27日、ホームでカディスに3-0で勝利したアトレティコ・マドリーは、前節のラシン戦に続いての勝利で今季初の連勝を飾った。
3-0というスコアからはアトレティコの完勝という印象を受けるが、試合内容の方はそれとは程遠いものだった。低調な試合内容の原因はアトレティコの単調な攻撃によるもの。彼らが効果的な攻撃が行えるのは左サイドのペトロフがボールを持った時に限られていた。ペトロフ以外の攻撃の選手であるフェルナンド・トーレスはフリーランニング、ドリブル、ポストプレー、ボールキープに精彩を欠き、シュートすら打てなかった。そのトーレスとコンビを組んだケズマンはトーレスの周囲を精力的に動き回り、ボールを引き出そうとした。しかし、パスは来ずにその動きは無に帰した。また前半22分に先制ゴールをあげたマキシにしても右サイド、中央とポジションを変えながらボールを持つもののドリブル、パスともにミスが目立ち攻撃の芽をつぶし続けた。
守備的MFルクサン、ザイノスはその攻撃陣をサポートしてリズムを作るプレーをすることができず、アトレティコは試合をコントロールできぬままにペトロフの個人技頼みの攻撃を繰り返し続けた。
そんなアトレティコが挙げたゴールは、カディスのミスに助けられたものだった。前半22分のマキシのゴールはカディス右サイドを突破したアトレティコの左サイドバック、アントニオ・ロペスからのクロスによるものだったが、このボールに対してカディス守備陣は棒立ち。ペナルティーエリア中央にいたマキシを完全にフリーにするという凡ミスを犯してしまった。
また後半18分にアトレティコが奪った追加点は左CKからのものだったが、これもカディス守備陣が後方から飛び込んできたアトレティコのセンターバック、パブロを完全に見落としたことによるものだった。
相手のミスを誘い出すような攻撃をアトレティコがしたのではなく、カディスが犯した凡ミスによって生まれた2ゴールで試合の行方はほぼ決まり、アトレティコはトーレス、ケズマン、マキシをそれぞれ温存するためにベンチに下げた。代わりにピッチに登場したのはガビ、ガジェッティ、そしてイバガサだった。後半25分のこの交代劇は、アトレティコに欠けているものが何かを実に明確に表すことになる。
ガビ、ガジェッティ、イバガサに共通するのはボールのないところで良く動くということと、ドリブルとパスを駆使して攻撃の起点になるとともに周囲の選手を生かすプレーをできるということだ。そんな選手が3人も投入されたアトレティコの前線は、一気に活性化した。ペトロフは左に残ったままで、ガジェッティがトップに入り、右寄りにイバガサ、トップ下にガビが入ったアトレティコは、各選手の高いキープ力と正確なパス、そしてフリーランニングを織り交ぜて、選手とボールが自由自在に移動した。特にイバガサとガビは、テンポ良くまわるパス回しの中から前線へと飛び出す選手の動きをしっかりととらえ、カディスの急所を衝くような鋭い縦パスを再三放った。試合終了間際にガジェッティが挙げたゴールは、ガビからのスルーパスによって生まれたもので、このゴールはこの試合唯一の「アトレティコが相手を崩して奪ったゴール」だった。
前線で動き回り、一本のパスをゴールにつなげることのできるケズマン。縦パスを受けることによって、さらに高い位置から突破力を発揮することができるペトロフ。攻撃の起点となることは得意ではないが、良いパスをゴールに押し込む力のあるトーレスやマキシ。彼らの力を最大限に発揮させることができるのは、中盤でボールを動かすリズムを生み出し、その中から決定的なパスを放つことのできる選手である。そしてそれは、ガビとイバガサである。現在の攻撃陣の中から一人あるいは二人を下げてガビとイバガサを起用するということをビアンチは試さないのだろうか? 相手が自ら犯すミスを待つ攻撃で勝ち点を稼げるほど、リーガ戦線は甘くはないはずだ。アトレティコに欠けているのはゴールを生むことのできる選手を生かす、攻撃の指揮者である。
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