アトレティコ・マドリーは、今夏の大規模な選手層刷新を目指しています。しかし、クラブ首脳の意向と現実には大きな隔たりがある可能性もあります。移籍市場の状況が、アトレティコにとってどれだけ大きな自由度を与えてくれるのかが鍵となります。経済面だけではなく、投資できる金額を複数の補強対象に分割する必要もあります。アトレティコは、センターバック2人、ミッドフィルダー1人、サイドバック1人ないし2人、そしてストライカー1人ないし2人を獲得することを希望しています。全てを補強することは難しいかもしれませんが、最大限の努力を払うでしょう。
問題なのは、経済的な問題だけではないということです。選手層の構成、放出できる選手の数によっても大きく左右されます。昨夏の移籍市場時点のアトレティコ・マドリーの総人件費は2億9630万ユーロでしたが、冬には3億340万ユーロにまで上昇しました。クラブは来シーズンに向けてこの負担を軽減することを望んでおり、その方向に向けて既に動き始めています。
シメオネ監督との契約延長やコケとの契約更改など、いずれも減俸を伴うものでした。アトレティコは高額な給与を受け取る選手の一部を減らすことで人件費を圧縮しようとしています。例えば、マリオ・エルモーソに対する大幅な減俸オファーもこのような方針の一環と考えられます。また、メンフィス・デパイ、アルバロ・モラタ、そして今回取り上げているサウール・ニゲスなど、現在所属している選手の中にも同様のケースが存在します。
このエルチェ出身の選手は、過去数年間、移籍市場が開くたびに繰り返し登場する常連です。
今回の移籍市場でも、サウールは注目を集める存在となるでしょう。年俸は1200万ユーロ前後と推定されており、これはアトレティコの選手の中でも上位に位置します。しかし、出場時間や試合数などを考慮すると、その貢献度は決して高とは言えません。2017年7月に22歳という若さで2026年まで契約を延長した当時、サウール・ニゲスはヨーロッパ中のクラブから狙われていました。バイエルン・ミュンヘンなどからも熱烈なオファーを受けていたサウールは、まさに将来を嘱望される逸材でした。ゴールセンス抜群、豊富な運動量、複数のポジションをこなせる万能型ミッドフィルダーとして、その才能を存分に発揮していました。当時22歳という若さで、アトレティコはコケと同様にサウールとの契約延長に動き、将来のクラブを担う選手として彼らを確保しました。市場価値よりもはるかに高い金額で契約を延長することで、クラブの将来を左右する2人の選手を失うリスクを回避したのです。
しかし、サウールは近年、期待に応えられず、アトレティコ・マドリーでのポジションを失いつつあります。今シーズンは、シーズン序盤にレマルの怪我でレギュラーを獲得し、ヨーロッパ最多の5アシストを記録するなど、輝かしいスタートを切りました。しかし、シーズン後半には徐々に存在感を薄くし、出場時間も減少しました。それでも、2020-21シーズン以来最多となる2064分間プレーし、49試合に出場しました(うち23試合が先発)。2ゴールを挙げ、上記のアシストの他に、チームに貢献しました。しかし、最後の14試合で先発出場したのは2試合のみでした。
アトレティコは、その給与を軽減できれば、来シーズンに向けて大きな利益を得ることができると確信しています。クラブでは現在、「サイクルの終わり」という言葉が使われ、彼が去るべき人物の1人であると再び強調されています。しかし、ここ4年間、同様のことが毎シーズン市場が閉じるたびに繰り返されてきました。そして、昨シーズンのチェルシーへのレンタル移籍を除いて、サウールは依然としてアトレティコに在籍しています。
サウールの契約は残り2年ですが、高額な給与がネックとなり、移籍先は限られています。スペイン国内では、レアル・マドリーとFCバルセロナを除けば、彼のような高給選手を支払えるクラブは存在しません。そこでアトレティコは、サウールの移籍を成立させるためにいくつかの方法を模索しています。1つの解決策は、彼の給与の一部を引き受けることです。過去にはビジャレアル、バレンシア、セビージャなどがサウールの獲得に興味を示していましたが、高額な給与がネックとなり、いずれも実現には至りませんでした。これらのクラブは、サウールの移籍先候補として依然として有力です。しかし、選手が提示された行き先や条件に興味を持つかどうかは、その後の展開を見守る必要があります。
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