UEFAチャンピオンズリーグで17年ぶりの準々決勝進出を目指すクラブ・アトレティコ・マドリーは、ベスト16第2戦でACミランをホームに迎える。
アトレティコは終盤にジエゴ・コスタのヘディングが決まり、サン・シーロでの第1戦に1-0と競り勝ってアドバンテージを得た。一方のミランは、ホームでの第1戦を落とし、突破には敵地での逆転勝利が必要な立場に追い込まれた。UEFAチャンピオンズリーグ史上でも、この大逆転劇を達成したのは2チームしかいない。
アトレティコのディエゴ・シメオネ監督は、チームが最後に準々決勝へ進出した1997年に選手として在籍。今大会ではグループGの首位でベスト16に勝ち上がっている。一方のミランは、FCバルセロナに次ぐ2位でグループHを突破。しかも欧州カップ戦のホームゲームに強いアトレティコに対し、ミランは近年、スペインでの試合を苦手にしている。
マッチ・バックグラウンド
アトレティコはUEFA主催クラブ大会のホームゲーム直近16試合で15勝を挙げており、今大会のグループステージでも3連勝を飾った。唯一取りこぼした試合は、2013年2月に行われたUEFAヨーロッパリーグ・ベスト32の一戦。そのときはFCルビン・カザニに0-2で敗れた。
欧州制覇7回の実績を誇り、2年前の大会で準々決勝に進出したロッソネーリ(ミランの愛称)は、3シーズン連続となる敵地スペインでの敗退決定を避けたいところ。過去2シーズンはバルセロナに対し、2011-12シーズンに準々決勝で、昨年もベスト16で苦杯を喫した。
ミランは近年、欧州カップ戦のアウェーゲームで4敗しかしていないが、その相手がいずれもスペイン勢だった。昨季のグループステージではマラガCFに0-1の敗戦、前述の準々決勝でもバルセロナに0-4で敗れたほか、今季もグループステージでブラウグラナ(バルセロナの愛称)に1-3で屈している。
ミランはスペイン勢に対し、アウェーで4勝6分け15敗。スペインでは最近6試合で白星に見放されている。最後に勝利を収めたのは2009-10シーズンのグループステージで、88分に決まったパトのゴールでレアル・マドリーCFを3-2で退けた。
ミランは直近の決勝トーナメントでもスペイン勢に4連敗中で、2005-06シーズンの準決勝(対バルセロナ)、2003-04シーズンの準々決勝(対RCデポルティボ・ラ・コルーニャ)などで敗退に追い込まれている。
アトレティコはイタリア勢に対し、ホームで5勝0分け3敗の成績を残す。イタリアのチームを地元に迎えるのは2011-12シーズンUELベスト32以来となり、前回はディエゴ・ゴディンのゴールでSSラツィオに1-0と競り勝った。このときには2試合合計4-1で次のラウンドに勝ち進んでいる。
前例を見る限り、ミランが逆転突破を果たす可能性はあまり高くないようだ。UEFA主催のクラブ大会でミランがホームでの第1戦を落としたケースは6回あるが、突破できたのは1回しかない。これは1955-56シーズンの欧州チャンピオンズカップの1回戦で、ミランにとってはこれが欧州デビューの戦いだった。このとき、ミランはホームで3-4と敗れたが、アウェーの第2戦に4-1と大勝し、突破を決めている。
一方のアトレティコは、UEFA主催クラブ大会でアウェーの第1戦を制した場合、19回すべてで2試合制の対戦を勝ち抜けている。これには FCカール・ツァイス・イエナ(1961-62シーズン)、フィリンゲンIL(1991-92シーズン)と、1-0で勝利した2つの対戦が含まれている。
UEFA主催クラブ大会でのアトレティコは3度あったPK戦すべてに負けている:
6-7 vs ダービー・カウンティーFC、1974-75シーズン、UEFAカップ2回戦
1-3 vs ACFフィオレンティーナ、1989-90シーズン、UEFAカップ1回戦
1-3 vs ビジャレアルCF、2004年UEFAインタートト・カップ決勝
UEFA主催クラブ大会でのミランのPK戦での成績は以下の通り:
2-3 vs リバプールFC、2004-05シーズン、UCL決勝
3-2 vs ユベントス、2002-03シーズン、UCL決勝
7-6 vs FKロコモティバ・コシチェ、1978-79シーズン、UEFAカップ1回戦
両チームのつながり
指導者としては初めて対戦するセードルフ監督とシメオネ監督だが、現役時代には何度も顔を合わせてきた。初対戦は1997年6月14日に行われたマドリード・ダービー。セードルフ監督はロス・メレンゲス(マドリーの愛称)の一員として、ホームでアトレティコに3-1の勝利を収めている。
