アトレティコ・マドリーは不思議なチームである。レアル・マドリー、バルセロナに次ぐ歴史。欧州蹴球界が注目するフェルナンド・トーレスという若きゴールゲッター。レオ・フランコ、ペレア、パブロ、イバガサ、アントニオ・ロペス、グロンキアという各国代表選手たち。そしてビセンテ・カルデロン・スタジアムに集まる熱いサポーターたち。これだけの素材を擁しながら、今季、彼らはあまりに脆い。
ここで勝てれば……というところで悉く敗れ、目標としていたチャンピオンズリーグ出場権はほぼ絶望的になってしまった。
統計を見ると、ホームでは11勝5分け1敗と大きく勝ち越しているが、アウェイでは2勝4分け11敗と大きく負け越しているのが分かる。ホームだけの統計でいえば、4位。アウェイ統計だと17位で、降格ゾーンにいてもおかしくない成績だ。彼らの低迷の原因は、ホームでは強いが、アウェイで弱過ぎることにある。アウェイは17試合で12得点の貧打ぶり、これでは勝てるわけがないのだ。
では、なぜアトレティコはこれほど極端な内弁慶ぶりを露呈しているのか。
「ミステリーだよ。説明が付かない」
あるファンはそういって肩を竦めるが、それらしき理由がないわけではない。21歳という若きエースに、チームが依存しているのだ。フェルナンド・トーレスはチーム総得点の約半分に当たる16得点を記録。彼の“アタリ”が消えたとき、チームは途端に勝てなくなってしまう。若さは思い切りのよさになるが、時にはチーム全体の悪い流れに左右される未熟さにも繋がる。
アウェイでポイントを稼ぐには、選手の老練さも必要といえるだろう。ここはという場面で体を張り、得点が奪える経験豊富なリーダー。そういう、勝利の味を知るベテランがアトレティコにはいない。バルサで数々のタイトルを獲得したことのあるセルジはたしかに勝負を知り尽くした選手だが、左SBというポジションもあり、チーム全体に影響力を及ぼしているとは言い難い。さらにいえば、全盛期に比べれば衰えが激し過ぎるのだ。
「なぜ、ネガティブになってしまうんだろうか。まだまだ勝負はこれから。胸を張って戦い抜く姿勢が必要だと思う」
セルジはなんとか士気を上げようと、勝利のメンタリティーを語る。それは戦いの厳しさを知る者の金言と言えるだろう。だが、若く経験の浅い選手たちは一端ネガティブなスパイラルに入ると、そこから抜けることができない。当然、様々な状況が不利になるアウェイでは勝てなくなる。リーダー不在=アウェイの弱さ。そこにアトレティコの限界が垣間見える。
4月30日。得意とするホーム、ビルバオ戦は1対1のドロー。敢えなく10位に転落した。残り4試合、チャンピオンズどころか、UEFAカップ出場権も遠のいてしまった。
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