イグアインとアグエロ。FW対決で勝ったのは?

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先週の土曜に行われたマドリー・ダービーで、キックオフ前に握手をしている姿が何とも微笑ましかったのは、アトレティコ・マドリーのアグエロとR・マドリーのイグアイン。クン(アグエロの愛称)は、昨年の夏に移籍してきたインデペンディエンテ出身の18歳、ピピータ(イグアインの愛称)はこの冬、リーベル・プレートから来たばかりの19歳。どちらもクラブの将来をしょって立つ金の卵として獲得された、若手アルゼンチン人FWである。それだけに今回のダービーでは、フェルナンド・トーレスvsラウールのキャプテン対決だけでなく、2人の活躍にも注目が集まったもの。その結果、吉と出たのはどちらだったかというと…。

半年だけ先輩のアグエロは、国王杯を含めてすでに7得点。シーズン前半のサンチャゴ・ベルナベウでのダービーでは、勝ち越し点を奪うチャンスに、GKカシージャスと1対1で対峙、そこで大胆にもループシュートを放って、クロスバーの上にボールが行ってしまったという苦い思い出がある。それだけに先週の水曜、入団プレゼンの時以来となった記者会見では、「同じような場面に遭遇したら、またループシュートでトライするのか」という質問も聞かれたもの。

その時は「どんな風に自分がエリアへ入るかによる」と答えていた彼だったが、残念ながら、今回はそういうチャンスはなし。それどころか前半、DFペレアのゴールが審判のミスにより、オフサイドと見なされて取り消された時には、エリア内でエメルソンに倒されるというペナルティ行為を受けていたのにも関わらず、まったく無視されるというツキのなさだった。

一方、本来なら除々にリーガに慣れていくはずだったイグアインだが、カペッロ監督がロナウド(現ミラン)を戦力外扱いにしてしまったことや、ラウールの負傷中だったこともあって、1月中旬からいきなりスタメンとしてプレー。ところが、8試合経過してもゴールが1本も決まらない。ミヤトビッチ・スポーツディレクターは「彼は救世主としてやって来た訳じゃなくて、数年後に期待されている」と庇っていたものの、チームが稀に見るゴール不足に陥っていたことも災いして、ファンの間からは彼の実力を疑う声がチラホラ聞こえるように。

加えてその日は、いつもトップを務めているファン・ニステルローイが体調不良により急遽欠場というアクシデントも発生。そこでカペッロ監督は、それまでずっとトップ下としてプレーしていたイグアインをセンターフォワードとして起用した。

そんな微妙なポジション変更が効果的だったどうかはともかく、彼がついにR・マドリーの選手としての初ゴールを決めたのは、後半のことだった。61分、カッサーノのスルーパスを受けると、アトレティコ・マドリーDF陣を振り切ってシュート。前半のチャンスでは、GKレオ・フランコに至近距離からのシュートを弾かれてしまったものの、今度はしっかりボールをネットに突きした。

本人が、「最初の時、GKをドリブルでかわそうとして止められてしまったから、次は直接そのまま撃つことにした」というそのゴールは、それまで劣勢だったチームにとっても貴重な同点弾。リバープレートにいた昨季も、老舗ダービーとして名高いボカ・ジュニアーズ戦で2得点しているだけあって、やはり大舞台には強いのだろう。

ちなみに「なかなか初ゴールが入らなくても、絶望しなかったのが良かった」と嬉しそうに語っていたイグアインと対照的に、最後までカシージャスに敵わなかったのはアグエロ。試合終盤、敵DFを素早い切り替えしでかわし、エリア内から撃ったシュートも、R・マドリーのGKは足で弾いてスーパーセーブ。土壇場の勝ち越し点ゲットとなるところを、再び防がれてしまった。

実はアトレティコ・マドリーのエース、フェルナンド・トーレスも、その日挙げた先制点がR・マドリー戦では初ゴール。それまでに要した8試合、フリーのチャンスであろうが、1対1で向かおうが、カシージャスにはまったく歯が立たなかったという身近な例がある。今度はまさかアグエロが、ダービー初得点を決めるのに、そんなに時間がかかるなんてこと…。まあ何にしろ、この先しばらく、マドリー・ダービーで両チームのアルゼンチン人ストライカー対決が楽しめるのは間違いない。

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