「まぁ、あんなところにガビが!」。前節は1‐4とヘタフェに大勝、試合の際にコリセウム・アルフォンソ・ペレス・スタジアムのパルコ(貴賓席)で偶然見かけたのは、アトレティコ・マドリーのボランチ、ガビだった。横にいたGKレオ・フランコはまだ太ももの肉離れのリハビリ中だったため、見学していてもまったく不思議はなかったものの、どうやら彼の方は、試合前夜の合宿に加わった後、当日になってベンチ入りリストから外されたらしい。その場に姿は見えなかったが、控えメンバーにはセンターバックのバブロも入っておらず。人手不足に悩んだ今季、カンテラーノ(アトレティコBの選手)を徴用することも多かったアトレティコ・マドリーにしてみれば、随分珍しい光景だと思ったところ…。
それもそのはず、週末のバルセロナ戦を前に記者会見を行ったハビエル・アギーレ監督によると、何と「使える選手が18人以上いるのは、これで今季4回目」なのだとか。というのも、ここのところチームには負傷していた選手が続々と復帰。まずは6ヶ月前に左ヒザ靭帯を断裂した左右のサイドハーフのマルティン・ペトロフ、マキシ・ロドリゲス。そして足の付け根のミニ手術後をした後、回復が遅れていたボランチのマニシェ。前々節で左足首を捻挫したエースのフェルナンド・トーレスも1試合休んだだけで、すぐに戻って来た。その結果、とうとうアギーレ監督にもベンチ入り要員を選ぶという贅沢が許されるように。
もちろんこのこと自体は、監督にとってありがたいことではあるが、選手にとっては一大事。これまでは頭数の関係で調子が悪くてもベンチ入りできたのに、いきなり蚊帳の外となるのだから、たまったもんではない。実際、翌日練習場でバッタリ会ったガビのお父さんも「息子はカンカンだったよ」と言っていたし、パブロに至っては出場登録メンバーの18人から洩れたことがわかった途端、機嫌を損ねて試合が始まる前にタクシーで家に帰ってしまったとか。
ちなみにパブロが怒って家に帰ってしまった件については、ヘタフェがマドリード近郊の町だから可能なこと。普通のアウェイだったらそう簡単にはいかない。ただ、クラブはホームゲームの場合、規則としてベンチに入らない選手にはスタジアム観戦を義務づけている。だが、アウェイでその必要はなし。従って、パブロの行動に別にケチをつける筋合いはないが、そのヘタフェ戦が「8年ぶりの欧州カップ戦出場権獲得に向けて、シーズンで1番大事な試合」という位置づけだっただけに、あまり印象が良くないのも確かだろう。
さらに元気な選手が増えたことは、ポジション争いにも繋がった。復帰したマルティン・ペトロフがヘタフェ戦から先発に戻ったせいで、それまで左サイドハーフを務めることが多かったフラードがトップ下に。その結果、スタメンから押し出されることになったのは、2月初旬のビルバオ戦以来ゴールから遠ざかっているFWアグエロ。もっともこれには、「彼の私生活や練習態度、チームの一員であるという意識に欠ける点などを、アギーレ監督が他の選手達の前で批判した」というマルカの報道が、関係しているのかもしれないが。何にしろ、近々マキシ・ロドリゲスも先発復帰となるだけに、これまでのパフォーマンスが悪かった選手には、かなり苦しいことになりそうだ。
ちなみに「ずっとこんな状態だったら、今頃ウチの順位はどうなっていたころだろうと、時々考えることがある」と洩らしていたのはアギーレ監督。だが、今更それは言っても始まらない。現在の彼らは、リーガ後半に勝ち星を積めなかったことが災いして、一時はチャンピオンズリーグ圏内(4位以上)にも近づいたものの、結局あと4試合となった段階で、まだUEFA杯圏入り(5、6位)も確定できず。
もちろんその理由は、戦力不足のせいだけではない。しかし、そんな亀のような歩みでも、監督の計算では目標達成まであと2勝すればいいだけとか。となれば、次は世間の注目を浴びるバルセロナ戦でもあることだし、フルメンバーの揃ったチームが実は強いうことを、この1年間チームの情けない試合ぶりに苦しんできたサポーターたちの前で、しっかり証明してもらいたいものだが…。
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