アトレティコ・マドリーは11日、今季苦手としているホームでビルバオと対戦し、1-0で勝利した。
しかし、試合の主導権を握るために必要な攻守における連係プレーの基盤をいまだに作り上げることができないでいるアトレティコは、マネ監督の就任をきっかけに調子を上げてきているビルバオ相手に苦しい戦いを強いられた。
前半、試合を優位に進めたのはビルバオだった。最終ラインを高く保ったビルバオは中盤へとスムーズにボールを回して、アトレティコ陣内へと攻め込んだ。身体能力ではビルバオを上回るアトレティコだが、プレスを掛けに行くタイミングも場所もまったく定まっておらず、その結果ただボールを追いかけるだけとなり、ゴールを脅かされる場面を何度も作られた。しかし、ビルバオはその決定的なゴールチャンスを逃すうちに、後半のアトレティコの巻き返しを許すことになった。
後半に入り、両チームに疲れが見え始めると試合の流れが変化し始めた。それまでボールのないところでアトレティコよりも多く、かつ効果的に動いていたビルバオの運動量が落ちると、両チームが肉弾戦を繰り広げてボールを奪い合う場面が増え始めた。この展開は身体能力に勝るアトレティコにとって有利な展開だった。こうした展開の中でも丁寧にボールをつなごうとするビルバオだったが、アトレティコ陣内でボールを奪われると、背後のスペースをアトレティコのFWトーレスの脚力、アグエロのドリブルによって脅かされるようになった。
そして後半18分、右サイドを突破したアトレティコの右サイドバック、セイタリディスからのクロスボールをアグエロがペナルティーエリア内で受けると、体を寄せたビルバオDFよりもアグエロが一瞬早く右足を振り抜いてシュート。ボールはゴールネットに突き刺さり、アトレティコが決勝点を奪うことに成功した。
試合後、ビルバオのマネ監督は「前半のチャンスを逃したことがすべて。後半はアトレティコの流れだった。この敗戦はもったいない結果だ。しかし、この失敗からわれわれは学ぶこともできる」とコメント。対するアトレティコのアギーレ監督は、「傷ついた末に勝ち取った勝利だった。今季のホームの試合では、上位にランクインするような試合内容だったと思う」と試合を振り返った。
前半にビルバオが決定機を逃したことで辛くも勝利を得たアトレティコ。そのような試合を、「今季の上位にランクインする試合」と指揮官が語ることからも、アトレティコが苦しいシーズンを送っていることは容易に知ることができる。中位グループの健闘によって上位陣が勝ち点を伸ばせないおかげで5位と好位置につけているアトレティコだが、この試合でも示されたように「攻守の基盤となる戦術」がまったく見えないような状態が続けば、彼らの目標とする「来季UEFAカップ出場圏内獲得」を達成するのは難しい状況だ。順位だけが例年とは違うだけでその内実は一向に変わっていないアトレティコは、このまま何の変化も見せないまま残りのシーズンを戦っていくのだろうか……。
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