である。
ボール保持を望まない両チーム
両ファイナリストは、フトボルにおいて共通の性格を有している。ボールポゼッションへの執着は最低限、ということだ。ブランコス(白いチーム)はシーズン序盤こそ試合の主導権を握り、主役となることを試み、実際にそうできていた。その後、負傷者の続出などを要因としてそのプレースタイルを維持できなくなったが、ジョゼ・モウリーニョ時代の伝家の宝刀であり、複数の選手たちの特徴と合致するカウンターという武器を最大限生かし切ることになった。一方アトレティコは、監督がボールポゼッションにこだわることは一切なく、シーズンが進むにつれてその確信がさらに強く示されていった。
両チームとも短時間でペナルティーエリア内に到達するために、前方にスペースがあることを好んでいる。その手段は異なり、マドリーであればアンヘル・ディ・マリア、ガレス・ベイル、クリスティアーノ・ロナウドらがボールを持ち込むことが多く、アトレティコは前線からプレッシングを仕掛け、素早いトランジションによってゴールを狙う。
マドリー、ペペの不在が意味すること
ペペはセルヒオ・ラモスとの連係がほぼ完璧となり、不朽とも呼べる時期を過ごしているときに負傷している。彼の不在は最終ラインにおけるアグレッシブさ、相手への威嚇を失うことを意味するものだ。もちろん、ペペの代わりにラファエル・ヴァランが出場しても、穴を補うことは十分に可能だろう。しかし彼も手術した右ひざが炎症を起こすなど、完璧な状態にはない。
マドリー、X・アロンソ欠場の解決法は…
ピッチ上の選手で、X・アロンソが有していた機能性を振り分ける以外にはない。特にルカ・モドリッチに、攻撃の創造を任せる必要がある。クロアチア代表MFはボールを保持している際に、中盤のリーダーとしてプレーしなくてはならない。アシエル・イジャラメンディについてはチームが4-3-3でプレーする場合にはX・アロンソの純粋な代替選手としてアンカーでプレーでき、4-4-2でもボランチの一角を務められる。しかし、いずれにしてもモドリッチがチームの操縦桿を握り、彼の役割は副次的なものとなるはずだ。また試合終了までの30分間、もしくは延長まで突入した場合に、サミ・ケディラは大きな貢献を果たせるだろう。負傷明けのドイツ代表MFだが、30分間であればフィジカル的な側面で存在感を発揮するはずである。
アトレティコ、コスタ不在が意味すること
実際のプレーでも精神的にも影響を与えることになるだろう。チームメートはコスタとともにプレーすることを心強く感じ、ライバルは彼の問題を生み出せるキャパシティーを恐れているからだ。コスタ不在のアトレティコは、攻撃における主軸を失うことなり、プランBの使用を強いられることになる。ただシメオネはラウール・ガルシアのポストプレーを駆使した展開など、すでにこの問題を解決している。もしプランAを使用し続けるならば、完全に同じタイプではないものの、アドリアン・ロペスがコスタの役割を務めることが可能なはずだ。
アトレティコのセットプレー戦術への対処法
マドリーにとってはアトレティコの各コーナーキック、サイド&正面からの各フリーキックが危険なものとなるだろう。シメオネのアシスタント、モノ・ブルゴスによるセットプレー戦術は、ウナイ・エメリのようにバリエーションが豊富なわけではないが、各ライバル、各試合で特別な戦術を用意している。それは読みづらいものであり、マドリーは各プレーで最大限の集中とアグレシッブさを求められる。マドリーがそう心掛けていても、アトレティコが驚きを与える可能性は十分にある。
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