欧州初陣を勝利で飾りたいセードルフ監督

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現役時代に異なる3クラブでUEFAチャンピオンズリーグを制したACミランのクラレンス・セードルフ監督は、ホームにクラブ・アトレティコ・マドリーを迎えるベスト16第1戦で欧州初采配を振るう。

AFCアヤックス(1995年)とレアル・マドリーCF(1998年)、そしてミラン(2003、2007年)在籍時に欧州制覇を成し遂げたセードルフ監督は、二つ以上のクラブでこの大会を制した史上唯一の選手だった。このベスト16第1戦はロッソネーリ(ミランの愛称)を率いて初めて臨む欧州カップ戦の試合で、グループGを5勝1分けの首位で通過してきたアトレティコを下すことが最初の課題になる。

ミランはFCバルセロナに次ぐ2位でグループHを突破。そのバルセロナには過去2シーズンのUCLで苦杯を喫しており、2012年には準々決勝で、昨年にはベスト16で敗退に追い込まれた。

マッチ・バックグラウンド
アトレティコは、ディエゴ・シメオネ監督が選手として在籍していた1997年以来の準々決勝進出を狙う。公式戦でミランと対戦するのは今回が初めてだが、シメオネ監督率いるチームは自信に満ちているに違いない。今大会のグループステージを無敗で勝ち上がったのは、アトレティコを含めてわずか3チーム。しかもUEFA主催クラブ大会でのアトレティコは、アウェーの直近4試合に敗れていない。

ミランは今大会のホーム4試合で1失点しか許していないが、スペイン勢には地元での過去8試合でわずか1勝。昨年2月20日に行われたベスト16第1戦で、バルセロナに2-0で快勝した試合の一度しかない。この試合ではケビン=プリンス・ボアテングとサリー・ムンタリが得点を挙げたものの、ミランは敵地での第2戦に0-4と完敗。バルセロナの3点目を決めたのは、現在アトレティコに所属するダビド・ビジャだった。

ミランは今季のグループステージでもバルセロナと対戦。ホームでは1-1のドローを演じたが、アウェーでは1-3で敗れている。

ミランは直近の決勝トーナメントでスペイン勢に4連敗中となり、バルセロナ(2011-12シーズンの準々決勝、2012-13シーズンのベスト16、2005-06シーズンの準決勝)とRCデポルティボ・ラ・コルーニャ(2003-04シーズンの準々決勝)にそれぞれ敗退に追い込まれた。

ミランはスペイン勢に対し、ホームで11勝7分け6敗。アトレティコはイタリア遠征に3勝1分け4敗の成績を残す。

アトレティコが最後にイタリアで試合を行ったのは、SSラツィオと対戦した2011-12シーズンのUEFAヨーロッパリーグ・ベスト32。このときにはアドリアン・ロペスとラダメル・ファルカオ(2得点)のゴールで3-1と勝利し、2試合合計4-1で次のラウンドに勝ち進んだ。

ミランは1957-58シーズンに欧州チャンピオンズカップ決勝へ初めて勝ち上がり、レアル・マドリーに2-3で敗北。しかし1993-94シーズンの決勝では、バルセロナを4-0で一蹴した。さらに1989年のUEFAスーパーカップではバルセロナを2試合合計2-1で退け、一発勝負となった2007年の同大会はセビージャFCに3-1で勝っている。

アトレティコは1961-62シーズン、欧州カップウィナーズカップ決勝で再試合の末にACFフィオレンティーナを3-0で下し、クラブ史上初の欧州タイトルを手に入れた。そして2010年のUEFAスーパーカップでも、ミランの宿敵FCインテル・ミラノを2-0で退けている。

両チームのつながり
指導者としては初めて対戦するセードルフ監督とシメオネ監督だが、現役時代には何度も顔を合わせてきた。初対戦は1997年6月14日のマドリード・ダービー。セードルフ監督はロス・メレンゲス(マドリーの愛称)の一員として、ホームでアトレティコに3-1の勝利を収めている。

セードルフ監督は、シメオネ監督が選手として出場していたアルゼンチンに2-1と勝利した1998年FIFAワールドカップの準々決勝でオランダ代表メンバーに入ったが出場機会はなかった。両者は次のシーズン、1998年9月にUCLグループステージで再び顔を合わせ、セードルフ監督が所属していたマドリーが、シメオネ監督のいたインテルにホームで2-0と勝利。この試合で2点目を決めたセードルフ監督は、2カ月後のサン・シーロでの両者の対決でもゴールを記録し、マドリーの3-1の勝利に貢献した。

