レアルとアトレティコの間で6年間守られ続ける“紳士協定”…両者の交渉は一切不可?

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2011年の出来事だ。レアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長は、当時アトレティコに所属していたセルヒオ・アグエロの獲得を画策したことがある。最終的に彼は移籍をしなかったのだが、もしこの話が実現していたら……。これは、レアル・マドリーとアトレティコ両者のライバル関係をより強める可能性もあっただろう。

そして2017年。アグエロがマンチェスター・シティから去る可能性が出てきた今、また11年当時の話題が再燃している。当時一体なにが起こったのか。このタイミングでもう一度おさらいをしてみよう。

アグエロがアトレティコに所属していた11年。彼が移籍を望んでいたことは周囲も承知していて、実際にこの年のシーズン終了後にはマンチェスター・シティへと移籍していった。

しかしアグエロの獲得に名乗りを上げたクラブは、シティだけではなかった。レアル・マドリーもアトレティコのヒル・マリン会長にコンタクトを取り、移籍に乗り出していたのだ。しかしアトレティコの答えは断じて“NO”。アグエロを放出する先がライバルのレアル・マドリーとはどう考えても体裁が悪かったようだ。

だが、これはレアル・マドリーにとっても同様である。もし今後、レアル・マドリーからアトレティコに移籍をする選手が出てきたら、それこそレアル・マドリーにとっても体裁が悪い。そこで両者の間に暗黙の“紳士協定”が成立した。

詳細はこうだ。アトレティコのヒル・マリン会長は当時こう明言している。

「現時点で、アトレティコとレアルの間には、いかなる選手に関する交渉も存在しない。現時点というより、今後も交渉をするつもりはない。私はレアル・マドリーのフロレンティーノ会長と話し合ったんだ。我々はトップチームであろうとユースチームであろうと、お互いの選手には接触をしない。これは互いに了承済の出来事さ」
さて、この協定が結ばれて約6年が経つが今でも状況は変わっていない。何度か両クラブ間に移籍話が持ち上がったことはあったものの、いずれの噂も実現することはなく、具体化することもなかった。両クラブ間で成立した最後の移籍は2006年にレアル・マドリーからアトレティコへと移籍したホセ・マヌエル・フラドで、それ以降は音沙汰なし。

ただ、この協定が100%守られているかと言われれば微妙だ。例えば、現在のアトレティコの主力選手のひとりであるサウール・ニゲスはレアル・マドリーの下部組織出身である。ただし彼が移籍をしたのは16歳以下が所属するユース時代のときであった。これはどうやらセーフらしい。

また、最近ではアトレティコを経てチェルシーに移籍したティボ・クルトワに対してもレアル・マドリーが獲得に乗り出したという話題もあった。これもアトレティコとしてはセーフ。公式にヒル・マリン会長も問題ないと話している。

この“紳士協定”の基準は不明だ。一切交渉の余地はないとしながらも、一部では移籍を認めている。彼らはライバル関係でありながら、きちんと両者を尊敬している間柄なのだ。互いに聞く耳持たず、ではなくて、互いに気持ちよく選手を送り出せるのであればその時は少しだけ“紳士協定”を破ることが許されているようだ。

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