セードルフ監督はオランダ代表として、一方のシメオネ監督もアルゼンチン代表のメンバーとして、1998年のFIFAワールドカップ準々決勝でも顔を合わせた。試合はオランダが2-1と勝利したが、セードルフ監督は出場機会に恵まれていない。また、両者は1998年9月にUCLグループステージでも再び対戦し、セードルフ監督擁するマドリーがシメオネ監督のインテルにホームで2-0と勝利。この試合でマドリーの2点目を決めたセードルフ監督は、2カ月後のサン・シーロでの対決でもネットを揺らし、3-1の勝利に貢献した。
インテル在籍時のセードルフ監督は、シメオネ監督のいたラツィオと2000年のコッパイタリアで対戦し、2試合合計1-2で敗北。第1戦では両者とも得点し、セードルフ監督がインテルの先制点を挙げた。しかしパベル・ネドベドのゴールで同点に追いついたラツィオは、シメオネ監督の1点で勝利をもぎ取っている。
セードルフ監督はインテル時代、2000年のイタリア・スーパーカップでもシメオネ監督がいたラツィオに3-4と競り負けた。また2002年5月のシーズン最終節では、敵地ローマでラツィオに2-4と屈し、スクデットを取り逃がすという屈辱を経験。セードルフ監督はこの試合をベンチから見守ったが、シメオネ監督は1ゴールを決めている。
セードルフ監督はマドリーに4年間(1996年から2000年まで)在籍し、リーガでアトレティコとのダービーを7回戦って3勝2分け2敗、2得点という戦績を残す。マドリード・ダービーに初めて出場したのは1997年1月。敵地ビセンテ・カルデロンで84分にゴールを決め、4-1の勝利に貢献した。
シメオネ監督は1997年から1999年まで2年間インテルに所属し、1997-98シーズンのUEFAカップを制覇。ミランとのダービー2試合ではいずれもゴールを挙げている。2-2で引き分けた1997年11月22日の対戦では先制点を挙げ、3-0と快勝した1998年3月22日には2得点を記録した。
シメオネ監督はイタリアではそのほかにもACピサ1909(1990-92年)を始め、2000年にセリエAのタイトルを獲得したラツィオ(1999-2003年)に所属。2011年1月にはカルチョ・カターニアを率いてリーグ戦でミランと対戦したが、ホームで0-2と敗れている。
クリスティアン・アッビアーティは2007-08シーズン、期限付きでミランからアトレティコへ移籍し、スペイン・リーガの21試合に出場した。
2009年から2013年までマドリーでプレーしていたカカは、2009年11月には敵地でのマドリード・ダービーに初出場、開始5分でゴールを決め、チームの3-2での勝利に貢献した。出場したリーグ戦でのダービー3試合はすべてアウェー戦だったが、敵地ビセンテ・カルデロンでいずれも勝利。ロビーニョもマドリーに3年間(2005年から2008年まで)在籍し、4回対戦したアトレティコに全勝している。
ミランのクリスティアン・サパタはビジャレアルCFで2011-12シーズンを過ごしたが、アトレティコにはホームでもアウェーでも敗れている。現在期限つきでミランでプレーするアディル・ラミは、2011年からバレンシアCFに在籍。2011-12シーズンのUEFAヨーロッパリーグ準決勝で、バレンシアの一員としてアトレティコと対戦したが、アウェーで2-4、ホームで0-1と敗れて敗退した。
アトレティコのチアゴは、2007年から2010年までユベントスに所属。セリエAでは通算42試合に出場し、2008年4月にはミランとホームで戦って3-2と勝利。オリンピック・リヨン時代の2005-06シーズンにもUCL準々決勝でミランと顔を合わせ、フランスで0-0と引き分けた第1戦でプレーしたが、敵地サン・シーロで敗れた第2戦には出場していない。
ダビド・ビジャはバルセロナの一員だった昨季、ミランを4-0と一蹴した試合でチームの3点目を決めている。また、2011-12シーズンにもロッソネーリと対戦し、2-2で引き分けたホームゲームで得点を記録。アウェーで3-2と競り勝った試合にも出場した
ビジャはスペイン代表として2010年FIFAワールドカップ決勝に出場し、ミランのナイジェル・デ・ヨングを擁するオランダに1-0と競り勝っている。
マイケル・エシアンはレアル・マドリーに在籍していた昨季、サンティアゴ・ベルナベウでの国王杯決勝で延長戦の末、アトレティコに1-2で敗れた。4月27日にはリーガのアウェー戦で2-1とマドリーが勝った試合に出場している。
アトレティコのトビー・アルデルワイレルトとミランのウルビー・エマヌエルソンは、2008年から2011年までアヤックスでチームメートだった。2010-11シーズンのグループステージではミランに敵地で2-0と勝利し、アルデルワイレルトはチームの2点目を決めている。
UEFA EURO 2012決勝でスペインはイグナツィオ・アバーテ、マリオ・バロテッリ、そしてリッカルド・モントリーボが出場したイタリアに4-0で圧勝している。
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