アトレティコ・マドリー、サンタンデールに辛勝

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17日(現地時間)、アトレティコ・マドリーはホームでラシン・サンタンデールと戦い、辛くも勝利を収めた。第5節のビジャレアル戦以来、約3週間ぶりのホームでの試合とあって多くのアトレティコサポーターがスタジアムに足を運んだ。だが、試合内容は彼らを熱狂させるようなものとは程遠いものとなった。

 試合開始から両チームのリズムはのんびりとしたものだった。まるでこの2週間のリーグ休止期間で攻撃の仕方を忘れてしまったかのように、横パスばかりが続いた。それを最も端的に表していたのが、アトレティコの右サイドハーフとして先発出場したホルへのプレーだ。まるでフェランド監督から、「上がるな」という指示を受けているのではないか?と思わせるほどに、彼は自分の前方に広がるスペースへボールを呼び出す動きをしなかった。そのホルへのプレーはもちろん、観衆の怒りを買った。ホルへにボールが渡るたびに観衆からは「プレーの指示」が出された。そして、その指示が実行されない場面が続くにつれてホルへに対する観衆の信用はどんどん下がっていった。しかしホルヘに対する信用が下がっていく中、決勝点となるゴールは彼のセンタリングから生まれた。

 前半7分だった。アトレティコは右サイド敵陣深くでスローイングを得た。ベラスコがスローイングでホルへにボールを回すと、ホルへはワンタッチでベラスコへとボールを返す。ベラスコに相手選手がプレッシングをかけようと距離をつめた時、ベラスコはフリーになっていたホルへにもう一度ボールを回した。そしてホルへはそのボールをダイレクトでペナルティーエリア内へと放り込んだ。ペナルティーエリア内ではサンタンデールのセンターバック2人と右サイドバック、そしてフェルナンド・トーレスが飛んでくるボールを待ちかまえていた。ボールは二アサイドにいたCBピエリーニの下へと落下してきた。ピエリーニは足を伸ばしクリアをしようとしたが、目測を誤りクリアミスをしてしまう。そして不運なことに、ボールはGKとCBの頭上を越えて、フェルナンド・トーレスの頭上に舞い上がった。あとはフェルナンド・トーレスがそのボールをゴールに押し込むだけでよかった。

 先制点を奪ったアトレティコは、さらに勢いづき、試合は一気に活性化するかに思われた。スタジアムはアトレティコが攻勢に出るかと期待を抱いた。だが、アトレティコの出足の良さは攻撃ではなく、守備に生かされた。
 試合の主導権は、前半中ごろになってもどちらのものでもなかった。本来ならばホームチームであるアトレティコが果敢に攻撃を仕掛けるはずなのだが、彼らは単純なミスを連発し自らの攻撃の芽をつんでしまっていた。しかし、彼らは攻撃で犯したミスを取り戻すだけの動きを守備において見せた。

 サンタンデールが中盤から攻撃を組み立てようとすると、アトレティコはダブルボランチのマルセロ・ソサとルクシンを中心に厳しいプレッシングをかけた。サンタンデールの中盤は縦パスを出すことさえ苦しく、チャンスらしいチャンスを作り出すことができなかった。そうして、前半戦は双方ともにゴールの気配のないまま経過していった。前半終了の笛が鳴った時には、ラシンの中盤がアトレティコのプレッシングをどのように克服するのかが、この試合の均衡を破る最大の要因になるということが明確になっていた。

 サンタンデールは後半開始から、右サイドハーフと左ボランチを入れ替えた。だが、その交代は選手を入れ替えたというだけで試合を大きく動かすことはなかった。ラシンはさらにドリブル突破のあるジョナタンを投入したが、彼も決定的な仕事をすることはできなかった。そして、そのまま試合は経過し、何事もないまま終了した。

 この試合で観衆が興奮した場面は、前半7分の決勝ゴールが生まれた時だけだった。後半35分辺りで多くの人が家路についたことが、この試合がどれだけ興奮に欠けるものであったかを物語っていた。
 だが、このような試合で勝ち点3を得ることができるようになったということは、アトレティコが昨年から一つ成長したことを表している。現時点では、攻撃の面において昨年からの大きな進歩を見つけることはできない。だが、ペレアとパブロの両CBとマルセロ・ソサとルクシンの両守備的MFが形成する四角形はプレッシングとカバーリングという両面において高い資質を感じさせる。守備という計算できる武器を手に入れたアトレティコ・マドリー。今後の課題は、攻撃力をどのように高めていくのかということに絞られたのではなかろうか。

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