地味に凄いと言うべきなのだろうか。今夏ドルトムントからアトレティコ・マドリーに加入したベルギー代表MFアクセル・ヴィツェルがリーガ・エスパニョーラで見事な滑り出しを見せている。
それも本職の中盤ではなく、センターバックとしてだ。ベルギー代表や昨季まで所属していたドルトムントでは守備的MFに入ることがほとんどだったが、アトレティコの指揮官ディエゴ・シメオネは開幕からヴィツェルをセンターバックで起用している。ここまで5試合すべてにフル出場しており、33歳のベテランはいきなり守備のリーダーとなった。
スペイン『as』は「チームに静けさをもたらす」と安定感を称えているが、ここまでヴィツェルの活躍は派手なものではない。地味に映るかもしれないが、早くもヴィツェルはチームに欠かせない選手になっている。ここまでの働きはもっと評価されるべきだろう。
ヘイニウドやホセ・マリア・ヒメネスらと組む3バックはまずまず安定しており、ヴィツェルをこのまま最終ラインに固定するのも悪くない。中盤を本職としていたこともあってか、ビルドアップでもセーフティな働きが期待できる。パス本数は決して多くないが、今季は8月29日のバレンシア戦と9月10日のセルタ戦でパス成功率100%を記録している。ボランチを務めていた頃もセーフティにプレイする選手だったが、センターバックとしても安心感がある(データは『WhoScored』より)。
この起用はベルギー代表にも影響するかもしれない。ベルギーは最終ラインのトビー・アルデルヴァイレルト、ヤン・フェルトンゲンがベテランの領域に入っており、すでに全盛期を過ぎた印象がある。かといって若手センターバックが育っているわけでもなく、ヴィツェルを3バックの一角に入れるのも悪くないか。
守備的MFにはユーリ・ティーレマンスに加え、エヴァートンに移籍したアマドゥ・オナナや昨季までシュツットガルトで遠藤航とコンビを組んでいたノッティンガム・フォレストMFオレル・マンガラなど興味深い若手も出てきている。手薄なセンターバックにヴィツェルを回す方がいいかもしれない。
アトレティコは18日にレアル・マドリーとのダービーマッチを予定している。こうしたビッグゲームでもヴィツェルのセンターバック起用がフィットするのであれば、確かなオプションとなっていくだろう。これまでも緊急時にセンターバックへ入ることはあったが、33歳を迎えてメインポジションをリベロへと変えていくのも悪くない。
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