マキシとペトロフ復帰前に、またも靭帯断裂の犠牲者発生

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「着地した時、ヒザの上下がこんな風になって・・・」、ジェスチャー付きで説明するハビエル・アギーレ監督の表情は冴えなかった。それは前節のデポルティーボ戦後の記者会見でのこと。というのも、ゲームはガジェティとミスタのゴールで2‐0と勝ったものの、前半2分という早い時間に右サイドバックのフアン・バレーラが負傷した。

倒れた途端、本人が交代を頼んでいたことからも重傷が予想された通り、「ただ捻っただけならいいのだが」という監督の願いも空しく、その後に行われた病院での検査で右ヒザ十字靭帯断裂が発覚。もちろんこれにはお決まりの“全治6ヶ月”がつく。そう、これでバレーラの今シーズンは終わった。

選手がそんな不運なアクシデントに見舞われれば、勝利の喜びが吹っ飛んでしまうのも当然だが、実はアトレティコ・マドリーが去年からヒザのケガに祟られているとなれば、アギーレ監督の気持ちも理解できる。何せ右サイドハーフのマキシ・ロドリゲスが10月12日のアルゼンチ代表戦で、左サイドハーフのマルティン・ペトロフが10月14日のレクレアティーボ戦でと、立て続けに左ヒザの靭帯を断裂。

要は左右の両輪を一遍に失った訳で、それ以来、チームにはサイドを任せられる選手がおらず、監督もフォーメーションには苦労したもの。同時に、昨季10ゴールしたマキシの得点力、ペトロフのクロスという貴重な攻撃オプションも消えたため、現在までリーガ上位6チーム中最低の32得点というゴール不足も、今季の慢性的な悩みとなっている。

もちろんそれには冬の移籍市場で、サイドアタッカーを補強しなかったフロントにも責任がないとは言えない。その理由がシーズン終盤でのマキシ、ペトロフの復帰がアテにできるからというのは、何とも無責任に聞こえるが、負傷後、一緒にマドリーの病院で靭帯の形成手術を受けた2人のリハビリは、幸い順調に進んでいる。

彼らは1月末になって、マハダオンダ(マドリッドの郊外)の練習場をゆっくり歩くことから始め、2月中旬にはカディス(スペイン南西部のリゾートタウン)で3週間のリハビリキャンプ入り。これまでもアイマール(サラゴサ)、バラハ(バレンシア)、ディエゴ・トリスタン(マジョルカ)ら、大勢の選手のリハビリに貢献したブエナベントゥーラ・トレーナーの指導の元、砂浜でのエクササイズやジムなど1日7時間のメニューをみっちりこなしたという。

「こういう状況では、チームメイトの助けがあることが大切」と彼ら自身も言っていたように、同じケガをしたもの同士、励ましあいながら、長い回復への道のりを歩んでいるのは、何より心強いに違いない。

そして今週、再びマハダオンダに帰って来た2人は、リハビリコーチの下でトレーニングを再開。実戦復帰は4月末とも5月とも言われているが、タイムリミットを設けるつもりはないそうだ。それにしても「今シーズン中に戻ってチームを助けたいけど、一番大事なのは、しっかりヒザを治すこと。間に合わなくても、どうってことはない」と言っていたのはマキシだが、こんなコメントを聞くと、クラブ上層部の思惑通りに行くかも怪しいもの。もっとも近頃は、ガジェッティ、フラードが頑張って穴を埋めているので、それほど焦る必要もないのだろうか。

一方、負傷のショックを癒すため、手術までの数日、故郷のムルシア(スペイン南東部)に帰ったというバレーラは、元々右サイドバック、ギリシャ代表のセイタリディスの控え。せっかく1月にベティス、セルタ、マジョルカといった1部のクラブから声がかかりながら、アトレティコ・マドリーに残ることを決めたばかりなのに、まったく残念なことになってしまった。

とはいえ彼の場合、チームが困るのは、もっぱらセイタリディスが出場停止になった時や、ケガをした時だけなのが、せめてもの救い。いざとなればCBペレアや左サイドバックのペルニアが代わりを務めるとか。ただ一つだけ心配なのは、「今、チームには13、14人しかいないから、ローテーションもできない(セイタリディス)」という選手層の薄さ。リーガもあと12試合となって、いよいよ来季のヨーロッパの大会出場圏(6位以上)を目指すチーム同士の争いも激しくなってきた。これ以上、アトレティコ・マドリーも負傷者を出さずに、今年こそ目標を達成できるといいのだが…。

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