ディエゴ・パブロ・シメオネ監督が今シーズンの開幕当初から直面している課題のひとつが、アレクサンデル・セルロートの扱いです。そしてこの問題は、シーズン終盤、特にワールドカップが控えるこの年いっぱい続くであろうテーマでもあります。
現時点で、シメオネ監督はまるで絹の手袋で扱うように慎重に対応しています。彼はセルロートを「失いたくない」と強く考えています。移籍によって失うだけでなく、出場機会の少なさにより、プレー中の集中力やチームへの関与を失ってしまうことも避けたいのです。
この状況は、実はシーズン初めにも小さな“移籍騒動”を引き起こしました。しかしアトレティコ側の対応は明確で、「完全に移籍の扉は閉ざされた」ものでした。市場の最終盤という時期に加え、わずか1年前に固定費と出来高を合わせて4,000万ユーロで獲得した選手を簡単に手放すことなどあり得なかったのです。セルロート自身が現在の立場に満足していなかったとしても、退団は選択肢にはなりませんでした。
そのためシメオネ監督は、セルロートを時折先発に起用(今季は開幕からわずか5試合)しながら、途中出場とのバランスを取っています。そしてその都度、監督は公の場でもセルロートにメッセージを送っています。
先日のユニオン・サン=ジロワーズ戦後、監督は彼の新しいプレースタイルを称賛しました。「彼のプレーが本当に気に入りました。前回と同じく素晴らしかったです。コナーやホセマの投入もよかった。途中から入る選手たちがチームに重要なものをもたらしてくれる。それは大きな武器です。アレックスの場合、スペースに抜け出すときや勇気を持って仕掛けるとき、とてもパワフルです。彼は非常に良い仕事をしましたし、私はとても嬉しい。彼はチームに必要な存在です」と語りました。
実際、セルロートはここ数試合で新たな一面を見せています。鋭い飛び出しや力強い突破でチャンスを生み出すようになりました。チャンピオンズリーグでは得点こそなかったものの、重要なプレーに絡みました。彼が得たPK疑惑のシーンや、アトレティコの2点目につながった突破は、その代表例です。
ピッチサイドでの会話
今季ここまで、セルロートは558分間の出場でわずか2得点にとどまっています。しかしシメオネ監督は、彼に数字以外の部分、つまりチームのために犠牲を払うプレーを評価してほしいと考えています。その思いを、監督は公にも私的にも伝えています。
10月26日(日)の練習後、シメオネ監督はセルロートとじっくり話をしました。練習の最後、他の選手たちがPK練習やサイン対応をしている中、2人は芝生の上に座り、静かに言葉を交わしていました。
シメオネ監督は後の記者会見でこう語っています。「誠実な人間と話すのは良いことです。前の試合で、彼にはチームに対する高い責任を求めました。特に、ズビメンディを抑えるという役割を完璧に果たしてくれました。アーセナルが自分たちのリズムを見つけられなかったのは、彼の働きのおかげです。チームのためにあれだけ献身的にプレーできることを、私は高く評価しています」。
アルゼンチン人指揮官は、セルロートに「自分が評価されている」と感じさせ、さらにこの新しいプレースタイルを磨いてほしいと願っているのです。

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