“ノー”、“ノー”、“ノー”…。アトレティコ・マドリーはこの夏、選手の獲得を目指す他チームからのオファーを山ほどはねつけた。特に移籍市場が閉まる直前、チームの様々な選手に対するオファーは目眩がするほど高額だった。それでも、クラブの返事はいつも同じ。断固とした拒否である。チームの中で最もオファーを受けたのは、特にイングランドからのオファーが多かったチームの“舵取り役”フェルナンド・トーレスだ。しかしアトレティコ側は“エル・ニーニョ”を売りに出すつもりはないことを断言し、つい先日もニューカッスルからの莫大なオファーを断っている。トーレス、ガビ、ペレア、パブロ、ガジェッティ、イバガサ…、クラブが断ったオファーの総額は8000万ユーロ(約108億円)に上る。
間違いないのは、クラブがビアンチ監督のプロジェクトを絶対的に信頼し、“地の果てまで”彼についていくと決意しているということだ。今季チームにかかっている期待は大きく、これ以上ファンの怒りを生むような事態は避けたい。「アトレティコは誰も売らない。たくさんの選手にオファーは届いていてもだ」。これがエンリケ・セレソ会長の言葉である。今季補強に全力を尽くしたおかげで、競争力のあるチームが出来上がった。したがってクラブはこのプロジェクトを盲目なまでに信頼しているのである。セレソ会長は「選手の平均年齢は23から24歳。それもプロジェクトの大切な一部だ。このチームには多大な期待が掛かっているし、必ず上手くいくはずだ」と続ける。
この会長の信頼を盾に、クラブは1週間足らずの間にフェルナンド・トーレスに対する3600万ユーロ(約48億5000万円)と3800万ユーロ(約51億3000万円)のオファーを立て続けに断った。「ここで彼を売れば、選手を買うために売ったと思われるだろう。しかし我々は選手を売らずに買うことが出来る。アトレティコは選手を買うチームであって、売るチームではないのだ」とセレソ会長は自信を見せる。
アトレティコが目指すのは、もちろん上位復帰である。そのために「素晴らしいチームを作り、我々は尊敬されるチームだという印象を与えなくてはいけない。我々はこのクラブをよく理解し、どこまでいけるのかを考えるべきだ。したがって全力で戦わなくてはならない」と会長はプロジェクトを説明した。
しかしイングランドから届いたオファーはフェルナンド・トーレスに対するものだけではない。アストン・ビラはガビに対して650万ユーロ(約8億8000万円)、リバプールはガジェッティに500万円(約6億8000万円)、パブロに1500万円(約20億3000万円)のオファーを提示した。またイタリアからはユベントスがペレアに対して(約16億2000万円)払う用意があったという。他にもカタールから届いたイバガサへのオファーは300万ユーロ(約4億円)だった。それでもクラブは、その全てを断ったのである。
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