インテル在籍時のセードルフ監督はシメオネ監督のいたラツィオと2000年のコッパイタリアで対戦し、2試合合計1-2で敗北。第1戦では両者とも得点し、セードルフ監督は先制点を挙げた。しかしパベル・ネドベドのゴールで同点に追いついたラツィオは、シメオネ監督の1点で勝利をもぎ取った。

セードルフ監督はインテル時代、2000年のイタリア・スーパーカップでもシメオネ監督がいたラツィオに3-4と競り負けた。また2002年5月のシーズン最終戦では、敵地ローマでラツィオに2-4と屈し、スクデットを取り逃がすという失意を経験。セードルフ監督はこの試合をベンチから見ていたが、シメオネ監督は1ゴール決めている。

セードルフ監督はマドリーに1996年から2000年まで4年間所属。リーガで7回アトレティコとのダービーを戦い、3勝2分け2敗、2得点という戦績を残している。ダービーに初めて出場したのは1997年1月。ビセンテ・カルデロンで84分にゴールを決め、マドリーの4-1での勝利に貢献した。

シメオネ監督は1997年から1999年まで2年間インテルに所属し、1997-98シーズンのUEFAカップを制覇。ミランとのダービー2試合ではいずれもゴールを挙げている。2-2で引き分けた1997年11月22日の対戦では先制点を、3-0と勝利した1998年3月22日には2得点を記録した。

イタリアではそのほかACピサ1909(1990-92年)、そして2000年にセリエAのタイトルを獲得したラツィオ(1999-2003年)にも所属。2011年1月にはカルチョ・カターニアを率いてリーグ戦でミランと対戦したが、ホームで0-2と敗れている。

クリスティアン・アッビアーティは2007-08シーズンにミランからアトレティコに期限付きで移籍し、スペイン・リーガで21試合に出場した。

2009年から2013年までマドリーでプレーしていたカカは、2009年11月に自身初めてのマドリード・ダービーに出場。敵地ビセンテ・カルデロンでピッチに入って5分でゴールを決めた。出場したリーグ戦でのダービー3試合はすべてアウェー戦だったが、いずれも勝利。ロビーニョも2005年から2008年まで3年間のマドリー在籍中にアトレティコと4回対戦し、全勝している。

ミランのクリスティアン・サパタは2011-12シーズンにビジャレアルCFに所属していたが、アトレティコにホームでもアウェーでも敗れている。また、レンタルで加入したアディル・ラミは2011年からバレンシアCFに在籍。2011-12シーズンのUEFAヨーロッパリーグ準決勝でアトレティコにアウェーで2-4、ホームで0-1で負けたチームの一員だった。

アトレティコのチアゴは2007年から2010年までユベントスに所属。セリエAでは通算42試合に出場し、2008年4月にはミランとホームで戦って3-2と勝利した。オリンピック・リヨン時代の2005-06シーズンにもUCL準々決勝でミランと顔を合わせたことがあり、フランスで0-0と引き分けた第1戦でプレーしたが、敵地サン・シーロで敗れた第2戦には出場していない。

ビジャはバレンシアCFに所属していた2007年2月21日にサン・シーロでゴールを決めたことがある。2006-07シーズンのUCLベスト16でインテルと敵地で対戦し、2-2と引き分けた。昨季もバルセロナでミランからゴールを奪っているほか、2011-12シーズンにもロッソネーリ(ミランの愛称)と対戦。2-2で引き分けたホーム戦でゴールを挙げ、アウェーで3-2と競り勝った試合にも出場している。

ビジャは2010年FIFAワールドカップ決勝でミランのナイジェル・デ・ヨングが出ていたオランダに1-0と勝利した。

マイケル・エシアンはレアル・マドリーに在籍していた昨季、サンティアゴ・ベルナベウでの国王杯決勝で延長戦の末、アトレティコに1-2で敗れた。4月27日にはリーガのアウェー戦で2-1とマドリーが勝った試合に出場している。

アトレティコのトビー・アルデルワイレルトとミランのウルビー・エマヌエルソンは、2008年から2011年までアヤックスでチームメートだった。2010-11シーズンのグループステージではミランに敵地で2-0と勝利。アルデルワイレルトはチームの2点目を決めている。

アトレティコのコケは、2013年6月にエルサレムで行われたUEFA U-21欧州選手権決勝にスペイン代表として出場し、ミランのリッカルド・サポナラが出ていたイタリアに4-2と勝利した。その前年、UEFA EURO 2012決勝ではイグナツィオ・アバーテ、マリオ・バロテッリ、そしてリッカルド・モントリーボが出場したイタリアがスペインに0-4と敗れている。

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