ポジションが原因?なかなかゴール数が伸びないアグエロ

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ちょっと前の国王杯準決勝1stレグのヘタフェ戦で、敵をかわしながら60メートルを駆け抜けるマラドーナさながらの物凄いゴールを決めたメッシ。さらに、来季のR・マドリー移籍が噂され紙面を賑わしているサビオラと、近頃、何かと小柄なアルゼンチン人FW達に注目が集まっているような気もする。しかしシーズンが進むにつれて、だんだん地味な存在になってしまった選手がひとり。誰かと言うと、それはアトレティコ・マドリーの“クン”アグエロだ。

というのも昨年夏、大きな期待を背負ってアルゼンチンのインディペンデンテからやって来た彼は、最初の頃こそもてはやされていたものの、やはりリーガに慣れるのは大変だったのか、今季は30試合に出場して6得点。それも2月11日のビルバオ戦以来、ノーゴールが続いている。数字もそうだが何より心配なのは、毎試合のように絶好のシュートチャンスをもらいながら、決められない決定率の低さ。GKに当てなければ枠を外すといった具合で、精度の悪さが目立つ。そんな状態は、ほとんどの試合に先発しながら、まだ1ゴールのR・マドリーFWイグアインも同じ。同じアルゼンチン人という点も、ちょっと似ているかもしれない。

もちろんアグエロにも言い分はある。彼が先日、母国のラジオで喋っていたのは、「前のチームも4-4-2で、システムはアトレティコと一緒だった。でも、自分はいつもセンターフォワードの後ろでプレーするトップ下。でも、アギーレ監督はボクをトップとして使っているから、それだと、ずっとゴールに背を向けてプレーすることになる。その上、アルゼンチンよりハードにマークしてくるリーガのDF相手に、長い時間ボールをキープしなきゃならない」ということ。

確かにアトレティコ・マドリーのゲームを見ていると、後方の選手達が苦し紛れに出すロングボールは、何故か必ず敵エリア近くにいるアグエロに向かう。通常は彼をマークしているDFの方が大きいために、たまに上手く届いても、まず勝ち目はない。ハイボールを争うなら、背の高いフェルナンド・トーレスの方が適役に思えるが、アギーレ監督もまったく不思議なことをするものだ。しかし、さすがに懲りたのか、とうとう28日土曜のベティス戦ではアグエロを少し下がり目のポジションで起用。だが、結局それもほとんど効果なし。これではまったく困ってしまう。

アグエロのそんなアトレティコ・マドリーでの不調は、アルゼンチン代表バシーレ監督も見逃さなかった。というのも、昨年のW杯後にアルゼンチン代表デビューを飾ったアグエロだが、6月末から始まるコパ・アメリカには招集されないという話が伝わってきたからだ。何せ2月に行われたフランスとの親善試合の時にも、監督から「もう少し、しゃっきりしないといけない」と言われている。にも関わらず、その後もパッとしないのでは、それこそサビオラ、クレスポ、テベスと優秀なFWが揃うアルゼンチン代表に呼ばれないのは当然。もっともアトレティコ・マドリーにしてみれば、オフシーズンに彼がゆっくり休めるので、その方が有難かったとか。

マハダオンダ(マドリード郊外)の練習場では、先日もナイキのスポット撮影をしている姿を見かけたし、サインを貰いに来るファンの間ではフェルナンド・トーレスに続く人気者のアグエロ。確かにまだ18歳と若いだけに、イロイロ学ぶのに時間もかかるのもわかるが、昨季インディペンデンテで18ゴール挙げ、世間を沸かした実力を、ビセンテ・カルデロンでも見せてくれる日が早く来てくるといいのだが…。

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