いつまでも記憶に残るゴールだった。舞台は2006年3月8日のUEFAチャンピオンズリーグ決勝トーナメント1回戦第2戦、場所はリバプールFCの本拠地アンフィールド。当時、SLベンフィカに所属していたシモンは、敵陣ペナルティーエリアの左手前5メートル付近でボールを受けると、自らスペースをつくって強烈なシュートを放った。ボールはリバプールのGKペペ・レイナを破り、ゴール左上隅に突き刺さった。第1戦に1-0で先勝していたベンフィカは、第2戦にも2-0で勝利。前年度の王者リバプールを2試合合計3-0で退け、UEFAチャンピオンズリーグで11季ぶりの準々決勝進出を果たした。
「狂喜」
今はクラブ・アトレティコ・マドリーでプレーするシモンは、当時の思い出をuefa.comに語った。「心の底から喜んだ。素晴らしい試合で生まれた美しいゴールだったので、狂喜と歓喜、すべての感情が一つになった。あのゴールは絶対に忘れないだろう」。あれから約2年。29歳になったポルトガル代表ウィンガーは今、再びリバプールの野望を打ち砕くために全力を注いでいる。本拠地ビセンテ・カルデロン・スタジアムにリバプールを迎えた2週間前の第3節でも、アトレティコは83分に決まったシモンの同点ゴールで勝ち点1を獲得。勝ち点7で並んだ両チームは、グループDの首位通過を懸けて4日の再戦に臨むことになった。
「素晴らしいサッカー」
今季の大会の予選3回戦でFCシャルケ04を下したアトレティコは、12季ぶりとなるUEFAチャンピオンズリーグ・グループリーグを満喫している。10月18日に故障から復帰して以降、好調を維持するシモンも同様だ。「クラブとサポーターに加え、チャンピオンズリーグを経験したことのない選手たちにとっては大きな意味がある。大会初戦のシャルケでは苦戦の末に敗れ、グループリーグ進出が絶望視されていた。しかし、地元カルデロンでは素晴らしいサッカーで快勝し、今はこうしてチャンピオンズリーグに出場している。クラブの評価を高めることになるので、極めて大きな意義があると思う。最高の選手が出場を目指すチャンピオンズリーグは、非常に重要な大会だ」
サッカースタイル
4日のリバプール戦は、シモンがイングランドで再びその才能を証明する機会になる。2年前の夏にベンフィカからアトレティコへ移籍する際、リバプール加入のうわさもあった。シモン自身も、将来、プレミアリーグでプレーしたいという希望を隠そうとしない。ポルトガル代表のチームメートであるデコ、ジョゼ・ボジングワ、クリスティアーノ・ロナルド、リカルド・カルバリョ、ナニなどが活躍するイングランドは、シモンにとって居心地の良い場所になるかもしれない。「イングランドでプレーしたいという夢は変わっていない。リバプールとは契約するチャンスもあった。個人的には、スペインとイングランドのリーグが最高だと思っている。イングランドのサッカーは、素早くダイレクトなスタイルだ。いずれはプレーしてみたい」。奇しくもシモンが高く評価する選手は、4日の対戦相手のリバプールにいる。「(スティーブン・)ジェラードは模範的な選手であり、今もリバプールの中心的存在だ。素晴らしい才能を持っているので、ゴールを奪われないように厳しくマークしなければならない」。アトレティコがジェラードを封じ込めることができれば、シモンはアンフィールドでもう一度歓喜を味わえるかもしれない。
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