首位決戦に臨むリバプール

この記事は約6分で読めます。

UEFAチャンピオンズリーグ・グループDの首位決戦となるビセンテ・カルデロンでの第3節では、リバプールFCがクラブ・アトレティコ・マドリーと対戦する。リバプールのFWフェルナンド・トーレスは古巣との対戦が注目されていたが、残念ながら負傷欠場することになった。

少年時代から「アトレティ(アトレティコのサポーター)」だったトーレスは1995年、11歳でアトレティコのユースチームに入団。その後の6年間の148試合で176得点を挙げると、2部リーグのCDレガネス戦でトップチームへデビューした。2007年7月にイングランドのリバプールへ移籍したが、その間、アトレティコで公式戦通算243試合102得点を記録した。

UEFA EURO 2008(TM)でスペイン優勝の立役者となった「エル・ニーニョ(トーレスの愛称)」の凱旋は、試合前の話題を独占するはずであったが、代表戦で太ももを負傷した結果、欠場が決まった。だが、グループDの首位決戦になる試合は、以前、リバプールに所属したルイス・ガルシアとフローラン・シナマ・ポンゴーユが、アトレティコの一員として古巣を迎える一戦にもある。

2007年からアトレティコでプレーするガルシアは、それまで3シーズンを過ごしたリバプールでリーグ戦77試合18得点を記録。そのリバプール時代で最も印象的なゴールといえば、2004-05シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ準決勝、チェルシーFCを1-0で下した第2戦での得点だろう。

一方のシナマ・ポンゴーユも、2004-05シーズンのリバプールの欧州制覇に大きく貢献している。2004年12月のグループリーグ最終節でオリンピアコスCFPと対戦したリバプールは、後半の3得点で逆転勝利を収めたが、その1点目を決め、チームを敗退の危機から救った。

故郷フランスのル・アーブルACからリバプールへ移籍した当時、まだ10代だったシナマ・ポンゴーユは、トップチームのレギュラーに定着できず苦しんだ。しかし、スペインへの移籍を機に才能が開花し、2シーズンを過ごしたRCレクレアティボ・デ・ウエルバでは計22ゴールを記録。そしてこの夏にはアトレティコへと活躍の場を移したのだ。

リバプールのGKペペ・レイナもまた、この試合に特別な感情を抱く選手の1人だ。レイナの父ミゲル氏はアトレティコの守護神として活躍し、1974年には欧州チャンピオンズカップ準優勝という実績を残している。

様々な物語を背景にするこの一戦は、グループ首位の座を占う意味でも重要な試合になる。両チームとも2試合を終えた現時点で勝ち点6。ここでの勝利は決勝トーナメント進出に大きく近づくことを意味する。

ハビエル・アギーレ監督率いるアトレティコは、1996-97シーズン以来となる欧州最高峰のクラブ大会で素晴らしいスタートを切った。敵地でPSVアイントホーフェンと対戦した第1節では、(9分、36分)とマニシェ(54分)のゴールで3-0の快勝。続く第2節でもホームでオリンピック・マルセイユに2-1で競り勝った。アグエロ(4分)のゴールで均衡を破ったアトレティコは、マルセイユのママドゥ・ニアン(16分)に同点とされた後、(22分)が決勝点を挙げた。

リバプールも同じようなスコアで2連勝を飾ったが、現在の順位は得失点差で及ばずグループ2位。首位のアトレティコはリバプールよりも失点が一つ少ない。

リバプールはまず敵地でマルセイユと対戦し、23分にロリク・カナの先制ゴールを許した。しかし、スティーブン・ジェラードの2ゴール(26分、32分:PK)で逆転に成功し、そのまま2-1で逃げ切りに成功。続く第2節では本拠地アンフィールドにPSVを迎え、(4分)、ロビー・キーン(34分)、ジェラード(74分)のゴールで3点をリードし、PSVの反撃をダニー・クーフェルマンス(78分)の1点に抑えた。

アトレティコには心強いデータがある。イングランド勢をホームに迎えた過去6試合では無敗であり、そのうち4勝を挙げているのだ。

とはいえ、昨季のUEFAカップ決勝トーナメント1回戦は誇れるものではない。ボルトン・ワンダラーズFCと対戦し、ホームでの第2戦を0-0で引き分けたが、2試合合計0-1で敗退に追い込まれている。

アトレティコが最も多く対戦しているイングランドのクラブは、1961-62シーズンのUEFAカップウィナーズカップ1回戦(2試合合計3-1)と、1997-98シーズンのUEFAカップ1回戦(2試合合計4-1)で下したレスター・シティーFCだ。

またアトレティコは欧州カップ戦のホームゲームで抜群の成績を収めており、過去23試合で17勝3分3敗と大きく勝ち越している。

リバプールはスペインでの過去11試合で6勝を挙げ、わずか2敗しか喫していない。最近では、2006-07シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦第1戦でFCバルセロナと対戦。リバプールは序盤にデコの先制弾を浴びたが、クレイグ・ベラミーとヨン・アルネ・リーセのゴールで2-1の逆転勝利を収め、最終的にはアウェーゴール差で準々決勝へ進出した。

ラファエル・ベニテス監督をはじめ、シャビ・アロンソ、アルバロ・アルベロア、レイナ、アルベルト・リエラ、そしてトーレスなど5人のスペイン人選手を擁するリバプールは、敵地スペインもホームのように感じられるかもしれない。

ビセンテ・カルデロンでの過去4試合で2勝を挙げているベニテス監督は、このスタジアムで勝利を収める術を熟知している。

ただし、ベニテス監督がスペイン1部リーグのチームを率い、初めて迎えたビセンテ・カルデロンでの試合は、忘れてしまった方がいいだろう。ベニテス監督率いたCFエストレマドゥーラは、1998-99シーズンに0-5の惨敗を喫している。しかし、CDテネリフェ時代の2000-01シーズンには、2部リーグの試合ながらも勝利をマーク。バレンシアCF時代の2002-03シーズンには1-1の引き分け、2003-04シーズンには3-0の勝利を収めた。

ベニテス監督とアトレティコのアギーレ監督は、ともにパンプローナを本拠地とするCAオサスナで指揮を執ったことがある。

アトレティコのFWディエゴ・フォルランは、マンチェスター・ユナイテッドFCに在籍していた2002年12月、2-1で勝利したプレミアリーグのリバプール戦で2ゴールを記録した。

アトレティコのポルトガル代表シモンは、クラブと代表の両方でイングランド勢との試合に好感触を持っている。SLベンフィカ在籍時の2005-06シーズンには、リバプールとのUEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦で先制点を挙げ、敵地アンフィールドで2-0の勝利に貢献。さらにそのシーズンのグループリーグでは、マンチェスター・ユナイテッドからゴールを奪っている。また、ポルトガル代表でもUEFA EURO 2004(TM)と2006年FIFAワールドカップのイングランド戦に途中出場すると、PK戦でシュートを決めて祖国を勝利に導いた。

試合はUEFAの決定に基づき、ビセンテ・カルデロンで開催される。アトレティコは、10月1日に行われたマルセイユ戦で発生した事態について処分を受けたが、現在は上訴をしている。

グループD第3節のもう1試合では、PSVとマルセイユがアイントホーフェンで対戦する。

コメント