29日、第7節終了時点で7位につけるアトレティコ・マドリーは、ホームに6位のサラゴサを迎え撃った。
アトレティコはペトロフ、マキシ、ミスタらを、またサラゴサは、中盤の攻守の要であるアイマールとセラデスを負傷で欠きながらこの一戦に臨んだ。
両チームともに攻撃をつかさどる選手を欠いたことで、中盤からの効果的な攻撃の組み立ては難しくなった。逆に、互いに安定した最終ラインと中盤での高い守備力は健在のために、試合は自然と中盤での混とんとした競り合いが主となった。
そんな試合展開で最後に笑ったのは、ホームのアトレティコではなくアウエーの地に乗り込んだサラゴサだった。
ホームの大歓声を背にした戦いを得意とするアトレティコだったが、この日はそれとは逆の現象が起きてしまった。
攻撃陣の離脱によって前線が明らかに戦力ダウンしているアトレティコに対して、サポーターはいら立ちを隠し切れず、ボールを前に展開できないとすぐさまブーイングを巻き起こした。
アトレティコは、ペトロフ、マキシといった両サイドの主力を欠くことで、縦への速いサッカーができず、加えてサラゴサのコンパクトな守備によってエースのトーレスも完全に封じられた。いら立つサポーターはブーイングを浴びせたのだが、このブーイングは選手を奮起させるどころか、逆にさらに委縮させてしまった。このため、「3人のCH(センターハーフ)を置いて中盤を分厚くし、ボールを保持しながら両サイドを押し上げていく」というこの日のゲームプランを破たんしてしまった。
効果的なプレーをできないことで体力的にも精神的にも追い詰められたアトレティコは、さらにサポーターからも攻め立てられるようにして、哀れなほどに消耗していった。
そして試合終了間際の後半42分、アトレティコは、セイタリディスが負傷してプレーが止まった直後のスキを突かれてペナルティーエリア内へボールを運ばれ、最後はサラゴサMFのオスカルにゴールを決められてしまった。結局、これが決勝点となり、アウエーのサラゴサがアトレティコから勝利をもぎ取った。
ともに主力選手を欠いて臨んだ一戦だったが、明暗はくっきりと分かれた。この勝利でサラゴサは4位に浮上し、逆にアトレティコは8位に沈んだ。
サラゴサはアイマール、セラデスの早期の復帰が見込まれ、粘り強い守備と攻撃の融合が期待される。だがアトレティコは、ペトロフらの復帰が6カ月後と見込まれているため、今後半年は彼ら抜きで戦っていかなければならない。
しかし、この日のアトレティコの姿は、苦しい状況を乗り切るための戦術的なオプションと精神的な強さを彼らが持っていないことを示していた。
高い能力を持ち、鳴り物入りで入団したアルゼンチンの至宝アグエロを機能させることもできず、エースのトーレスも沈黙したままのアトレティコ。やはり今季も例年通りの「迷走」が始まってしまうのだろうか……。
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