8カ月前まで、ダビド・デ・ヘアは、少年時代から在籍するクラブで、本人いわく「悪夢のような」日々に耐えていた。グレゴリー・クペとレオ・フランコが去り、トップチームでの出番が回ってくるかと思いきや、クラブがセルヒオ・アセンホと彼の控えとしてロベルトを獲得したことで、その望みが打ち砕かれたのだ。デ・ヘアは再び控えの控えに甘んじることになった。
しかし9月にその状況は一変する。アセンホがFIFA U-20ワールドカップで不在中、ロベルトが負傷したため、UEFAチャンピオンズリーグのFCポルト戦で、トップチームデビューを果たすことに。続くレアル・サラゴサ戦でリーガでも初出場すると、自ら与えてしまったマルコ・バビッチのPKを見事にダイビングセーブして、すぐさまビセンテ・カルデロンのファンの心をつかむ。。2-1の勝利で試合を終えた後、「セーブする時は、いつもファンがすぐ後ろについていてくれるのを感じる」とデ・ヘアはコメントしている。
2007年にスペイン代表としてUEFA U-17欧州選手権を制したデ・ヘアは、それ以降、もはや後ろを振り返ることなく、アトレティコの正GKの座を勝ち取った。19歳の若き守護神は、見事な反射神経を持ったストッパーであり、気迫あふれるプレーも際立っている。ミスから学び、注目を浴びることで成長。バレンシアCFを下したUEFAヨーロッパリーグ準々決勝、特に16本のシュートを浴びた敵地メスタージャでの第1戦でもそれは証明された。
転機となった一戦
FCポルト 2-0 クラブ・アトレティコ・マドリー
2009年9月30日 UEFAチャンピオンズリーグ
UEFAチャンピオンズリーグの敵地エスタディオ・ド・ドラゴンでのポルト戦、開始わずか25分にロベルトが太ももを負傷して交代。当時チームを率いていたアベル・レシーノ前監督が、デ・ヘアに初出場のチャンスを与えた。18歳だったデ・ヘアは、自信あふれるプレーで多くの人々を驚かせた。
デ・ヘアのコメント:
「こういう試合、敵地の難しいグラウンドで世界トップレベルのストライカーたちと対決するような一戦は大好きだ」
メスタージャでの第1戦でバレンシアのFWダビド・ビジャと対決した際、UEFA.comに大一番が好きだと告白した。
「僕の長所はチームを落ち着かせられること。DFは自分たちの背後に、リラックスしつつも注意を怠らない、不安で震え上がったりしないGKがいることで安心できる」
「フェルナンド・トーレスは、このクラブで特別な存在だった。彼のレベルに到達するには、相当努力しなければならない。このクラブのファンは、ユースチームから上がってきた選手を見るのが好きなんだ。結局のところ、僕もアトレティコ育ちだからね」
デ・ヘアに関するコメント:
「彼は非常に冷静だ。落ち着きと肝っ玉と自信を持っている。ほかの選手が悩まされるプレッシャーも、彼には何の影響もない」
アトレティコのユースチームのGKコーチ、アンヘル・メヒアス氏
「フィジカル面でもメンタル面でもまだ成長過程にあるが、最高のGKへの道を歩んでいることは確かだ。大成してくれなければ失望する」
アトレティコのトップチームのGKコーチ、ディエゴ・ディアス氏
「彼は今夜もよくやったが、トップチームに来てからずっと好プレーを見せている。年齢を考えれば、なおさら素晴らしいGKだと思う。19歳とまだ若いが、間違いなく明るい将来が待っているだろう」
アトレティコのMFパウロ・アスンソンが、バレンシアとのUEFAヨーロッパリーグ準々決勝第2戦の試合後、UEFA.comのインタビューに答えている。
「彼には絶対の信頼を置いている。DFがGKに求める冷静さを持っている選手だ。今後もどんどんうまくなっていくと思う」
アトレティコの主将アントニオ・ロペスが3月にUEFA.comのインタビューに答えている。
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