今週末はいよいよマドリー・ダービー。アトレティコ・マドリーとレアル・マドリーがビセンテ・カルデロンで対戦する。といっても世間があまり盛り上がっていないのは、やはり先週・今週とワールドカップ予選が行われているせい。スペイン代表の本大会出場がまだ決まっていないのに、リーガどころじゃないといったところか。
実際、レアル・マドリーは13人、アトレティコ・マドリーは9人もの選手が各国代表チームに参加中。たとえ今練習を見に行っても少人数制集中レッスンか、大量のBチーム選手たちで水増しされた光景しか目撃することができない。両チームの選手たちが戻ってくるのは、12日のインターナショナルマッチの後。それも、ヨーロッパで試合している場合はまだいい。水曜の夜試合が終わって、翌日早朝にはマドリーに到着しているはずだ。
ところが南米系の選手たちとなると話は別。レアル・マドリーではロナウド、ロビーニョ、バチスタ、ロベルト・カルロス(ブラジル)、パブロ・ガルシア、ディオゴ(ウルグアイ)、アトレティコ・マドリーではレオ・フランコ、ガジェッティ(アルゼンチン)、ペレア(コロンビア)が代表入りと、どちらのチームも主力選手が軒並み地球の裏側に。
ブラジルから早く選手たちに帰って来て貰おうと、レアル・マドリーはミランと共同で飛行機をチャーター。フライトに支障がなければ木曜午後の練習には参加できるはずだが、アトレティコ・マドリーの方はそうはいかない。南米系代表選手たちが合流するのは金曜日になってから。つまりダービー前に全員で練習できるのはたった1回だけということになる。
再びヨーロッパ組へ目を移してみると、先週土曜日のワールドカップ予選ではレアル・マドリーにとっていい知らせも。それはスペイン代表サルガドがベルギー戦のイエローカードで累積警告、イングランド代表ベッカムがオーストリア戦で2枚イエローカードを貰って退場、どちらも次戦には出場できなくなったこと。予定外の早帰りとなるはずだったが、翌日曜日にはすでに代表合宿から姿を消していたサルガドと違って、キャプテンの責任感からかベッカムは水曜のポーランド戦までチームと帯同することを決意したそう。試合には出ないので怪我の心配はなくても、ルシェンブルゴ監督にしてみればチームのアシスト王の顔をすぐにでも見たかったのではないだろうか。
ちなみに試合に伴う長距離の移動やワールドカップ本大会出場を懸けたハードなゲームでのプレッシャーによる選手たちの疲労を考えずに、単純に代表戦での活躍ぶりからダービーの行方を占ってみると、若干有利なのはアトレティコ・マドリー。というのもチームの攻撃を担うセルビア・モンテネグロ代表ケズマン、スペイン代表フェルナンド・トーレスがそれぞれリトアニア戦、ベルギー戦で揃ってゴールを入れたから。これでケズマンはW杯予選3戦連続得点だし、ゴールを2本決めたフェルナンド・トーレスもこれまで代表戦では期待に応えられてなかっただけに随分自信をつけたようだ。
皮肉なのはその両代表が予選突破を賭けて同じグループで争っていること。水曜の試合結果でどちらかがプレーオフに回れればいいが、予選敗退でもしようものなら…。スペインがサンマリノに勝って、セルビア・モンテネグロがボスニア・ヘルツェゴビナに負ければ1位通過できるとあって、フェルナンド・トーレスからは「ダービーのためにもケズマンが代表戦でゴールを節約してくれたらいいのに」とのコメントも。でもそんな上手い具合にいく訳がない。
逆にスペイン代表ラウール、ブラジル代表ロビーニョといったレアル・マドリーのFW陣は無得点。もっとも一番頼りになるロナウドは、土曜日のボリビア戦に出ていない。次のベネズエラ戦で一発決める可能性はあっても、それはすでに本大会出場決定後の消化試合、あまり当てにはならないような。
この1週間スペイン代表はレアル・マドリーと同じラス・ロサスの練習場で合宿中。練習が終わった後、フェルナンド・トーレスやアントニオ・ロペス、パブロらアトレティコ・マドリーの選手が、奥のグラウンドでエルゲラやグティ、ウッドゲイトらが練習しているのを見学する風景も。ダービーに備えた予習になるのかどうか定かではないが、確かに見ておいて損はない。
もっとも代表チームではレアル・マドリーのCBセルヒオ・ラモスとフェルナンド・トーレスは大の仲良し、いつも一緒にいたりする。もちろんスペイン代表のためには喜ばしいことだが、数日すれば2人はピッチで火花を散らすことに。サッカー選手の頭ってホントに実用的にできているようで…。
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