8日のリーガ・エスパニョーラ第31節、サンティアゴ・ベルナベウを舞台としたレアル・マドリー対アトレティコ・マドリーは1-1のドローで終了した。
アトレティコがダービーに10年以上勝てなかったことで、「最も我々にふさわしい地元のライバルを募集する」という横断幕すら掲げられたことがあるベルナベウだが、シメオネ監督到着から状況は変わった。アトレティコはベルナベウでの直近3試合のダービーにすべて勝利。この試合に勝てば、マドリディスタの神殿で4連勝を果たす史上初のチームとなる。5年ぶりのリーガ優勝にプライオリティーを置くレアル・マドリーは、1試合未消化ながらもバルセロナに順位を抜かれる可能性があるため、勝利がほしい一戦だ。
メディアやファンからイスコをトップ下とする4-2-3-1の採用も求められたレアル・マドリーだが、ジダン監督は“BBC”含めた4-3-3を使用。GKケイロール・ナバス、DFカルバハル、ぺぺ、セルヒオ・ラモス、マルセロ、MFモドリッチ、カセミロ、クロース、FWベイル、ベンゼマ、クリスティアーノ・ロナウドを起用した。一方シメオネ監督はGKオブラク、DFフアンフラン、サビッチ、ゴディン、フィリペ、MFカラスコ、ガビ、サウール、コケ、FWフェルナンド・トーレス、グリーズマンを先発させ、普段の4-4-2を使用している。
試合は果たせるかな、レアル・マドリーがボールを保持して、アトレティコが堅守速攻で得点を狙う展開となる。レアル・マドリーはアトレティコの4-4の2ラインを崩し切ることができず、ただボールを持つだけのポゼッションに。対するアトレティコは、普段は左サイドを主戦場とするカラスコが穴になりがちなマルセロ、C・ロナウドの側からドリブル突破を狙ったが、レアル・マドリーがあまりリスクを冒さないために、こちらも思惑通りに決定機を生み出すことができない。つまりはチャンスに乏しい、非常に手堅い試合となった。
このような試合展開に、ベルナベウは静まり返る。しかしながら30分前後、レアル・マドリーが単発ながら決定機を生み出し、歓声をよみがえらせる。まず28分、ベンゼマがC・ロナウドとのパス交換からシュート。しかし、これはオブラクのセーブに遭う。さらに31分にはカウンターを仕掛け、モドリッチのスルーパスからペナルティーエリア内右のC・ロナウドが右足を振り抜く。ボールは飛び出したオブラクをすり抜けて枠内へ向かったが、懸命に戻ったサビッチが頭でコースを逸らした。前半はスコアレスのまま終了する。
そして後半に入ると、様相が一変。ホイッスルが吹かれた後、レアル・マドリーは一気にインテンシティーを引き上げてアトレティコを自ゴールに押し込んだ。その猛攻が身を結んだのは、51分のこと。得点者は、今季限りでのレアル・マドリー退団が噂されるぺぺである。右サイドからのFK、クロースがボールを上げるや否やペナルティーエリア内に走り込んだポルトガル代表DFは、ヘディングシュートでネットを揺らした。ぺぺがダービーで得点を記録したのは2回目。リーガでの総得点数は13で、その内10ゴールを頭で決めている。
自チームのゴールを受けて「コモ・ノ・テ・ボイ・ア・ケレール(どうして愛さずにいられようか)」のチャントが何度も叫ばれるベルナベウ。レアル・マドリーはその後、ポゼッションと速攻を織り交ぜながら追加点を狙う。対するアトレティコは59分、速攻からF・トーレスがK・ナバスと1対1になるも、シュートはレアル・マドリー守護神にセーブされた。
シメオネ監督は61分に最初の交代カードを切り、サウールとの交代でアンヘル・コレアをピッチに立たせる。サイドハーフだったコケをボランチとし、サイドにA・コレア&カラスコ、最前線にグリーズマン&F・トーレスと4人のアタッカーを並べた。一方ジダン監督は66分、クロースと交錯して続行不可能となったぺぺとの交代でナチョを投入。先制点を決めたポルトガル代表DFは大喝采を浴びながらベンチへと下がった。ジダン監督はさらに75分、クロースを下げてイスコも入れている。
アタッカーの数を増やして攻勢を強めたいアトレティコだったが、好守のバランスが不安定となり容易に攻め込むことができなくなる。これを受けたシメオネ監督はF・トーレスをトマスに代えて、中盤の数を増やす。対するジダン監督は80分に最後の交代カードを切り、ベイルとの交代でルーカス・バスケスを入れ、サイドの守備力を強化した。
逃げ切りを意識したボールを回しを見せ始めたレアル・マドリー。だが、ドラマは終わらなかった。84分、アトレティコが幸福感に浸るベルナベウの観衆に冷水を浴びせる。A・コレアのスルーパスからグリーズマンがペナルティーエリア内左に侵入。倒れ込みながらシュートを放ち、K・ナバスを破った。同点に追いついたシメオネ監督は、カラスコをDFのヒメネスに代えて同点でも良しという意識をのぞかせる。アディショナルタイムは4分取られたが、その後得点は生まれることなく両チーム勝ち点1を分け合った。
連勝が5でストップした首位レアル・マドリーは勝ち点を72までしか伸ばせず、同日にマラガ戦を控える2位バルセロナに勝ち点で並ばれる可能性がある。アトレティコ・マドリーは4位セビージャと勝ち点4差で3位に位置している。
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