能力の片りんを見せたアトレティコ・マドリーのコルサ

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5日、ホームでオサスナを下したアトレティコ・マドリー。3-2というスコアが示す通り、この日の試合はゴールが多く見られた試合であった。
 両チームあわせて5ゴールという激しい攻撃の応酬を連想させるスコア。だが、その内容はというと、いささか大味なものであったというのが本当である。とくに後半に入ってからの試合展開は、オサスナが退場者を一人出したことによって中盤を排し、一気に前線へとボールを放り込む戦術を取ったために、ボールが落ち着きなく行き交うものとなった。
 後のないオサスナがこの戦術をとったことは妥当であった。だが、それを跳ね返して、そこからしっかりとボールをつなぐことができなかったアトレティコの後半戦の戦い方は、この先のリーグ戦を戦い抜いていく上で大いに不安を感じさせるものであった。

 本来なら、こういった展開で持ち味を発揮するのが、この日途中出場したコルサという選手である。コルサは、大柄な体つきには似合わぬ器用な足技と、豊富な運動量が売りの選手。この日も途中出場してすぐにコーナーキックからゴールを奪うと、彼の持ち味を発揮しかけた。後半20分に、自陣からパスをはたいては受け、はたいては受けを繰り返して、オサスナ守備陣のマークを分散させた場面では、スタンドから「Nuestro Zidane!!(僕らのジダン)」という声がかかるほどだった。

 だが、試合後半、オサスナの攻撃を跳ね返した後のアトレティコは、オサスナ最終ラインの後方を狙い続けることを繰り返した。3-1という展開でさらに1点を奪い、4-1にして試合を決めようとすることは理解できることではある。だが、最終ラインの後方目がけてボールを蹴り続けて、失敗し続けるということは決して良いことではないはずだ。そういったことを繰り返すうちに、前線の選手は消耗し、また中盤ではミスによって冷静な判断が失われ、最終ラインは落ち着きを得ることができなくなってしまう。そうすると、必ずチームは悪い流れに飲み込まれて、結果的に4-1と試合を決めに行ったはずが、同点、逆転を食らうということになりかねない。

 そういったことを察知し、それを回避するために冷静な判断で局面を見極める能力を必要とされるのが、チームの中心にいる選手、つまり中盤の選手であるはずだ。この日、パスを出しては動き、また出しては動くというプレーでスタンドから「僕らのジダン!」という声援を受けたコルサは、その役割をこなすだけの力があるのではないだろうかということを感じさせた。現在25才のコルサ。その才能を開花させるのに25才という年齢は、決して遅過ぎる年齢ではない。いつ彼の才能が開花するのか。そして、彼の才能が開花した時には、アトレティコもまた新たな側面を見せるのではないだろうか。コルサとアトレティコ、双方の今後に注目してみたいところだ。

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