30日、アトレティコ・マドリーがクラブの将来を見据えたプロジェクトに向けて大きな一歩を踏み出した。マドリー市役所、アトレティコ、マオウビール社の間で、アトレティコとマオウビール社がそれぞれ所有する土地の譲渡の合意に関する調印が行われた。これによりアトレティコの本拠地移転、そしてビセンテ・カルデロンが取り壊されることが正式に決まった。
収容人数5万4851人。1966年創立のビセンテ・カルデロンはメインスタンドの裏側にマンサナレス川が流れ、メインスタンドの下には高速道路が走るという世界でも珍しいスタジアム。UEFAによるスタジアム評価でも最上級の5つ星にランクするこのビセンテ・カルデロンが取り壊されることになったのだ。ビセンテ・カルデロンの跡地には市営公園が作られる予定でその名も「アトレティコ・マドリー公園」と名付けられるという。
アトレティコが3年後に移転することになるラ・ペイネタ・オリンピックスタジアムは、2016年のオリンピック誘致を見越し改築され、2010年には収容人数7万3000人のスタジアムに生まれ変わり、アトレティコの試合はラ・ペイネタで行われることになる。そして、オリンピック開催後(予定)にはその所有権がアトレティコに移る。
この契約合意を受け、アトレティコファンは早くもエンリケ・セレソ会長らクラブ側を非難。チームの生え抜きフェルナンド・トーレスをリバプールに売り、今度はビセンテ・カルデロンまで売り渡すことになったクラブに対する怒りを爆発させている。確かにクラブの将来、そして経営の面から見れば有益な話なのだろう。しかし、クラブの象徴と言えるものを次々を失っていくファンにとっては何ともやりきれないことは確か。ファンのクラブに対する非難はしばらく止みそうにない。
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