7日、スイスのジュネーブで行われたスペイン対クロアチア戦は、スペインが2-1で勝利を収めた。ここまでさまざまなメンバーを組み合わせてテストマッチを行ってきたスペインは、この日もこれまでになかった布陣で試合を開始した。
スペインの先発メンバーは、GKレイナ、4バックに右からサルガド、パブロ、プジョル、ペルニア、中盤の底にシャビ・アロンソ、その前にシャビ、そしてトップ下にラウルが入り、3トップは右からホアキン、ビジャ、レジェスだった。しかし、これまでの内側に入り込む3トップの両サイドとは違い、サイド突破を武器とするホアキンとレジェスを起用したこの布陣は、クロアチア相手にはうまく機能しなかった。レジェスとホアキンのドリブルを警戒したクロアチアは、複数の選手が素早くはさんでプレースペースをつぶし、スペインの勢いを消すことに成功したからだった。これによってスペインの攻撃はスピードを失い、行く手を阻まれた両ウィングから中央へと戻されたボールは、クロアチアのプレッシングを真っ向から受けることになってしまった。そして、前半14分にはクロアチアの右からのクロスを、クリアしようとしたパブロがヘディングミスしてしまいオウンゴール。スペインは、リードされて前半を終えることとなった。
後半に入るとスペインはラウル、レジェス、サルガド、レイナに代えてフェルナンド・トーレス、ルイス・ガルシア、セルヒオ・ラモス、カニサレスを投入した。これによって、スペインはGKカニサレス、4バックが右からセルヒオ・ラモス、パブロ、プジョル、ペルニア、中盤の底にシャビ・アロンソとシャビが入り、サイドハーフの右にホアキン、左にルイス・ガルシア。トーレスとビジャが2トップを構成した。そして、この布陣が試合の流れを大きく変えることになる。
最も目を引く動きをしたのは、ルイス・ガルシアだった。ルイス・ガルシアは、前半のレジェスとは違って、中央へと切れ込む動きを多く見せた。そして、この動きにトーレスが呼応してサイドに流れることで、クロアチアの守備網が揺さぶられ、クロアチアのペナルティーエリア手前にスペースが生まれるようになった。相手ゴール前にスペースを作るようになってからのスペインは、そこにボールを入れてからサイドを上がってきた選手にダイレクトパスを送ったり、ボールを持った選手自身が個人技でシュートを放つ場面を多く生み出した。
そして、後半16分にペルニアが直接FKを決めて同点に追いつくと、試合終了間際にはピッチ中央で奪ったボールからダイレクトパスを3本つないでの速攻で、最後はトーレスがDFを2人かわして決勝点を挙げたのだった。
ワールドカップ前の最後のテストマッチを勝利で飾ったスペイン。しかし、後半に見違えるようにスムーズになったスペインの攻撃は、またしても先発メンバーが誰になるのかを分かりにくくする結果となった。エジプトとのテストマッチでゴールを挙げたラウルを先発で起用したアラゴネス監督だが、ラウルはこれといった活躍をすることなく前半で退いた。そして、代わりに入ったルイス・ガルシアの動きによって、スペインは試合を活性化させたのだった。すべてのテストマッチを異なる布陣でプレーしたスペイン代表。果たして、本大会のスペインはどういったシステムとメンバーになるのだろうか。
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