「僕がスター選手だって?とんでもない、単なるアトレティコの一員だよ」
念願のアトレティコ入団を果たして、大満足のスタンコビッチ。いつも控えめな彼ではあるが、過去にはマジョルカを1部昇格へと導いた“リーダー”でもある。
今シーズン、アトレティコでも大黒柱となって活躍してくれる期待は大きい。
―― 今までもアトレティコ移籍の話はありましたが、いつもあと一歩というところで破談となっていましたね。
スタンコビッチ(以下S)「アトレティコに入るのは僕の夢だったんだ。そしてアトレティコも僕を欲しがっていた。でも、マジョルカが僕に多額のパス(違約金)をかけていたから、合意に達することはできなかったんだ。数年間何度もトライして、やっと今夢が叶ったよ。
アトレティコは僕にとってすごく魅力的なチームだったし、一員となった今、僕の考えが正しかったことを実感している。やっぱりアトレティコは、よくオーガナイズされたクラブだよ」
―― 2部でプレーすることに迷いはなかった?
S「ミスター(アラゴネス監督)が電話をくれたとき、うれしくて、アトレティコが2部だってことなんか忘れてたよ。それに来シーズン1部に上がることができれば、もっといい夢の結末を迎えるわけだろ?」
―― ルイス・アラゴネス監督が、選手たちの絶大な支持を得ている理由は何でしょう?
S「彼は選手たちを、ピッチ内外の両方でサポートしてくれるんだ。問題には進んで相談にのってくれるし、一緒に解決する方法を考えてくれる。ルイスはいつもそばにいてくれるような人なんだ。それに、言いたいことがあれば堂々と言う。絶対陰口を利いたりはしない。彼のサッカーのシステムにしても、僕は熟知しているし、それは素晴らしいものだよ。彼の指揮したチームでは、いつもそれで成功を収めていたし、アトレティコでもうまくいくと思うよ」
―― 昨シーズン、アトレティコが2部で苦しんだ理由は何だと思いますか?
S「だってどのチームもうちには勝ちにくるんだよ。たとえ最下位のチームに負けようとも、アトレティコに対しては300%の力を出して挑んでくるんだ。今シーズンも同じように苦戦を強いられるだろうね。でもこっちだって負けるわけにはいかないんだ」
―― 1部復帰できなければ、それは失態でしょうか?
S「今はシーズンが始まるところ、負けることは考えていない。1部にあがることだけを考えているよ。チームのレベルは申し分ないし、上がれなかったらそれは失態ということになるね」
―― “昇格しなければいけない”というプレッシャーが、プレーに影響するのでは?
S「プレッシャーのある試合はたくさん経験してきたよ。マルセイユにいた時に5万人の観衆を前にして、残留か降格かが決まる試合なんていうのもあったしね。レッドスター・ベオグラードやマジョルカ、ユーゴスラビア代表でも、1試合で全てが決まってしまうという状況はあった。それにプレッシャーは、気が引き締まるから、僕にとってはプラス要素だよ」
―― アトレティコに入った新戦力の中では“スター”であることを自負していますか?
S「自分をスターだと思ったことはないよ。他のチームメートと同様、選手として、またチームとしても、両面で向上できるように努める1人だよ」
―― 多くの試合で、自分が決定打になると思われますか。
S「試合に勝つには、チーム全員がその長所を出し切らなきゃだめ。DFであってもFWであってもそれは同じ。何よりも大切なのは、毎試合勝ち点3ポイントをゲットすること。
ファールで勝ち越し点を入れることでも、終了2分前にアシストを上げることでもないんだ」
―― 2部リーグ在籍ということで、2002年のW杯代表から漏れるのでは、という心配は?
S「アトレティコと契約を交わす前、ユーゴスラビア代表のことは考えなかったな。固定メンバーに入っているのにね。とにかく、アトレティコに入ってプレーしたかったんだ。代表に召集されてW杯に出られるといいな。でも、たとえそれがだめでも、僕はアトレティコでプレーするという夢は果たしたんだ」
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