主審の“大活躍”でアトレティコ・マドリーがレクレに勝利

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フットボールの世界で何かを断言するのは危険である。例えば、この選手は世界一だとかこのプレーはリーガ史上最高のものだと言い切ってしまうと、決まってすぐにそれを上回るプレーや新しい選手が登場する。それでもこの試合であえてひとつ断言したい。ペレス・リマ主審はリーガ史上、最悪の試合をした。これから彼はとてもいい審判に生まれ変わるかもしれないが、それでも言わずにはいられない。この試合での彼の行為は理解できない。確かにチーム全体、選手一人一人を瞬時に裁くのは至難の業だ。しかし全ての決定的なプレーで間違うこともまた難しい。この試合での3得点はどれも不当な形で認められた。さらに審判は自分が出したカードの枚数も把握できていなかった。この判定の数々を「人間だから」という理由で片付けてよいのだろうか。ホアキンがこの試合を見ていたら、きっと「笑いものだ」ということだろう。

話をフットボールに戻そう。この試合、ゲームを支配していたのはレクレアティーボだった。マキシ・ロドリゲスを欠いたアトレティコ・マドリーは、まさに別物だった。レクレは混沌とするアトレティコに対し前線からプレスをかけ、意味のあるパスを繰り返す。ビケイラがゲームを作り、カソルラは前線のロスやカジェにスルーパスを連発してアトレティコの守備陣を翻弄した。

それでも前半は両チームがいくつもゴールチャンスを作る魅力的な展開だった。アギーレ監督はサイドにガジェッティとペトロフを配置する作戦に出るも、このプランはすぐさま崩れてしまう。ペトロフが左ひざを痛め、苦痛の叫びをあげながら担架で運ばれてしまったのだ。アトレティコにとっては最悪の展開。4日間で二人のスタメンが重傷を負ってしまったのである。

後半に入るとアトレティコが息を吹き返した。アグエロのシュートチャンスに始まり、さらに激しさを増す試合展開で、両チームの監督は残された選手交代でどうにか事態を打開しようと策を練り続ける。ここまでは普通の試合だった。しかしここでペレス・レマ主審が現れ、試合内容を根本から変えてしまったのである。

まず主審はビケイラに対するフラードのファウルに笛を吹き、PKを指示。しかしフラードは相手に触れておらず、ここからショーが始まった。PKを蹴ったハビ・ゲレーロが、一度はGKに弾かれたボールを叩き込み、レクレが先制する。しかしペレス・リマ主審は休むことを知らない。続いてロスがエリア内までボールを運ぶと、ガジェッティが横からロスの足を削ったが、この明らかなファールはとられずにプレー続行を指示。さらにはマニシェからのパスに反応したガジェッティがエリア内に入ったところで倒れたが、こちらはファウルではなかった。このプレーにPKを与えた主審は気が狂っているとしか思えない。そしてこのプレゼントのPKはフェルナンド・トーレスが冷静に沈めて同点となった。

ペレス・リマ主審はエンジンがかかったかのようにミスを連発する。PKから3分後、フェルナンド・トーレスのヘッドから逆サイドに待ち構えていたアグエロは、何とこぶしでボールを押し込んだ。アグエロは審判のほうをちらりと見たが、主審がセンターサークルへ戻っていくところを確認すると、他の選手と抱き合ってゴールを喜んだ。トーレスがチームメイトに“クン”が手でゴールを決めたことを耳打ちされている間も、レクレの選手は主審や線審に猛抗議したが、判定が覆ることはなかった。

これで終わりかと思った頃、またペレス・リマ主審がミスを犯した。ダニ・バウティスタが明らかなファウルで2枚目のイエローカードをもらってしまう。選手がピッチを出ようとすると、主審はどうやら1枚目のカードの存在を忘れていたらしい。観客やアトレティコベンチからレッドカードを要求する怒声が響いても、主審は第4審判に指摘されるまでこのミスに気づかなかった。やっと主審はレッドカードを提示したが、この試合展開では微笑ましいエピソードになってしまった。

試合は完全に壊れてしまい、レクレは立て続けの誤審に打ちのめされた。この“プレゼント”の勝利でアトレティコは上位を維持し、途中までは素晴らしいプレーを披露していたレクレとしては、審判のひどさを嘆く以外になす術はなかった。

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