アグエロ「U-20W杯優勝をリーガで生かしたい」

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昨シーズン開幕前、17歳の若さでアルゼンチンのインデペンディエンテから、アトレティコ・マドリーにやって来たセルヒオ・アグエロ。クラブ史上最高額の移籍金でアトレティコが獲得し、背番号10を背負っていることからも分かるように、“エル・クン”はクラブの将来を背負って立つ新星である。

 たぐいまれなテクニック、スピードを生かしたドリブル突破、ゴール前での的確な状況判断など、すべてにおいて高い能力を備えるアグエロは、アルゼンチン代表として2回目の出場を果たしたU-20ワールドカップ(W杯)でも、その才能を存分に見せつけた。キャプテンとしてチームをけん引し、6ゴール4アシストの活躍。得点王と大会MVPに輝き、アルゼンチンを2大会連続6度目の優勝に導いた。

 1年目の昨シーズンは、リーガ・エスパニョーラのフットボールに慣れていないこともあり、アトレティコでコンスタントに力を発揮できたわけではない。それでも、“神童”の名にたがわぬ華麗なプレーで人々を魅了し、その可能性を感じさせた。今シーズンはエースストライカーのフェルナンド・トーレスがクラブを去ったこともあり、チームの柱としてさらなる飛躍が期待される。

 アトレティコのみならず、アルゼンチン代表の未来をも担うアグエロが、U-20W杯優勝の余韻も冷めやらぬ中、大会を振り返りつつ、新シーズンへの意気込みを語った。

■前回大会の経験が役に立った
――カナダで行われたU-20W杯で2連覇を達成して、君は歴史にその名を刻んだ。アルゼンチン代表で同じ大会を2度制したのは、パサレラと君だけだからね

 それは知らなかったけど、すごくうれしいよ。ラッキーなことに、僕は2005年にオランダで行われたワールドユース(現U-20W杯)でもプレーすることができた。まだ17歳ととても若かったけれど、決勝の後半にピッチに立って、僕なりにチームのタイトル獲得に貢献できたと思う。あの時のチームには、リオネル・メッシやフェルナンド・ガゴ、オスカル・ウスタリといった、センセーショナルな活躍をした選手がいた。今回の僕らは、あの時とはまた違ったいいチームを作ることができたと思う。

――2年前と比べると、君はずいぶん成長したよね

 それでもまだチームでは若い方だけどね。でも、確かに今はアトレティコだし、前回大会に何試合か経験したことが今回とても助けになった。

――その経験が決定的な場面で役立ったんじゃないかい?

 こうした大会がどういうものか分かっているし、2年前にいろいろな局面を経験してきたから、今回は夜もぐっすり眠れたよ。

――アルゼンチンはこの年代の国際大会で数々のタイトルを獲得しているのに、フル代表は長い間優勝から遠ざかっている。それについてはどう思う?

 難しい問題だけれど、フル代表はユース代表よりも多くのプレッシャーを受けるし、監督も頻繁に変わる。人々の注目度も全然違うんだ。ユース代表はもっと静かな環境にいられるから、そうしたことも関係しているんじゃないかな。

――今大会、君はアルゼンチン代表として2連覇を達成しただけでなく、6ゴールを決めて得点王となり、大会MVPにも輝いた。これは君の今後にとって大きなことじゃないかい?

 そうだね。U-20W杯優勝をリーガで生かしたいし、アトレティコでの立場を確実なものにするために助けになると思う。昨シーズンは加入したばかりでいろいろと大変だった。アトレティコのサッカーはアルゼンチンとは全く違うから、チームに適応しなければならなかったしね。今回の活躍で、スペインでも僕がリーガでプレーしていくのに十分な資質を持っていると分かってもらえたんじゃないかな。

――今の君の発言は、すこし皮肉が込められているように感じるけれど……

 そんなことはないよ。ただ、トップチームでポジションを得るのは、本当に大変なことなんだ。

――アトレティコ史上最高額の2500万ユーロ(約34億円/当時)とも言われる移籍金でやって来た君でも?

 もちろんだよ。多くの人は僕がトップチームでスタメン出場するには、まだ成熟していないと考えているからね。

――ハビエル・アギーレ監督がそう言ったのかい?

 特に誰が言ったというわけではなく、あくまで一般論だよ。スペインのメディアによれば、昨シーズンの僕は実力を最大限に発揮したとは言えないということだしね。

――君自身はどう考えているんだい?

 僕は自分の可能性を信じている。ただ僕はまだ若いし、母国を離れて戦術もまったく違うチームでキャリアをスタートしたばかりなんだ。

――アトレティコは今季、UEFAカップ出場を目指してインタートトカップを戦うけれど、エースのフェルナンド・トーレスはリバプールに移籍してしまった。代わりに君は、新加入のFWディエゴ・フォルランの近くでプレーすることになる。新シーズンのチームをどのように見ている?

 僕がチームにフィットするかどうかにもかかっているけれど、すべてうまくいくと信じている。アトレティコにはいい選手がたくさんいるからね。マキシ・ロドリゲスはけがから復帰してきたし、ペトロフもそうだ。それに、ルイス・ガルシアやシモン・サブローサも加入した。だから、新シーズンはうまくいくと思うよ。

――個人的にはどのポジションでプレーしたい?

 昨シーズンのアトレティコではFWとしてプレーしていたけれど、インデペンディエンテにいたころは、もっと後ろのMFのポジションを務めていた。いずれにしても、僕がどの位置でもうまく適応することが大切だと思う。

――リーガ・エスパニョーラで1シーズンプレーした感想は?

 求められるレベルが高いリーグだ。スター選手がたくさんいて、プレーも激しい。アルゼンチンでは、DFが相手からボールを奪取する際にはクリーンに奪おうとする。スペインほど激しくはないね。僕はまだそういうことを学んでいる最中なんだ。

――U-20W杯でのエース級の活躍で、君をメッシになぞらえる人もいる

 そうかもしれない。でもそうだとしても、僕は自分のプレーに集中したい。

――最後に、U-20W杯に参加したことで君はシーズンオフが短くなったけれど、もう少しバケーションが欲しい?

 できればね。でも、アトレティコがインタートトカップのために僕を必要としていることは分かっているから、休むことはできないよ。19歳でプロ選手の場合は起こり得ることだし、そういうものだと思っているよ。

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