28日のリーガエスパニョーラ第10節、アトレティコ・マドリーは本拠地ワンダ・メトロポリターノでのビジャレアル戦を1-1のドローで終えた。
ここ6試合の成績が1勝4分け1敗と勝ちに飢えるアトレティコが、クラブ公認ファン組織ペーニャを招待するディア・デ・ペーニャ(ペーニャの日)に指定した今節にメトロポリターノに迎えたのは、カジェハ新監督到着から調子を上げるビジャレアル。ビセンテ・カルデロンでの過去3試合の対戦成績は1分け2敗と、苦手とする相手である。
シメオネ監督は、GKオブラク、DFフアンフラン、サビッチ、ゴディン、フィリペ、MFアンヘル・コレア、ガビ、トマス、サウール、FWガメイロ、グリーズマンをスタメンに起用。今季ここまで同じメンバーを一度も起用してこなかった最終ラインだが、今回はバルセロナ戦と同じ顔ぶれとなった。
カルデロンと同等か、それ以上の熱狂を生み出せるメトロポリターノだが、この試合では南スタンドの応援ゾーンに陣取る人々が立ち上がることなく沈黙。スタジアム外に設置されていた暑さを凌ぐテントがなくなったことへの抗議らしいが、いずれにせよペーニャの人々が時折声を上げる以外は、静寂がメトロポリターノを包むことになった。そうした奇妙な雰囲気の中で、シメオネ監督率いるチームは幾度もゴールを予感させていく。
相手ゴールに到達する方法を忘れてしまったかのような最近のアトレティコだったが、今回はガビの配球、トーマスの持ち上がり、グリーズマンの周囲を生かすプレーが効果を発揮。ただ、肝心の決定力は相変わらず不足したままだった。20分にはガメイロが最終ラインを抜け出すも、シュートはGKバルボサがセーブ。また41分にグリエズマンが叩いたボールはバルボサに弾かれ、こぼれ球をフリーで拾ったサウールのシュートはゴールライン上でビクトール・ルイスがクリア。44分にCKからゴディンが頭で合わせたボールはバルボサがセーブ、それによって再度得たCKからトマスが放ったミドルシュートは枠外へ……と、決定機の数に鑑みれば目をこすって確認するような0-0というスコアで、ハーフタイムを迎えた。
そして後半になると、南スタンドが人々が立ち上がって歌声を響かせ、いつもの熱狂的なメトロポリターノが復活。そして61分、アトレティコがそれに呼応するように、ここまでのパフォーマンスで唯一欠けていたゴールをついに決め切った。フィリペが左サイドを駆け上がってクロスを上げると、ニアのグリーズマンが左足ダイレクトでファーにボールを送る。ペナルティーエリア内右で山なりのパスを受けたA・コレアがゴールライン近くまでドリブルを仕掛け、角度のないところからシュートを突き刺した(今季リーガ4点目)。
ようやく1-0としたアトレティコ。65分にはガメイロがバルボサと1対1となる場面があったが物にできず、2-0とすることはできない。シメオネ監督はA・コレアの得点直前にも準備していたビエットの投入を75分に実行に移し、ガメイロとの交代でピッチに立たせた。一方、60分にソリアーノをカスティジェホ、69分に負傷のジャウメ・コスタをルカビーナに代えていたカジェハ監督は、76分にフォルナルスの代わりにチェリシェフに入れて交代カードを使い切っている。
そして81分、もう一度スコアが動く。得点を決めたのは、ビジャレアルだった。カスティジェホが蹴ったCKから、バッカがヘディングシュートでオブラクを破った。アトレティコは決定機を逸し続けたことを悔やむ暇ももなく、必死で勝ち越し弾を目指したものの、同点で良しとするビジャレアルの守備を崩し切ることはかなわず(付け加えれば、シメオネ監督は2枚目の交代カードを切らなかった)。結局1-1のまま試合終了のホイッスルを聞き、ペーニャに勝利を捧げることはかなわなかった。
プレー内容はようやく上向いたものの、またも勝ち切れなかったアトレティコ。リーガここ4試合の成績を1勝3分けとして、勝ち点20で4位に位置している。一方メトロポリターノでもアトレティコとの相性の良さを発揮したビジャレアルは5位につけている。
■リーガエスパニョーラ第10節 アトレティコ・マドリー 1-1 ビジャレアル
アトレティコ:アンヘル・コレア(61分)
ビジャレアル:バッカ(81分)
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