長期負傷者が復帰した途端に今度はフェルナンド・トーレスが負傷

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「ゴール不足と怪我人、いかにも今日の試合はアトレティコ的」、そんな言葉がハビエル・アギーレ監督の口から飛び出したのは、4月28日のベティス戦終了直後だった。そのゲームでは、5人のDFと3人の守備的MFで後ろをガッチリ固めたベティスの守備を最後まで崩せず、0-0のまま終了。

それに加えて、前半はGKレオ・フランコが右太ももに全治3週間の肉離れを起こしハーフタイムで交代。さらにエースのフェルナンド・トーレスもボールを競って転倒した際に左足首を捻挫、後半途中でトップの座をカンテラーノ(アトレティコBの選手)のFWルフィノに譲ることに。またしても主力に負傷者発生という頭の痛い事態になってしまった。

とはいえ、今季の彼らが負傷者に悩まされるのは、何も今に始まったことではない。プレシーズンの親善試合で足首を骨折したMFミゲル・デ・クエバを皮切りに、10月には右サイドハーフのマキシ・ロドリゲス、左サイドハーフのマルティン・ペトロフという貴重なアタッカーが揃って左ヒザ靭帯を断裂。彼らに全快通知が出たのが、つい先月のことだから、軸となるはずの選手たちをほぼ半年失っていたことになる。

それ以外でもセンターバックのパブロ、FWミスタといった選手たちが、昨年それぞれ1ヶ月ほどのケガをしていた時期もあった。おまけに4月初旬に足の付け根のミニ手術をしたボランチ・マニシェなど、最初は全治1週間と言われていたのに、リハビリ中に傷が開き、結局1ヶ月も棒に振る破目に。ようやく全体練習に戻ったのが今週になってからと、予想外に時間がかかることになってしまった。

そんな受難の時代もついに終わったかのように見えたのは、それこそ先週のベティス戦。というのも、その試合後半にはマルティン・ペトロフがついに復活出場を果たし、次節のエスパニョール戦ではマキシ・ロドリゲスもベンチ入り予定と、ようやく頼りになる両輪が戻って来たからだ。ところが今度は肝心のエースが負傷、やっぱりアトレティコ・マドリーはどこかツイていない。

ちょうど時期的にも、目標とする来季の欧州大会出場権獲得に向けて最後の追い込みに入ったところ。残り6試合中3勝すればUEFA杯出場は確実とも言われているが、それはもちろんレクレアティーボやラシンなど、下から追い上げてくるチームをかわせればの話である。フェルナンド・トーレス本人は、何とか日曜の試合に間に合わせようと、連日コーチとマンツーマンで必死のリハビリを続けているものの、やはりギリギリまで様子を見ないことにはわからないという。

せっかく、今後は開幕前の構想通り強いアトレティコ・マドリーが見られると期待していたファンたちもガッカリ。ただフェルナンド・トーレスがいなくても、チームがそれほど弱くなる訳ではないというデータは慰めになる。というのもこの4シーズン中、彼が不在だった15試合の成績は5勝5敗5分け。実際、今季唯一出場停止処分で出られなかったシーズン前半のビルバオ戦では1‐4の大勝を飾っている。もっとも、その時はマクシもペトロフも大ケガをする前、FWアグエロも2ヶ月間ノーゴールが続く今のように調子が悪くはなかったが。

今回のエース負傷に関しては、さすがにアギーレ監督も慣れたもので動揺は見られず。フェルナンド・トーレスの怪我が選手たちの士気にネガティブな影響を及ぼさないかと訊かれた時も、「彼はキャプテンだし、チームのスタンダードとなる大事な選手。だが、これだけ何人も負傷者が出ると、誰もが『運が悪かった』程度の受け止め方」と落ち着いていた。ここまで来たら、今さら嘆いても仕方ないと達観しているのかもしれない。となるとガッカリするのは、その勇姿をピッチで見られないフェルナンド・トーレスファンだけだろうか。

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