「アルゼンチン人は挑発の名人。ボールがあるのと反対のところで蹴ってくるし、相手の母親を侮辱するような罵り言葉を投げてくる」
そんなロナウドの発言が新聞に載ったのは先週末のこと。時々、代表合宿中の外国人選手からはビックリするようなコメントが伝わってきて、「さては母国のマスコミ陣に囲まれて口が滑ったな」と思うこともたびたび。信憑性もどこまであるのかわからないのだが、アトレティコ・マドリーとのダービー前という、今の時期はまずかった。
というのも、今回のダービーはアトレティコ・アルヘンティーナvsレアル・ブラジルと言われるくらい、両チームのメンバーの国籍が偏っているから。アトレティコ・マドリーのビアンチ監督はボカ・ジュニアーズを率いて数々のタイトルを獲得した名監督。当然第2監督、フィジカルコーチも故郷から連れて来た。選手にはGKレオ・フランコ、MFイバガサに今季からの新メンバー、MFマキシ、ガジェッティが加わってアルゼンチン人は総勢7名。
一方、レアル・マドリーのルシェンブルゴ監督もブラジルで何度もリーグ優勝を経験。こちらはコーチ陣に美人栄養士までがブラジル人、ロナウド、ロベルト・カルロス、ロビーニョ、バチスタを合わせると9人の大所帯となる。
片やアルゼンチン、片やブラジルといっても、これだけ南米系の選手が多いチームにとっての悩みは共通だ。国際代表戦があるたびに、彼らは遥々地球を半周して招集に応じなければならないので、移動にかかる時間と疲労もバカにできない。時には長時間のフライトを辛抱して代表に合流しても、結局試合には1分も出なかったということも。
今回はワールドカップ出場決定後の予選残り2試合のために、大西洋を横断したアルゼンチン代表のレオ・フランコやガジェッティらがこのパターン。もっとも水曜のウルグアイ戦はベンチ入りすら免除されたので予定より早く帰国。ヨーロッパの代表組と同じ日にチームに合流できたのはラッキーだったとも言える。
一方、6万ユーロ(約840万円)を払ってユーベ、バルセロナなどと共同でチャーター機を飛ばしたレアル・マドリーも、ベネズエラ戦後の翌日木曜の夕方には4人のブラジル人選手たちを取り戻した。気の毒だったのはやはり前日アルゼンチン戦でプレーして、プレーオフの権利を獲得したものの、クラブに飛行機は出して貰えなかったウルグアイ代表のパブロ・ガルシアとディオゴ。普通の便では試合前日の早朝にしかマドリーに着けず、アトレティコ・マドリーのコロンビア代表ペレアと一緒で、ダービー前の練習は1回だけという破目に。
奇しくも両チームは同じ木曜日午後6時に練習を開始。もちろん前日試合に出場したメンバーは軽いクールダウンだけだったが、監督にしてみれば怪我なく帰って来たのを確かめられれば充分なのだろう。グラウンドでは代表戦で活躍した選手をチームメイトが祝福する風景も。
レアル・マドリーではスペインvsサンマリノ戦で2ゴール挙げたDFセルヒオ・ラモスが肩を叩かれまくっていたし、アトレティコ・マドリーでも本大会出場を本人のゴールで決めたFWケズマンにフェルナンド・トーレスから熱い抱擁が。もっとも、そのせいでプレーオフに回らなければならなくなったスペイン代表の彼としては、内心複雑なところもあったかもしれないが…。
第6節マラガ戦のアベックゴールから始まって、2人とも代表戦でも2試合連続得点を挙げている。「最後はダービーで得点して、このゴールづいている1週間の有終の美を飾りたい」とはケズマンの台詞。果たしてその願いは叶うのだろうか。
ちなみに両チームの各国代表戦の成績を比べてみるとアトレティコ・マドリーが8ゴール(トーレス5、ケズマン2、アントニオ・ロペス1)、レアル・マドリーが5ゴール(セルヒオ・ラモス2、ロナウド、ロベルト・カルロス、ジダン各1)。「代表とクラブの試合はまったく別物」という意見もあるが、誰が波に乗っているかは一目瞭然だろう。
実際ブラジル人、アルゼンチン人の比率が高いとはいえ、どちらのチームも国際連合軍なのは変わらない。ロナウドのコメントについて意見を求められたビアンチ監督も「これはアトレティコ・マドリーとレアル・マドリーの戦い。アルゼンチン対ブラジルではない」と大人の対応であっさり流していた。それでもサッカー強国出身監督同士のライバル意識とかは結構ありそうな感じもするし、今年のダービーは一味違う?結果は見てのお楽しみだ。
コメント