アグエロ、ロスタイムのゴールでアトレティコ・マドリーを救う

この記事は約3分で読めます。

13日に行われたスペイン国王杯の第2戦、レバンテ対アトレティコ・マドリーの試合はアトレティコ・マドリーが1-0で勝利。この結果2試合の合計得点が1-1となったため、延長、PK戦にもつれこみ、最後はアトレティコ・マドリーが4-2でPK戦を制し準々決勝に駒を進めた。アトレティコ・マドリーは準々決勝でオサスナと対戦する。

 11月8日に行われるはずだったこの試合は、大雨によるピッチコンディション不良のためにずれこんで行われた。ホームでの第1戦を0-1で落としているアトレティコ・マドリーにとって、この試合は“決勝戦”のようなもの。試合前からアギーレ監督もこの試合と国王杯タイトル(=UEFAカップの出場権)の重要性を強調していた。
 一方のレバンテにとっては国王杯のタイトルより、リーガでの1部残留が今シーズン最大の目標。この試合に向けては主力のエティエンや、第1戦で貴重なアウエーゴールを挙げたニノをベンチにすら入れず、ローテーションを採用した。

 試合は予想通り、先制点が必要なアトレティコ・マドリーが攻撃的に出ていき、レバンテがそれを受けて立つ形で進んでいく。しかしながら、アトレティコ・マドリーはコスティーニャとガビのダブルボランチが試合を作れず、ディフェンスラインからのロングボールによる単調な攻撃が目立った。
 逆に守備組織を整えアトレティコ・マドリーの攻撃を受けて立つレバンテは、カマーチョとトンマージのダブルボランチが精力的にプレッシング。そこから奪ったボールを素早く前線につなぎ、効果的な攻撃で決定的なチャンスを作る。前半13分にはリガ、35分にはデウが惜しいチャンスを得るもののゴールには至らず。前半はレバンテペースで終了した。

 後半開始から、アギーレ監督はガジェッティ、リュクサンの2枚を投入し、より攻撃的な姿勢を示した。これで徐々にゴール前でのチャンスが生まれると、後半15分には早くも3枚目のカードを切り、サイドバックに入っていたバレラを外しアグエロを投入する。
 攻撃的な持ち駒をすべて使い、普段はセンターバックのパブロを右サイドバックに移動させるなど、なりふり構わず勝利への執念をチームに注入したアギーレ監督。このさい配が徐々に効果を出し始め、後半31分、42分には、フェルナンド・トーレスが2度の惜しいミドルシュートのチャンスを得る。
 しかしながら、この日の主役は後半から登場したアグエロ。0-0のままレバンテが逃げ切るかと思われた後半ロスタイムに、ペナルティーエリア内でボールをコントロールしたアグエロは、見事なターンで相手DFを置き去りにし、角度のない位置から左足を振り抜きシュート。これがゴール右サイドネットに見事に突き刺さり、アトレティコ・マドリーが貴重な1点を奪った。

 そのまま試合終了のホイッスルが鳴ったが、2試合の合計得点が1-1となったため、試合は延長戦に突入した。ロスタイムでの得点もあり、勢いは完全にアトレティコ・マドリー。意気消沈したレバンテも延長戦での立て直しをはかるが、PK戦にもつれ込むと、同点に追いつかれた心理的なダメージから結果的に2人が失敗。アトレティコ・マドリーがこのPKを制し、準々決勝に駒を進めた。

 試合後、アギーレ監督は「本音を言うと、(あの時間での)同点ゴールは予想していなかった。“クン”(=アグエロ)が持っている天性の能力を示し、ゴールを決めてくれた」とロスタイムでのアグエロのゴールを驚きと喜びをもって評価した。
 だが、アギーレ監督のさい配が的中したのも事実。逃げ切り態勢に入り、守備ラインを下げてしまったレバンテを見透かしたかのように、アギーレ監督は早めに攻撃的なカードを切って勝利を手繰り寄せた。

 そして何といってもアグエロ。ロスタイムでの一瞬のすきを突いたワンプレーで試合を決め、PK戦でも5番目のキッカーとして落ち着いてゴールネットを揺らした。フェルナンド・トーレスが1番手としてPKを外したのとは対照的に、既にアトレティコ・マドリーのエースとしての風格が漂う試合となり、国王杯タイトルに望みをつなげる貴重な逆転勝利の立役者となった。

コメント